データ活用とは?ビジネスにおける重要性と課題を解説
2023.08.25IT顧客の購買履歴や、店舗の売り上げデータなど、さまざまなデータを取得して、ビジネスに活用し、成功している企業がたくさん存在しています。
データ活用をすることで売上向上や新たな戦略策定が効率的にできるため、ビジネスの視野を広げることができます。そのため、データを活用して企業を成長させようと考える担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで今回は、データ活用のビジネスにおける重要性と課題についてご紹介します。
データ活用によって実現できること
データを活用することによって、ビジネスではさまざまな可能性を広げることができます。まずは、データ活用により実現できることから見ていきましょう。
売上の向上
データから顧客の関心や嗜好を把握できるため、データ活用によって効率的に売上を向上させることができます。
データ活用により売上向上した事例
世界的な大手通販サイト では、商品購入ページに「レコメンデーション機能」を設置して、売上向上につなげています。レコメンデーション機能とは、顧客の購買履歴データから関心のある商品を提示することです。「この商品を購入した人はこんな商品も購入しています」などといった表記で他の商品ページへ誘導してクロスセルを実現し、売上向上につなげています。
イノベーションの創出
イノベーションの創出は、企業の成長や競争市場で生き抜くためには重要なことです。データを活用している企業は、そうではない企業と比較してイノベーションの創出が統計的に多いといわれています。イノベーションの創出を目指しているなら、データ活用はとても大切だということが分かります。
データ活用によりイノベーションの創出につながった事例
ある飲料メーカーで、消費者の視線を分析する「アイトラッキング・データ」を自動販売機に設置し、データを活用したことで売上が向上した事例があります。
これまで自動販売機の商品配置では、消費者の視線がZの形に動くというZの法則に則って、主力商品を自動販売機の左上に設置するのが一般的でした。しかし「アイトラッキング・データ」を計測したところ、自動販売機では多くの消費者の視線はZの形には動いていないことが判明。視線の集まるエリアに主力商品を移動させたことで成功につながっています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
データ活用を行う場合、ICTの導入をしなければなりません。そこで、ICT導入に伴う人財や組織改革などが、企業に対して良い影響をより強めることが示唆されています。
データ活用によりDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進した事例
全国に店舗を展開しているパンの製造・販売会社では、各店舗の店長が経験をもとに製造量を決定し、販売していました。しかし経験からの予測では在庫リスクや売り切れによる機会損失も多くあります。
そこで、在庫のリスクや機会損失を低減するため、独自の販売管理システムを導入し、そのデータを活用して製造量を決定することに。予測データを活用した店舗は、データを活用しなかった店舗と比べると、2%程度売上が高くなりました。
業務効率・生産性の向上
データ活用のために環境を整えることで、働き方改革を推進することができると考えられます。また、データを活用し、市場や顧客情報などを分析することで1から情報を集めずにすぐに新しいビジネスの推進に着手できるようになります。
データ活用により業務効率・生産性が向上した事例
あるシステム会社では、タクシー業界向けにビックデータを活用したアプリを開発。GPSで計測した過去の乗車位置を、曜日や時間帯に分けて地図上に表示するようにしました。リアルタイムでの実車発生位置も確認できるため、どのエリアでタクシーの利用客が増えているのかが分かる機能も搭載されています。
定期的に長距離乗車をする顧客の時間帯を割り出すことで、このアプリを使用したタクシー会社は長距離目的の顧客を効率よく獲得できるようになりました。
他にも、稼働中の車両の位置や状態を確認でき、条件に合った車両の検索や迎車依頼に対して一番近い順の通知をすることで配車係のコストも削減。データ活用により業務効率化につながっただけではなく、機会獲得にもつながった事例です。
企業活動に活用できるデータの種類
実際にデータ活用を行い、実績を出している企業は、どのようなデータの種類を利用しているのでしょうか。
次に、企業活動に活用できるデータの種類についてご紹介します。
顧客データ
顧客データは、性別や年齢、氏名、住所などの個人情報のほか、問い合わせの内容やアンケートなどの調査結果などのデータです。製造業や情報通信業で多く使われているデータですが、商業や流通業、サービス業でも使われており、多くの業種で利用されています。
取引データ(財務・経理データ)
売上や資産状況に関するデータです。主に、物流・卸売業や金融業、製造業などで活用が進んでいます。
購買データ
顧客の購入履歴などが分かる販売記録データです。POSデータやECサイトの売上データなどが購買データにあたります。近年データ活用に利用する企業が増えており、製造業や商業・流通業で多く利用されているデータです。
各種ログデータ
