スクラムとは?アジャイル開発との関係性・メリットなどを解説

2023.08.23IT
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スクラムとは?アジャイル開発との関係性・メリットなどを解説

アジャイル開発の一手法であるスクラムは、従来の開発手法と異なり、開発段階での仕様変更にもスムーズに対応できる柔軟性が魅力です。

今回は、スクラム開発の特徴や注意点、成功のポイントなど、基礎知識をまとめてご紹介します。

スクラムはアジャイル開発手法の1つ

スクラムとは、アジャイル開発手法の1つです。チーム内で密にコミュニケーションを取り、短い開発サイクルを複数回積み重ねて、システムを構築します。

構成が複雑な場合や、開発スタート時、必要な機能の全容などが不明確な場合でも、ニーズに合ったシステムを構築可能なので注目されている手法です。

アジャイル開発とは

スクラムを含むアジャイル開発とは、「計画→設計→実装→テスト」のサイクルを何回も繰り返す手法で、開発途中の変更にも柔軟に対応可能です。

スクラムの他に、XP、FDDなど、複数の種類があります。

アジャイル開発手法の例
スクラム
  • チーム内のコミュニケーションを通じ、開発の精度を高める
  • 1サイクルは1週間から1ヶ月程度
XP(エクストリーム・プログラミング)
  • 2人1組でプログラミングを行うなど、少数精鋭の開発体制
  • 1サイクルは1週間から2週間程度
FDD(ユーザー機能駆動開発)
  • ユーザー目線を重視し、重要な機能から開発を進める
  • 1サイクルは2週間未満程度

スクラムが向いているケース

スクラムが向いているケース

スクラムにも向き・不向きがあります。向いているケースの例は以下の通りです。

  • 早期段階でリリースをして、ユーザーのフィードバックを得ながら機能の改善や拡張をしていくことが可能な場合
  • 初期段階ですべての要件を定義できないなど不確実性が高い場合
  • 自発的なコミュニケーションが得意な開発メンバーが多い場合

試行錯誤して最適なシステムを構築できるスクラムは、一刻も早くリリースした上で、ユーザーのフィードバックを得ながら機能改善・機能拡張していくことが可能な開発に向いています。
また、状況変化に対応しやすいので、要件を定義できない場合、市場ニーズの変化が早いなど不確実性の高い開発にも適しているでしょう。

一方で、期限の厳守が求められる案件・最初から仕様が確定しており変更の可能性がほとんどないシステムとは、相性は良くありません。

スクラムの特徴

スクラムは、4つのイベント(会議など)を、3つのロール(役割)が中心となって進め、3つの作成物をつくることが特徴です。

ここでは、スクラムの核となる4つのイベント・3つのロール・3つの作成物について把握しましょう。

スクラムの4つのイベント

スクラムでは、1つのサイクル(スプリント)内で4つのイベントを行います。

スクラムの4つのイベント
スプリントプランニング
  • サイクルの最初に実施
  • 作業範囲の検討、所要時間の見積り、割り振りなどを行う
デイリースクラム
  • 期間中、毎日15分程度実施
  • 各自の進捗、課題などを共有する
スプリントレビュー
  • サイクルの最後に実施
  • 関係者を集め作業範囲のデモンストレーションをする
スプリントレトロスペクティブ
  • スプリントレビューの後に実施
  • 開発チーム内で今回のサイクルを振り返り改善につなげる

上記4つを1セットとして何回も繰り返すのが、スクラムの基本的な流れです。

スクラムの3つのロール

スクラムでは、重要な役割を担う3つのロールがあります。

スクラムの3つのロール
プロダクトオーナー
  • 開発プロジェクト全体の総括者
  • 実装する機能や優先順位、ステークホルダーとの調整など
開発チーム
  • 開発業務を行うメンバー
  • ビジネスアナリスト、プログラマー、テスターなどが連携
スクラムマスター
  • 開発チーム内の調整役
  • チームメンバーが自律的に作業できるよう障害を取り除く

以上の3つの役割が連携することで、スクラムの成果を最大化できます。

スクラムの3つの作成物

スクラムでは、3つの成果物を作成します。

スクラムの3つの作成物
プロダクトバックログ
  • 開発するシステムに必要な機能を優先度に応じて並べた一覧
  • プロダクトオーナーが管理する
スプリントバックログ
  • 各サイクル(スプリント)ごとに作成
  • 今回のサイクルで実装する機能をタスク単位に分解した一覧
インクリメント
  • 各サイクルで作成や実装した成果物

各バックログをきちんと整理しておくことで、ユーザーニーズと合致するインクリメントを効率的に作成することが可能です。

スクラムのメリット・注意点

スクラムには、多くのメリットがある一方で注意点もあります。

スクラムのメリット・注意点
メリット
  • 仕様変更に柔軟に対応できる
  • 希望どおりのシステムを構築できる
  • 開発時の手戻りがなくなる
  • 細かい単位で漸進的にリリースができる
注意点
  • 開発全体のスケジュールを管理しづらい
  • メンバーのスキルが不十分だと品質が低下する

メリット・注意点の両面を踏まえ、開発内容に合わせた最適な手法を選ぶことが大切です。

スクラムのメリット

スクラムの主なメリットは、次の4つです。

  • 仕様変更に柔軟に対応できる
  • 希望どおりのシステムを構築できる
  • 開発時の手戻りがなくなる
  • 細かい単位で漸進的にリリースができる

短期間のサイクルを反復するスクラムは、軌道修正しやすく、仕様変更にも柔軟に対応できます。

また、部分的に構築し、使ってみたフィードバックを踏まえて残りの仕様を固めるといった運用も可能です。そのため、希望どおりのシステムを構築しやすく、開発時の手戻りも少なくて済みます。

スクラムの注意点

スクラムには、以下のような注意点もあります。

  • 開発全体のスケジュールを管理しづらい
  • メンバーのスキルが不十分だと品質が低下する

サイクルを反復する過程で改善や変更を随時行うスクラムは、開発全体のスケジュールを管理するのが難しく、期限超過しやすくなることが難点です。

また、メンバー同士のコミュニケーションを通じて開発の精度を高める性質上、各メンバーのスキルが不十分だと、品質が低下する傾向にあります。

スクラムを成功させるためのポイント

スクラムでの開発を成功させるには、押さえるべきポイントが2つあります。

  • スクラムについてスキルを高める
  • 開発の方向性をチームで共有する

どのような点が重要なのか、順番に見ていきましょう。

スクラムについてスキルを高める

スクラムについてスキルを高める

開発に関わる全員が、スクラムに関するスキルを高めておく必要があります。スクラムの進め方を理解したメンバーの自律的な作業や発言・情報共有などが活発に行われることで、システムの質を高められるためです。

ただし、スクラムに必要な知識は、座学だけで習得することは難しいのが実情です。実践レベルのスキルを身に付けるには、外部研修などを活用し、演習を通して習得する必要があるでしょう。

開発の方向性をチームで共有する

スクラムを成功させるには、システム開発の方向性を、開発チーム内で共有する必要があります。短いサイクルを反復し、仕様変更にも柔軟に対応するスクラムでは、方向性を明確にしていないと、開発目的とのずれが生じやすくなるためです。

ミーティングなどで、随時方向性を確認しながら進めると良いでしょう。

まとめ

スクラムは、仕様変更に柔軟に対応できる・希望どおりのシステムを構築しやすくなるなど、多くのメリットがある開発手法です。ただし、そのメリットを最大化するには、スクラムの特徴や進め方を理解し開発内容との相性も見極めた上で、採用を検討する必要があります。

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