【メタエンジニアの戯言】純粋な心に癒され、そして考えさせられる
2023.12.14松林弘治の連載コラム先月はPowerShellの話を書きましたが、この原稿を書いている現在、なんの因果か(笑)Excelと格闘する羽目になっています。融通のきかない関数、勝手をつかみにくいVBAマクロ、ネ申エクセルにならないように気をつけながらの設計、などなどで頭を悩ませています。あぁフツーにコード書きたい。。。この話はまた改めて書くかもしれません。
閑話休題。先月、現在全体監修でお手伝いしている某事業のフィジビリティ(実現可能性)検証アクティビティに参加してきました。場所は栃木県郊外の保育園です。
参加してくれた園児ひとりひとりが、楽しくアクティビティに取り組んでくれているか。アクティビティ内容が、好奇心を喚起しつつ、園児が新しい概念や感覚を知り体感する助けとしてうまく機能しているか。根底にある情報工学系の概念を、正確にかつ平易なかたちに落とし込め楽しめるようにできているか。難易度や自由度は適切か。先生役の人の話す内容はどうだったか。使用するプリントやシール、その他大小さまざまの物品を適切に使えているか。そんなことをチェックしながら、園児のみんなと楽しい時間を過ごしました。
私の娘はもう高校生になってしまっており、かつて頻繁に通った子育てクラブ時代、そして幼稚園〜小学校時代の雰囲気とはずいぶん変わってきています。久しぶりに入学前の小さなおともだち達と触れ合うことができたことで、そんな昔を思い出したりしながら、とてもリフレッシュできました。
アクティビティは午後に行われたので、なかには昼食後で眠そうにしている子もいて、いつも保育士の方にやっているのでしょうか、その子が私にもたれかかってきたりしました(笑)。また、別の子が代表して話す時に、自分も同じように話したいからでしょうか、すこしグズってみせたり、保育士の方が指示した場所から離れて違うことをやりだしたりする子もいました。みんなかわいいです。
さらに、ひとりひとり個性があってひとつひとつの会話から得られるインスピレーションも多くステキなのですが、それ以上に、当然ながらみんな心が美しく純粋であることが、もう嬉しくて仕方ありません。
後半に広い部屋で行ったアクティビティでは、トイレネタだったのですが、無邪気に笑い大声で叫びながら、ああでもない、こうでもない、とみんなで声をかけあいながら試行錯誤している姿を見守り声をかけているうち、園児たちに尊さすら感じました。
身体的感覚から、具体的なモノを通じた具体的な思考力へ、そして抽象的な思考へ。人間が生まれ成長するに従い獲得するとされているその過程を目の当たりにできることの素晴らしさと同時に、その過程にささやかながら関わらせてもらえることへの責任感も感じます。
子どもたちのまじりっけのない心と目で見ている世界は、わたしたち大人が見ている世界と、同じもののはずですが、実際に受け取っているものは全然異なるのでしょう。子どもたちが感じ取れないものを大人が感じられる一方、子どもには見えているものがわたしたち大人には見えなくなっていることもあります。
時がたてば、子どもは大人になります。わたしたち大人だって、かつては子どもだったのです。
「おおきなおともだち」(笑)になってしまったわたしたち大人の中にも、常に好奇心旺盛で、目をキラキラさせ夢中になって取り組む、そんな人を見つけることができます。良い意味で「こどもの心」は失いたくないものです。
。。。と、あまりにも純朴すぎることを書いてる、と思われるかもしれませんが、子どもたちと触れ合うたびに、いつもそんなことを強く考えさせられるのです。そして、考えるたびに、子どもの純真さが最強、と思うのです。
松林 弘治 / リズマニング代表
大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期過程修了、博士後期課程中退。龍谷大学理工学部助手、レッドハット、ヴァインカーブを経て2014年12月より現職。コンサルティング、カスタムシステムの開発・構築、オープンソースに関する研究開発、書籍・原稿の執筆などを行う。Vine Linuxの開発団体Project Vine 副代表(2001年〜)。写真アプリ「インスタグラム」の日本語化に貢献。鮮文大学グローバルソフトウェア学科客員教授、株式会社アーテックの社外技術顧問を歴任。デジタルハリウッド大学院講義のゲスト講師も務める。著書に「子どもを億万長者にしたければプログラミングの基礎を教えなさい」(KADOKAWA)、「プログラミングは最強のビジネススキルである」(KADOKAWA)、「シン・デジタル教育」(かんき出版)など多数。