ITにおける「コンテナ」とは?特徴やメリット・デメリットを分かりやすく解説
2023.11.22IT「コンテナ」という言葉を聞くと、物を入れて運搬する箱状のものを思い浮かべられる方がいらっしゃると思います。現在、日本だけではなく世界各国でタンカーやトラックなどでコンテナを運び、物流を支えているものです。実は、ITにおいてもコンテナが用いられていることをご存知でしょうか。
この記事では、ITにおける「コンテナ」とはどのようなものなのかについて、特徴やメリット・デメリットをあわせて解説します。
▼IT初心者でも分かる「コンテナ」の基本
ITにおけるコンテナとは、さまざまなアプリケーションを動かすために必要なものをひとまとめにできる仕組みを指し、コンテナは一般的に「コンテナ型仮想化」といいます。
仮想化とは、CPUやメモリといったサーバーなどのハードウェアソースを抽象化して分割し、それぞれ別々に使うことを指します。
この仮想化がない場合、用途ごとに物理サーバーを用意しなくてはなりません。
たとえば、Webサーバー、メールサーバー、ファイルサーバーというように、用途ごとに物理サーバーが必要です。仮想化を行うことで1台の物理サーバー上に複数のサーバーを構築し、Web、メール、ファイル、それぞれを同様に動かせるようになります。 コンテナ型仮想化を導入することで、サーバーを効率的に稼働させることができるため、正常に動作しやすくなるのです。
▼▼コンピュータの仕組みから見た「コンテナ」の役割
アプリケーションはOS(Operating System)が動作し、下記のようなアクションをコンピュータに指示しています。
- メインフレームやOSへの直接命令やカスタマイズ
- ハードウェアの制御
- コンピュータのパフォーマンス向上
- 家電製品に組み込まれるコンピュータの開発
- 高速処理の組み込み
- 既存のアセンブラプログラム群の保守
これらを処理するために、パソコンやスマートフォンのなかには下記のようなコンピュータが働いています。
- タップ・クリックを検知する
- タップ・クリック後の処理を実行する
- 指示内容を反映する
このように、コンピュータにはひとつの指示を実行するために、さまざまな処理が行われているのです。 しかし、これらの処理を行うためのCPUやメモリがバラバラにあった場合、動作が遅くなったり、正常に動作しなかったりします。そのような不具合を改善するため、ITでは必要なものをひとつにまとめるコンテナが用いられるようになりました。
▼「コンテナ」のメリット
こちらでは、コンテナを構築することで得られるメリットをご紹介します。
▼▼複数の環境で同じ動作を保証
通常の仮想化では、ひとつのコンピュータ上にある仮想環境で稼働するOSである「ゲストOS」を構築しなければなりません。そのため、通常の仮想化を実施する際は、複数の環境やゲストOSを構築するための手間がかかるものです。 一方、コンテナの場合はゲストOSを構築する必要がないため、工数を削減しながら複数の環境を構築することができます。また、コンテナは通常の仮想化よりもサーバーなどのIT資源が少なくて済むため、サーバー費用などのコストダウンも図れます。
▼▼開発とデプロイのスピードアップ
IT業界においてデプロイとは、実行ファイルをサーバー上に配置して、いつでも利用できる状態にしておくことを指します。コンテナ化を行うことで、構築から任意の環境へのデプロイを高速で行うことができます。
従来であれば、特定の環境でコードを開発し、それを新しい場所に移すとバグやエラーが発生することが多くありました。 コンテナ化することで、必要となるCPUや機能をひとまとめにできるため、バグやエラーの発生を防ぐこともできます。
▼▼資源の効率的な利用
コンテナ技術は仮想的なアプリケーションの動作環境を、少ないリソースで実現する技術だといえます。
そのために、ひとつのサーバー上で複数の仮想サーバーを構築し、必要な時に必要な機能だけを稼働します。コンテナ化をせず、複数のサーバーを使用すると管理費用が増加するため、コンテナ化は資源の効率的な利用方法のひとつです。 また、先述の通り開発とデプロイのスピードアップが図れるため、個人にかかる負担も最小限に抑えられます。
