レジリエンスとは?ビジネスにおける意味やメリット、高める方法をご紹介

2024.02.19ビジネス
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
レジリエンス

昨今、働き改革による労働環境の変化やコロナによる生活環境の変化など、私たちを取り巻く環境は日々変化しています。ビジネスの場でも世の中の変化に適応し、思いもよらぬストレスに対処しながら成果を上げることを求められています。
そんな困難な状況において、適応する弾力性(しなやかさ)や回復力を表す「レジリエンス」という言葉が注目されています。

本記事では、ビジネスにおけるレジリエンスの意味やメリット、レジリエンスを高める方法についてご紹介します。

▼レジリエンスとは

レジリエンス(resilience)とは、回復力やしなやかさといった意味を持つ単語です。
ビジネスにおいては心が折れそうになったり、逆境に負けそうになったりする際に自身をマネジメントすることを指します。
「受注が取れない」「残業が続いている」といった、社員にとってネガティブなメンタルを理解し、乗り越えることが重要です。
レジリエンスが高い方は、逆境に強い特徴を持ち、困難な問題や危機的な状況に直面してもすぐに立ち直ることができ、適応していくことが可能です。さまざまな事象に直面しても、最善を考え行動できるため、常に成長する方ともいえます。
そのため、レジリエンスは特定の社員だけではなく全社員が取得すべきスキルといえるでしょう。

▼▼レジリエンスと混同されがちな言葉との違い

レジリエンスには、「メンタルヘルス」「ストレス耐性」といった混同されがちな言葉があります。

メンタルヘルス

メンタルヘルスとは、心の健康を意味するもので心理的な負担を軽減したり、精神疾患にかからないように予防したりすることをいいます。
一方、レジリエンスは困難に直面したときに「どう対処するか」「いかにうまく回復できるか」を意味するものです。
つまり、メンタルヘルスは事前の対策、レジリエンスは事後の対策といえます。

ストレス耐性

ストレス耐性とは、肉体的・心理的・精神的なストレスを感じたときに耐えられる度合いを指すものです。
こちらはレジリエンスを構成する要素のひとつに含まれるものであり、どこまでなら耐えられるのかを検討する際に用いられます。
ただし、ストレス耐性が高い方でも一定量の負荷がかかってしまうと業務のパフォーマンスが落ちてしまいます。

▼ビジネスの場でレジリエンスが注目される理由

近年レジリエンスが注目されるようになった背景には、ビジネス環境や労働環境の変化が挙げられます。
バブル崩壊前までは年功序列や終身雇用といった労働環境が多くありましたが、2019年に政府が打ち出した「働き方改革」により、働き方の多様化や終身雇用の崩壊など企業を取り巻く労働環境は大きく変化しています。近年では、年功序列ではなく成果主義が前提で評価されるほか、その影響により外的圧力によるストレスが増加しています。

厚生労働省が発表した『令和4年度 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況』では、「仕事や職場に関して強いストレスを感じている」という労働者の割合は82.2%に及んでいます。ストレスの要因としては、「仕事の量」が最も多く36.3%、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が35.9%となっています。

また、現在ベンチャー企業が10年間存続する理由は6%程度であることから、先行きが不透明で競争が激しい環境といえるでしょう。そのため、労働者の多くは仕事や職場生活において強いストレスを感じており、企業の生産性に大きな影響を与えています。

このように、ビジネス環境や労働環境の変化により、ストレスの乗り越え方であるレジリエンスが重要視されるようになりました。
レジリエンスは持続可能な発展を遂げるための重要な資質とみなされており、特にリーダーにとって重要なスキルです。
ビジネスを行っていると、さまざまなストレスを受けるものです。それらに対して、最適な方法で乗り越えたり、大きくなる前に解決したりすることが重要となります。
高いレジリエンスを維持することができれば、パフォーマンスの向上だけではなくワークライフバランスの改善も期待できます。

▼組織におけるレジリエンス向上のメリット

レジリエンス向上のメリット

こちらでは、組織におけるレジリエンス向上のメリットをご紹介します。

▼▼社会環境の変化に適応しやすくなる

先述の通り、現在の社会は競争が激しいことから、社会環境の変化が起きやすい状況だといえます。社員のレジリエンスが高くなることで、変化に適応して柔軟に対応することができるようになります。
社員がストレスを成長の機会としてとらえ、困難に直面しても乗り越えることは企業の成長にもつながります。

