APIエコノミーとは?メリット・デメリット、実例を用いてわかりやすく解説
2024.11.11IT
APIを公開することでビジネスの経済圏を広げる「APIエコノミー」は、デジタル化が進む中で、新たなビジネスチャンスを得るための有効な施策です。APIを活用することで、他の企業やサービスと連携し、新しい価値を生み出すことができます。
そこで今回は、APIエコノミーの概要やAPIエコノミーを活用するメリット・デメリットについて具体例を交えて解説します。
APIエコノミーとは
APIエコノミーとは、APIを公開して自社と他社のサービスを相互に活用し、経済圏を拡大する仕組みです。
これまでは自社で製造して開発するのが一般的でしたが、APIを活用することで、自社と他社のアプリケーション・サービスをかけ合わせて販売することができます。他社のアプリケーション・サービスと連携することで相乗効果が生まれ、サービスの拡散力も高まります。
これまで、自社で開発したアプリケーションやサービスだけでは、デジタル化の推進には限界がありました。しかし、APIエコノミーを活用し、自社のアプリケーションやサービスと相性の良い他社のサービスを組み合わせることで、デジタル化をより迅速に進めることが可能です。デジタル化が急速に求められている中で、こうしたAPIエコノミーが注目されています。
APIとは
APIとは「アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)」の略で、ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐインターフェースのことです。このAPIを公開して、他社のさまざまなサービスやデータと連携し、経済圏を広げていくのがAPIエコノミーの基本的な考え方です。
APIエコノミーのメリット

APIエコノミーを導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、APIエコノミーのメリットを見ていきましょう。
新たなビジネス拡大が狙える
APIを通して、サービスやデータなどを提供することで企業は他のビジネスとの連携を深めて新たな価値を創出することができます。また、自社APIを公開することで、これまでリーチできない新しい層に対して、アプローチしやすくなり、競合他社との差別化を図ることが可能です。
APIエコノミーは企業間の協力を促進し、新たなサービス開発を通じて、ビジネスの拡大を支える役割を果たすとされています。
ニーズに合わせた迅速な対応が可能
APIエコノミーは、顧客のニーズに合わせたアプリケーション・サービスの開発がしやすくなるといったメリットもあります。
APIを使ってデータや機能を連携させることで、システムの操作がスムーズになり、ユーザーの利便性が向上します。また、APIエコノミーを導入することで、自社のアプリケーションやサービスの認知度を上げるための拡散ツールを開発する必要がなくなります。これにより、顧客のニーズに合わせたアプリケーション・サービスの開発をより効率的に進められるようになります。
開発のコスト削減
APIエコノミーを活用することで、コスト削減しながら経済圏を拡大できるといったメリットがあります。他社のAPIを利用することで、自社でゼロから開発する手間が省けます。また、APIは無料で利用できる場合が多く、API開発コスト削減につながります。コストをかけずに、効率良く自社サービスを構築することができます。
APIエコノミーのデメリット
APIエコノミーには、デメリットもあります。ここでは、デメリットとその対策方法について解説します。
セキュリティリスクやデータ漏洩の懸念
APIの脆弱性をついた不正アクセスや、APIを共有することで重要なデータが他社に漏れてしまう可能性もあります。そのため、社内のセキュリティを強化するなど、適切な対策を講じる必要があります。また、APIを利用する際は、提供元が安全であるかどうかをこまめに確認するようにしましょう。
APIサービスの提供中止や停止への対応
提供元の都合でAPIサービスの提供が中止したり、値上げや有料化によりAPI連携が難しくなり停止せざるを得ない状況になったりする可能性があります。他社のAPIのサービスが中止・停止すると、連携している自社サービスに不具合が生じることもあります。
そのため、過度にAPIに依存しないように注意が必要です。自社サービス・アプリケーションの核となる技術をしっかり保持し、不足している部分をAPIで補うようにしましょう。これにより、APIに依存しすぎるリスクを軽減し、安定したサービス提供が可能になります。
APIエコノミーの身近な例

APIエコノミーは、多くのサービスで活用することができます。ここでは、活用しやすいAPIエコノミーの身近な例をご紹介します。
YouTube
まず、身近なAPIエコノミーとして挙げられるのが、YouTubeです。YouTubeのAPIを活用することで、視聴時間やチャンネル登録者数などの情報を取得し、効果測定を行うことができます。
例えば、YouTubeチャンネルを持つ企業は、APIで取得したデータを活用して動画分析を効率的に行い、自社のターゲットに対して効果的なアプローチが可能になります。APIを通じて取得した情報を基に、戦略的なマーケティングを展開することができます。
GoogleのAPIは、Googleが提供するさまざまなサービスと連携できます。
例えば、WebサイトにGoogleマップを埋め込むこともAPIエコノミーの一例です。また、GoogleカレンダーやGmailなどのアプリと自社のサービスを紐づけることもできます。これにより、ユーザーにとっての利便性が向上し、企業活動をより円滑に進めることができるでしょう。Googleのサービスと連携させることで、効率的なビジネス運営が可能になります。
LINE
LINEのAPIでは、チャットボット開発やIoT開発、音声アシストの開発、LINEログイン機能などさまざまなサービスを構築できます。例えば、LINEログイン機能を使うと、ユーザーはLINEアカウントを利用して、自社のアプリやサービスに簡単にログインできるようになり、利便性の向上につながります。
さらに、LINEは多くの人が利用するメッセージアプリであるため、そのAPIを活用することで、多くのユーザーにリーチできるというメリットがあります。これにより、ビジネスチャンスを広げ、より多くの顧客にアプローチすることが可能になります。
OpenAI
次に、AI技術を活用できるOpenAIのAPIがあります。このAPIを導入することで、自然言語処理AIモデル「ChatGPT」を自社サービスに組み込むことができます。例えば、カスタマーサポートに独自のAIチャットボットを導入し、ユーザーの質問に迅速かつ自動で対応したり、定型業務の自動化を図ったりすることが可能です。OpenAIのAPIを活用することで業務効率の向上やユーザー体験の改善が期待でき、さまざまな分野での活用が進んでいます。
今こそAPIエコノミーをビジネスに活かそう
APIエコノミーは、自社と他社のサービスを相互に活用するためにAPIを公開することを指します。これにより自社のアプリケーションやサービスを拡充したり、これまでリーチできなかった新しい層にアプローチできたりと、さまざまなメリットがあります。さらに、競合サービスとの差別化を図る手段としても、APIエコノミーを活用することは有効です。
アプリケーション・システム開発には、こうしたAPIの活用を含め、さまざまな知識が必要です。より多くの知識をつけるなら、研修で学ぶのがおすすめです。アイ・ラーニングでは、アプリケーション・システム開発について学べる研修をご用意しています。自社のアプリケーション・システム開発の促進にお役立てください。
アイ・ラーニングのITスキル研修についてはこちらから
https://www.i-learning.jp/service/it.html
アイ・ラーニングコラム編集部