DevOpsとは?概要や導入メリット、必要性などをわかりやすく解説
2024.04.22ビジネスソフトウェア開発の現場では、たびたび運用チームと開発チームで意見の食い違いから対立してしまうことがあります。対立してしまうとサイロ化が起こり、開発に支障が出ることも考えられます。そこで注目されているのが「DevOps」です。DevOpsは、多くの企業で支持されている開発手法の1つとされています。
では、DevOpsとは、具体的にどのような開発手法なのでしょうか。
本記事では、DevOpsの概要や導入メリット、必要性などをわかりやすく解説します。
DevOpsとは
DevOpsとは、開発チームと運用チームが連携して、スムーズに素早くシステム開発を行う手法のことを指します。DevOpsは、「開発(Development)」と「運用(Operations)」を組み合わせた造語で、「デプオプス」と読みます。
DevOpsが生まれた背景
ソフトウェアの現場では、基本的に開発と運用とのチームに分かれて作業が行われます。開発チームと運用チームは、求められることが異なるため、それぞれの立場から意見が食い違い対立してしまうことも多くあります。
対立が続いてしまうと、チーム間の溝がさらに深まる「サイロ化(※)」が起こります。そこで、ありがちなチーム間の対立を解消して、スムーズに開発を進めていこうというDevOpsの考え方が生まれたとされています。
(※)ビジネス・IT領域おけるサイロ化とは、業務プロセスや業務アプリケーション、各種システムなど組織や情報が孤立し、共有できていない状態を指します。
DevOpsのライフサイクル
DevOpsは、7つのライフサイクルで構成されています。ライフサイクルの詳細は下記のとおりです。
- プラン:プロジェクト全体のタスク管理や開発要件
- コード:開発要件に沿ってプログラマーがコード作成を行う
- ビルド:ソースコードから実際に動作させるアプリケーションを作る
- テスト:作成したアプリケーションに不具合がないかチェックする
- デプロイ:アプリケーションを本番環境に配備する
- 運用:継続的にサービスを提供するために保守管理を行う
- モニター:運営から得られた情報やユーザーからの評価、要望などを確認する
これらのサイクルを順番に踏んで、継続して回すのが、DevOpsの実践ということになります。
DevOpsを導入するメリット
DevOpsを採用し現場に導入することで、さまざまなメリットがあります。
スムーズな開発の実現
DevOpsは、開発チームと運用チームとの連携が取れる仕組みや作業の自動化により、スムーズに開発を行うことができます。また、顧客の要求や変化する市場のニーズにも素早く対応することが可能です。
生産性の向上
DevOpsは、使いやすいツールを使用して、開発チームと運用チームの連携を強化します。そのため、リリースまでのプロセスをシンプルでスピーディーにしてくれるため、システム開発の生産性向上につながります。
リリースの高速化
DevOpsは、連携や作業の自動化などにより、リリースに手間がかからなくなります。
スムーズな開発の実現や生産性の向上により、ソフトウェアのリリースを高速化させることができます。
セキュリティの向上
DevOpsは高頻度で、改修やリリースを繰り返すことから、セキュリティテストが自動的に行われる仕組みになっています。ライフサイクルのなかに、セキュリティテストも含むことで、工数を削除しつつもスムーズな開発が可能です。DevOpsには、セキュリティ要素も含むため、システム開発のセキュリティ向上につながります。
ビジネス競争力の向上
DevOpsの導入は、ビジネスの競争力を高めるためにも有効的です。スマートフォンの普及により、アプリケーション市場も伸びており、今後もますます伸びていくと考えられています。DevOpsを導入にして、高品質でユーザーに寄り添ったソフトウェアを開発できれば、他社との差をつけることができるでしょう。
DevOpsの必要性
DevOpsは、開発チームと運用チームの対立の克服と連携の強化に役立ちます。他にも、スムーズな開発の実現、リリースの高速化といったさまざまなメリットがあります。DevOpsを導入することで、システムの統合性と安定性をキープしながら、ソフトウェアの品質を向上でき、早いリリースサイクルでサービスを提供することが可能です。
クラウドの役割
効率的なDevOpsの環境を作るには、作業環境をクラウドで構築することが大切です。クラウドを利用することで、担当者がどこにいても、開発チームと運用チームで連携をスムーズに取ることができます。
DevOpsを組織に適用するには
では、DevOpsを組織に適用するには、何が必要なのでしょうか。
組織文化の変革
まず、DevOpsを組織に適用するにあたり、これまでの組織文化を変える必要があります。
というのも、DevOpsは単なるツール技術ではなく、文化や慣行も重要な要素だからです。開発チームと運用チームとでお互いの視点を理解し、協力して環境の見直しをすることが大切です。
自動化の導入
ソフトウェアのリリースの高速化や生産性を向上するには、DevOps自動化ツールを利用して、効率を向上させることが重要です。作業を自動化させることで、これまで手動で行われてきたタスクや手順を効率化します。また、ヒューマンエラーを軽減させることもできるため、ソフトウェア開発ライフサイクル全体の効率化を実現するにはとても重要です。
また、CI(インテグレーション)によるコード変更の統合とアプリケーションの自動ビルドなどもかかせません。さらに、CD(継続的デリバリー)というソフトウェアのパッケージ化と本番環境への展開プロセスを自動化する仕組みも多くの企業で取り入れられています。
モニタリングとフィードバックの強化
リリース後のソフトウェアのパフォーマンスやユーザーのフィードバックを迅速に収集し、その情報をもとに改善を進めることが重要です。モニタリングとフィードバックは、継続的に行い、サービスの強化につなげていきます。
DevOpsを正しく理解しビジネスの価値を高める
DevOpsを採用することで、開発チームと運用チームの対立を減らすことができ、生産性の向上やリリースの高速化などが期待できます。DevOpsを正しく理解し、企業に取り入れていくことで、さらにビジネスの価値を高めることができるでしょう。
アイ・ラーニングでは、はじめてDevOpsを学ぶ方やDevOpsについて興味のある方に向け、DevOpsについて学べる研修を用意しています。DevOpsを企業に取り入れたいと考えている担当者さまは、お気軽にご相談ください。
● DevOpsの特集ページはこちら
https://www.i-learning.jp/service/it/devops.html