業務改善とは?メリットや進め方、主なフレームワークを解説

2023.10.25ビジネス
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業務改善

業務の生産性を向上させるためには、現状の工程や作業内容を見直して課題を整理し、施策を実行する必要があります。
業務改善によって生産性が向上することで、コストの削減や従業員のストレスの軽減、モチベーションの向上にも期待ができます。実施によって大きな効果が見込まれる業務改善ですが、どのように進行すれば良いのでしょうか。

この記事では、業務改善を実施するメリットや進め方、主なフレームワークについて解説します。

▼業務改善とは

業務改善とは、現状の業務を見直して課題を洗い出し、その課題を解決するための改善案を立案し実施することを指します。

現代の日本では、高齢化や従業員の賃金高騰といった、経営を圧迫するような要素が多くあります。会社の収益を上げるためには、不要な費用削減や生産性の向上などを行う必要があります。 しかし、深く考えずに実施するとかえって減益となることがあるため、業務全体の見直しが求められます。現状の業務を見直し、多くの時間や費用がかかっている業務を特定し改善を行うことで経営の安定化を図ることができます。

▼▼業務効率化との違い

業務改善と混同されることが多い言葉には、業務効率化と呼ばれるものがあります。

業務効率化とはムダなコストや時間を削減し、最小限の労力で最大限の成果を得るための仕組みづくりを指します。

業務改善は企業全体の生産性向上を目指すプロセスを指しますが、業務効率化の目的はあくまで作業を効率よく行うための取り組みです。 そのため、業務効率化は業務改善に含まれる要素のひとつだといえるでしょう。

▼業務改善を行うメリット

業務改善を検討する従業員

業務改善を行うことは、企業にとって多くのメリットがあります。

▼▼生産性の向上

業務改善を行うことによって得られるメリットのひとつとして、生産性の向上が挙げられます。企業における生産性とは、従業員や機材といった企業が保有する経営資源を活用して収益などの成果を生み出すことです。

しかし、企業によっては経営資源を最大限に有効活用できていないことがあります。

たとえば、稼働していない機材があったり、手持ち無沙汰となっている従業員がいたりといったことが挙げられます。業務改善の最初のプロセスでは、現状の業務を洗い出して課題を浮き彫りにすることであり、そこから改善案を立案し、実践します。 導入している機材を稼働させ、従業員の能力を最大限に発揮させることで生産性を向上させることができます。

▼▼コスト・経費の削減

業務改善を行うことによって、生産性の向上だけではなくコストや経費の削減を図ることができます。企業では、収益状況を左右する要因として光熱費や人件費、資材費用などさまざまな出費があります。業務改善の際には、出費に関するあらゆる要素を洗い出し、徹底的に見直すことでコストダウンを図ります。

たとえば、同じ作業でもそれに携わる従業員を減らすことができれば、人件費のコストダウンが図れたといえます。 このように、生産性の向上とコストダウンはお互いに作用しあう関係性があるといえるでしょう。

▼▼従業員満足度の向上

従業員のなかには、苦手な作業や時間がかかってしまう作業、人がやらなくても良い作業を実施している人がいるかもしれません。

そのような作業をしている従業員はミスを起こしやすく、生産性の低下だけではなくストレスの原因となっている可能性もあります。従業員にストレスが溜まるとさらにミスが発生し、生産性が低下することから負のスパイラルに巻き込まれてしまいます。

人員配置を見直し、従業員が最大限のパフォーマンスを発揮することができればストレスが軽減され、満足度の向上が期待できます。 近年では、ライフワークバランスの向上を重要視している企業や従業員が多いため、満足度の向上は企業の重要課題のひとつです。

▼業務改善の進め方

業務改善を進める際は、下記のステップで行いましょう。

▼▼業務の可視化

業務改善を行うにあたり、現状の業務や課題を可視化する必要があります。

どのような業務があり、誰がどれほどの時間をかけているかなどのほか、業務の流れ、業務の目的、工数・コストを把握します。企業によっては担当者に業務や責任を丸投げしていることによって、現状が見えていないことがあります。 業務を可視化することで課題やコストが浮き彫りになるため、多くの発見があることでしょう。

▼▼課題の洗い出し

業務の可視化が終わったあとは課題の洗い出しを行います。

課題を洗い出す際は、内容を整理するだけでなくなぜそうなってしまっているのか、原因まで詳細に分析する必要があります。生産管理における重要な要素であるQuality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)について担当者や管理者などにヒアリングしていきます。 さまざまな視点から課題を洗い出し、課題の影響度や優先事項を決定することがその後の解決策立案につながります。

▼▼業務改善のゴールの設定

業務改善を行う際、明確なゴールが設定されていないことで失敗してしまうケースがあります。

明確なゴールの一例として、携わる従業員を〇人減らす、○○の業務時間を〇時間以内に収める、といったことが挙げられます。洗い出した課題に対して、どのような状態になれば成功なのかを明確にすることで、そのためのプロセスを考案することができます。 通常業務でも、ゴールの有無によって作業効率は大きく変わるため、日頃から明確な目標を設定して業務に取り組む必要があります。

