アセンブラとは?アセンブリ言語との違いや学習するメリットを解説
2023.09.20ITアセンブラとは、アセンブリ言語で作成されたプログラムをコンピュータが処理できるように変換するソフトウェアのことです。
この記事では、アセンブラやアセンブリ言語の重要性、学習するメリット・デメリットをご紹介します。アセンブラについて興味がある方や、組織・部署内でアセンブラの習得を検討されている場合はぜひご参考ください。
アセンブラとは
アセンブラとはアセンブリ言語で構成されたプログラムを、コンピュータのCPUが処理できるマシン語(機械語)に変換するソフトウェアの一種です。
マシン語(機械語)とは0と1の数字の羅列で構成された言語で、直接人間が記述・理解することは非常に困難です。そのため、まず人間が読み書きできるアセンブリ言語で記述を行い、コンピュータが処理可能なマシン語へ変換することで、CPUやハードウェアの操作を可能にします。
アセンブリとの違い
アセンブリは、厳密には「アセンブリ言語」と呼ばれるプログラミング言語のひとつです。つまり、アセンブラはアセンブリ言語用の変換ソフトウェア、アセンブリはプログラミング言語という違いがあります。
ただし、アセンブリ(言語)を含めて「アセンブラ」と呼ぶこともあるため、文脈に応じた判断が必要です。
アセンブラの関連用語
アセンブラの他にも、把握しておくべきアセンブラ関連の用語があります。
この機会に合わせて確認しておきましょう。
アセンブラの関連用語 | |
ニーモニック |
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逆アセンブラ |
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低水準言語/高水準言語 |
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インラインアセンブラ |
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アセンブラの用途
アセンブラは、現在でもさまざまなシーンで使用されています。代表的な使用シーンや用途例は以下の通りです。
- メインフレームやOSへの直接命令やカスタマイズ
- ハードウェアの制御
- コンピュータのパフォーマンス向上
- 家電製品に組み込まれるコンピュータの開発
- 高速に処理の組み込み
- 既存のアセンブラプログラム群の保守
ただし、高水準言語が発達したことに伴い、以前と比べると使用シーンが限られるようになってきています。
アセンブラを学習するメリット
使用シーンが減少傾向にあるとはいえ、アセンブラを学習することには以下のようなメリットがあります。
- コンピュータへの理解を深められる
- 低水準のデバッグに役立つ
- マルウェアを解析できる
コンピュータへの理解を深められる
アセンブラについて学習すると、コンピュータへの理解を深められます。アセンブリ言語はマシン語に近いプログラミング言語なので、理解することでCPUやハードウェアなどの挙動原理を詳しく理解できるからです。
その結果、CPUの機能やOSの役割などが見えてくるため、コンピュータへの理解を深められます。加えて、プログラミングに関する知識の底上げにもつながるでしょう。アセンブラを学んでおくことで、高水準言語を使う際も無駄なく効率的なプログラミングができるようになります。
低水準のデバッグ・カスタマイズなどに役立つ
アセンブリ言語はマシン語に近い言語のため、アセンブラに関する知識を身に付けておくことで低水準のデバッグ時に効果を発揮します。また、アセンブリはマシン語と1対1で対応しており、コンピュータの動作を理解しやすいことが特徴です。
そのため、ハードウェア関連など低水準の根本的なエラーを解析・特定し、対応するのに適しています。同時にCPUやメモリの挙動を直接的に制御できるため、パフォーマンスの最適化なども行えるようになります。加えて、IBM zなどのメインフレームやz/OSなどに直接命令を発行しカスタマイズすること、既存のアセンブラプログラム群の保守なども可能になるため、一からコーディングすること以外にも活用できます。
マルウェアを解析できる
情報漏えいやシステム停止などの被害を引き起こすマルウェアのコードは、マシン語で記述されています。そのため、マルウェアのマシン語をアセンブリ言語に変換する「逆アセンブラ」を利用することで解析が可能です。この際にアセンブラの知識があると、マルウェアの動作を理解し、対策を講じることができます。
セキュリティ対策の強化、被害の未然防止や拡大防止に役立てるという観点からも、アセンブラの基礎を身につけておくことは有用です。
アセンブラのデメリット
アセンブラ(アセンブリ言語)には多くのメリットがある反面、以下のような留意しておくべきデメリットもあります。
- CPUへの依存度が高い
- 高水準言語よりも記述が多くなる
- 学習が難しいと感じる人もいる
CPUへの依存度が高い
マシン語は、CPUごとにニーモニックや文法などが異なります。そのため、マシン語と1対1で対応するアセンブラも、CPUに合わせて書き方を変える必要がある点に注意が必要です。
したがって、アセンブラを学ぶ際はどのようなCPUを扱う機会が多いのかを念頭に置き、適した文法を把握するよう心がけましょう。
また同様に、アセンブリ言語で実際にプログラミングするときは、どのCPUに対するプログラミングなのかを意識して、適切な記述方法を選ぶことが大切です。
高水準言語よりも記述が多くなる
アセンブリ言語によるプログラミングは、C言語などの高水準言語を使う場合よりも記述が多くなる傾向にあります。
これは高水準言語が複数の処理を一連の流れで記述できるのに対し、アセンブリ言語では処理ごとに記述をしていく必要があるためです。
例えば、2つの数値の足し算の結果を出したい場合、高水準言語であれば1行で済むことがありますが、アセンブラ言語では数行にわたり記述が必要になります。
学習が難しいと感じる人もいる
アセンブリ言語は、学習して使いこなせるようになるまでの難易度が高めです。仮にアセンブラのコードだけを覚えたとしても、実用的なプログラミングを記述することに難しさを感じる方も多いでしょう。
これは、アセンブリ言語が、CPUへの命令を積み上げていく言語であることに起因します。CPUが実際にどのような順序でどのような処理をした結果、意図する成果を出せるのかなど、CPUの挙動を理解していないと効果的なプログラミングはできません。
そのため、アセンブラを学習する際は言語と並行して、CPUやメモリなどハードウェアの仕組みも学んでいく必要があり、学習のハードルはやや高めとなっています。
まとめ
アセンブラを学習することで、コンピュータのCPUやメモリといった根幹部分の理解が深まり、多言語でプログラミングを行う際の質を向上させることができます。
ただしアセンブラは「CPUによって文法が異なる」、「ハードウェアの基本も習得する必要がある」など、独学ではポイントがつかみにくく、学習にかかる時間も多くなってしまいがちです。
そのため、アセンブラの知識やスキルを組織内に取り入れたいとお考えの企業様は、学習に効果的な研修を実施することがおすすめです。アセンブラのポイントを的確に理解し、速やかに実践に活かせるような人材を育成できます。
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