▼「コンテナ」のデメリットと注意点
コンテナにはさまざまなメリットがある一方、下記のようなデメリットや注意点が存在します。
▼▼初期の学習コスト
コンテナは理解することができればサーバーの負担軽減や高速化が期待できる一方、初期の学習コストが高い傾向にあります。コンテナでは覚えるコマンド操作が多く、ホストOSへの依存が発生するなど、実装までに多くの情報を学ばなければなりません。
また、複数のコンテナを管理するためのツールは、簡単に習得できるようなものではないため、その際にも多くの時間を要します。 そのため、コンテナを自社で整えるためには、しっかりと学べる環境を整えなければなりません。
▼▼セキュリティへの配慮が必要
コンテナのデメリット・注意点として、通常の仮想化よりもセキュリティリスクが高いことが挙げられます。コンテナはホストOSを使って動くため、ホストOSに不具合が生じた場合、すべてのコンテナに影響を及ぼします。 ホストOSの不具合を防ぐためには、コンテナサービスを選ぶ際に情報セキュリティが高いものを選びましょう。パスワードなどの情報セキュリティを高め、ハッキングなどを対策することでコンテナの安全性を高めることができます。
▼コンテナ技術を学ぶための第一歩
このように、コンテナを導入するためには多くの学習時間やセキュリティの配慮などが必要となります。しかし、それでもコンテナを導入しようと考えている企業やエンジニアは日本だけではなく、世界中に多くいらっしゃるものです。
▼▼なぜ今、コンテナ技術を学ぶべきなのか
近年では急速にコンピュータ技術の進化や、市場では高速性や正確な動作性が求められています。
そこで従来の仮想化では十分なサービスが提供できないような状況に陥ることがあるため、コンテナの導入を試みているのです。また、コンテナは情報の高速処理だけではなく、移植性の向上も特徴であることから、アップデートにも柔軟に対応できます。 このことから、コンテナ技術を学ぶ方が世界中で増加傾向にあるといえます。
▼▼コンテナ技術を学ぶ際の心構えやステップ
コンテナ技術を学ぶために必要なものは、現物に触れることと実際に作ってみることです。 実装前後でどのような違いがあるのか、実装することで何ができるのかを知ることが第一歩となります。学習の際は常にコンテナに関する興味を持ち、実現したい処理を実現するためには何が必要なのかを考えておきましょう。
下記はコンテナ技術を学ぶためのステップ例です。
- 実際に触れてみる
- 資料を参照し、必要な情報を整理する
- 概念や構造を理解するためにノートに書きだす
- 実際に作ってみる
- 作ったあと、動作確認をする
- 不備があった場合、改善を行う
▼▼コンテナ技術の代表「Docker」
近年、コンテナ技術のなかで注目されているのが、「Docker」と呼ばれるものです。Dockerはすでにさまざまなクラウドやコンピュータに実装されており、今後も実装するものが増加することが見込まれます。 DockerはオープンソースのプロジェクトとしてDocker社が公開しているため、誰でも利用することができます。
▼コンテナ技術の重要性と学習のススメ
本記事では、ITにおけるコンテナの役割やメリットなどについてご説明しました。
ITにおけるコンテナとは、さまざまなアプリケーションを動かすために必要なものをひとまとめにできる仕組みを指します。コンテナを導入することで複数の環境で同じ動作の保証や開発とデプロイのスピードアップ、資源の効率的な利用が図れます。
一方、コンテナ技術を学ぶためには多くの時間を要したり、十分なセキュリティ対策が求められたりする点には注意が必要です。 近年では、技術の進歩や情報の高速化などに伴い、コンテナの必要性が認識されつつあります。コンテナを学ぶ際は、なぜ必要なのか、どうすれば必要な処理ができるのかなどを学び続ける姿勢が必要です。
下記、当社で実施しているコンテナの基礎を学ぶ企業向けの研修です。