▼▼業務改善策の考案

業務改善のゴールを設定したあとは、ゴールを達成するために何をするべきなのかといった改善案を立案します。自動化できる作業は機材やシステムを導入する、多くの従業員が携わっている業務には適切な人材を配置することで人員削減を行う、業務の一部を外部に発注する、などが挙げられます。 改善案を立案する際、対象となる課題の要因を分析する必要があります。思い付きで実施すると期待しているような成果を得られないだけではなく、改悪となってしまう可能性があるため注意が必要です。

▼▼業務改善の実行

改善案を考案したあと、実際に現場にて業務改善を実行します。

しかし、改善案通りに改善ができないことがあり、そのような場合は微調整や改善案の見直しなどを行いましょう。 短期間で見ると従業員が慣れていないなどの要因も考えられるため、中・長期的な視点も必要です。

▼業務改善のフレームワーク・手法5選

PDCAのフレームワーク

下記、業務改善を実施する際に用いられることが多いフレームワークです。業務改善のフレームワークや手法、考え方を取り入れることで、より効率的な対応が可能になります。

▼▼PDCAサイクル

PDCAサイクルとは、下記4つの要素で構成されるフローを繰り返し行うことで、成果の改善を行うフレームワークです。

  • Plan(計画):改善計画の立案
  • Do(実行):立案した改善を行う
  • Check(評価):実行した結果を改善計画と比較・分析し、解決策の問題点を探る
  • Action(改善):解決策を実行に移す

PDCAサイクルを繰り返すことで細部の改善を繰り返して成果を上げていくため、中長期的な業務改善に向くフレームワークです。

▼▼ECRS(イクルス)

ECRS(イクルス)とは、下記4つの英単語の頭文字を取った、業務改善のフレームワークです。

  • Elimimate:不要な要素の排除
  • Combine:複数業務の統合
  • Rearrange:従業員や機材の交換・配置換え
  • Simplify:複雑な業務の簡素化

ECRSを適用することで、業務フローを可視化して停止・統合・簡素化などを行うことができます。

▼▼ロジックツリー

ロジックツリーは課題を樹形図で書き出すことによって、要素を細かく分解・分析する際に使用するフレームワークです。 分解する事象には下記のようなものが含まれており、さまざまな観点から原因と対策を練ることができます。

  • 要素分解を行う「Whatツリー」
  • 原因追及を行う「Whyツリー」
  • 問題解決を行う「Howツリー」
  • 数値から課題と解決案を練る「KPIツリー」

▼▼BPR (Business Process Reengineering)

BPRとは、現状の業務だけではなく組織、経営戦略などを見直し、プロセスの再構築を行って成果を改善する方法です。 下記、BPRを実施する5つのステップです。

  • 検討
  • 分析
  • 設計
  • 実施
  • 評価

これまでの経営戦略や業務フローと大きく異なることがあり、その分大きな成果改善が期待できます。 一方、作業に不慣れな期間があったり、期待していたような効果が得られなかったりすることがある点には注意が必要です。

▼▼KPT

KPTは下記のように「Keep」「Problem」「Try」といった3つの要素で構成されている「振り返り」を行うためのフレームワークです。

  • Keep:維持すること
  • Problem:改善すること
  • Try:新たに試みること

ほかのフレームワークと比べると比較的容易に取り組める一方、従業員のマンネリ化が危惧されます。 そのため、従業員個人が業務改善について関心を持ち、意識的に望むようなモチベーション維持が必要となります。

▼業務改善を行う際の注意点

業務改善を行う際には、以下の注意点を考慮することでより効果的な改善を見込めるでしょう。

▼▼継続的に改善を行う

業務改善に失敗する方の特徴として、実施そのものがゴールとなってしまっていることが挙げられます。 先述の通り、業務改善の目的は生産性の向上や収益の安定化であり、実施はあくまでプロセスのひとつです。実施をゴールとするのではなく、社会や環境の変化に合わせて業務改善のサイクルを継続して実行できるよう、業務環境を整備していくことが重要です。

▼▼長期的な視野を持つ

業務改善の実施事項の多くは、数日や数週間では改善が見られないものです。 そのため、業務改善を行う際は長期的な視野を持ち取り組むことが必要となります。目先の業務の効率化だけを見るのではなく、全体を俯瞰して長期的視点で判断を重ねていくと良いでしょう。

▼▼現実的な改善策を考案する

改善案を立案している際の注意点として、非現実的な案を立案してしまっていることが挙げられます。

たとえば、これまで10万円の費用がかかっていた作業を0円にする、といった改善案はあまり現実的ではないといえます。 改善案を立案する際は、人材やスキル、コストなどを考慮することが非常に重要です。また、無理な業務改善は改悪や従業員の不満につながるリスクがあることを念頭に置く必要があります。

▼まとめ

本記事では、業務改善の方法や注意点などについてご説明しました。

業務改善とは、現状の業務を見直して課題を洗い出し、その課題を解決するための改善案の立案や実施することを指します。改善案を立案する際にはPDCAサイクルやECRS、ロジックツリーといったフレームワークを使うと可視化しやすいでしょう。業務改善を行う際には、まず現状の業務や課題を洗い出すところから始めましょう。

また、業務化の前には業務フローを可視化し、活用することが有効です。当社でも業務フローの改善に関する研修を設けております。 業務を改善し、収益体質の改善にご興味をお持ちの方は、下記より研修にご参加いただけると幸いです。

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