各種ログデータは、アクセスログや動画などの視聴ログデータのことです。Webサイトや動画サイトにアクセスしたユーザーのIPアドレスや日時などの動作記録を残しています。情報通信業で多く利用されているデータです。
IoTデータ
人工衛星を利用して行う位置測位システムGPSから取得した位置情報や、速度・温度などを感知・計測したセンサーデータのことです。インフラ業で主に利用されているデータです。
SNSデータ
ECサイトなどでトレンドや話題の商品を探るために利用されているのが、SNSやブログの記事によるデータです。ここ数年で利用する企業が増えてきたデータでもあります。
現代は、SNSやブログによる記事で情報を集めることが主流になってきています。トレンドもSNSやブログによる記事から生まれることがあり、企業のデータとして活用しているのだと思われます。
他にも、統計に関するデータなどを購入するという手段もあります。1からデータを集める必要がないため、すぐにデータ活用をはじめたいという企業には、適した手段といえるかもしれません。
データ活用の手順
データの活用はどのようにして行うのでしょうか。ここでは、データ活用の手順についてご紹介します。
データの収集・蓄積
データを活用していくには、まず必要なデータを集めていきます。しかし、データをとりあえず集めるだけでは意味がありません。仮説を立て、検証に必要なデータを集めていくことで、ほしいデータを集めることができます。
また、データを過剰に集めてしまわないように、どんなデータを収集してどんな分析を行うのか、事前に目標を決定しておきましょう。
データの可視化
必要なデータを集めたら、データを見やすく分析しやすくしていきます。グラフ形式にしても良いですし、見やすく一覧にするのも良いでしょう。データが可視化できるようになることで、現状をひと目で把握でき、情報が伝わりやすくなります。
データ分析
集めたデータを可視化したら、データ分析に移っていきます。可視化させたデータからビジネスに活用できるポイントを探っていきましょう。
例えば、条件に一致する場合、良い結果または悪い結果が出ているなどの規則性があるかどうかです。他にも、ある数値だけ以上に高いなどの異常値や、Aが原因でBという結果が出ているなどといった因果関係などを見つけていきます。
データの分析には、クロス集計やロジスティック回帰分析、アソシエーション分析などさまざまな手法があります。
ビジネスへの活用
データを分析したら、それをもとに戦略や計画、実行策を立てていきます。そして、その戦略や計画を実行していきます。
効果検証
データ分析を行い、ビジネスへの活用をした際に、本当に効果が出ているのか検証していきます。戦略を実行前と実行後では、どのような変化があったのかを比較。想定している結果通りになったのかを確認します。もし、効果が現れていないという結果になった場合は、改めて戦略を立てて実行していく必要があります。
データの収集や分析、活用について、一度きりで終わらせるのではなく継続して行うことがとても大切です。データは、アップデートされていきます。データ活用を一度きりで終わらせてしまうと、市場状況にあった戦略が立てられなくなることも考えられます。
データの収集・分析・活用は、継続して行いましょう。
日本企業におけるデータ活用の課題
データ活用は、ビジネスにとって有効的なものになるため、とても重要な作業だといえます。しかし、日本企業ではデータ活用に関して課題を抱えている部分もあるのです。
非効率的なデータ分析方法を用いる企業が多い
まず、課題として挙げられるのが、データ分析の際に非効率的な方法を用いている企業が多いことです。Excelなどの計算システムを利用してデータを活用している企業が多くあります。分析ツールを活用している企業はまだまだ少ないということが分かります。
Excelなどの計算システムを利用した手法はとても簡易的ですが、非効率的ともいえます。データ活用による業務の効率化を目指すのであれば、AIを活用したデータ分析を取り入れることが適しているでしょう。
データ活用に必要なスキルを持った人財が少ない
データ活用をより有効的に行うには、処理したデータから課題や改善点などを導き出して、課題の解決に役立てることのできる人財が必要です。しかし、データ活用を行える専門的な知識を持った人財が不足しているといわれています。
データ活用ができる専門的な知識を持った人財をすぐに見つけようと思っても、見つからない可能性があるのです。そのため、新規採用や異動でデータ活用ができる人財を増やすよりも、既存社員を育成し社内データサイエンティストを育成するとともに、現場の人のデータ活用スキルを高めることが重要といえます。
おわりに
今回は、ビジネスではとても重要ともいえるデータ活用についてご紹介しました。 データを活用することで、新しいビジネスへの挑戦や既存の商品・サービスの改善に役立てることができます。また、データを活用するために環境を整えることで、DXの推進や業務効率化につながることも。データを活用することでさまざまなメリットが生まれることが分かります。
データ活用のためには、データを分析したり取り扱うことができたりする人財が必要です。データ活用ができる人財の育成に取り組み、社員のスキルアップを図るのも良いのではないでしょうか。
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