▼▼社員の心身の健康を維持しやすくなる

ストレスが溜まりやすい環境で働き続けることによって、心身にさまざまな異常をきたしてしまい、健康を維持できなくなります。
これはストレス耐性が高い方も例外ではなく、まだ大丈夫と思っていると気づいたら体調を崩しているといったことがあるものです。レジリエンスを高めることでストレスの回避方法を理解することができるため、最小限の負担で業務に臨むことができます。

▼▼社員の目標達成力の向上につながる

企業活動に限らず、モチベーションを高めることは目標を達成するために重要な要素です。
高いレジリエンスを持つ方は「大丈夫」「うまくいく」といった、自分に自信がある状態であるため、目標を達成しやすくなります。
成果が得られなかった場合も良かった点などを振り返ることができるため、すべての行動がプラスになる点も見逃せません。

▼▼企業の評価指標にもなる

レジリエンスが高い社員が多いと、企業の活気が上がるだけではなく働きやすい環境を構築することができます。新入社員や中途入社の社員のなかには、給料よりも自己成長や働きやすさを優先する方がいらっしゃいます。
そのため、レジリエンスが高い企業は社外からの評価が高くなるため、差別化を図ることができます。

▼組織レジリエンスを高める方法

レジリエンスは特定の社員における問題だけではなく、企業としても高める必要があります。
先述の通り、社内のレジリエンスが高いと社外からの評価も高くなるため、企業としては取り組むべき課題です。

▼▼社員のレジリエンス力を強化する

企業は多くの従業員に支えられているため、社員のレジリエンスを強化することで組織のレジリエンスを高めることができます。
そのためには企業全体がレジリエンスの重要性を理解して、社員に浸透させる必要があります。
社員にレジリエンスを理解してもらうためには、研修やマニュアルの作成、定期的なトレーニングなどが有効です。

▼▼チャレンジを評価する企業文化を醸成する

社員にストレスが蓄積される要因のひとつとして、「ミスが許されない環境であることから行動しにくい」という点が挙げられます。

一方、企業ではリスクを背負っても収益のために新たな事業やサービスを提供したいと考えています。結果はどうあれ、チャレンジした社員に対して一定の評価を与えることで、レジリエンスを高めることができます。
そのためには、ミスや失敗などは次に活かせるようナレッジとして共有できる環境整備も重要となります。

▼▼ミッションやビジョンを浸透させる

企業には多くの社員が在籍していますが、全員がミッションやビジョンを理解していないことがあります。
ミッションやビジョンに則った行動を行わなかった場合、どれだけ努力しても適正評価を得られないため、ストレスに感じます。
そのため、レジリエンスを高めるためには社員全員にミッションやビジョンを浸透させることが重要です。

▼▼BCP(事業継続計画)に取り組む

社員全員にミッションやビジョンを浸透させるためには、マネジャーなどの管理が必須といえます。
マネジャーの仕事は組織やチームのマネジメント、部下の業務管理、育成や指導を担っており、レジリエンスの向上も含まれています。
社員の質を高めるためには、事業継続計画にレジリエンスの向上を含めることが有効です。

▼組織のレジリエンスを高めるためにリーダーに必要なこと

組織のリーダー

ここでは、組織のレジリエンスを高めるために社員のマネジメントを行うリーダーに必要なことを紹介します。

▼▼自身のレジリエンスを高める

部下や関係者にレジリエンスの向上を指導するためには、自分自身が見本となってレジリエンスを高める必要があります。
特に、マネジャーやリーダーといった中間管理職は上司や部下などさまざまな方面からのストレスを抱えるため、レジリエンスが重要です。
「忙しいのに楽しそうに仕事をしている」「常にポジティブで冷静な判断を行える」と周囲に思われることで、レジリエンスの重要性を理解してもらえるでしょう。
レジリエンスの高い人は会社のミッションやビジョンを理解し、それに沿うように動くことができます。部下や関係者といった周囲の評価だけでなく上長からの評価も高くなることで、レジリエンスを高めることが重要であることを自ら証明することが可能です。

▼▼部下やチームのレジリエンスを高める

企業は組織で活動している以上、ひとりの能力やレジリエンスが高くても大した効果はありません。企業全体の底上げを行うためには、部下やチーム単位でレジリエンスを上げることが重要です。
そのためには、リーダーは部下やチーム全体の状況を把握し、課題を明確にする必要があります。

▼▼リーダーが率先して情報や意見交換を行う

リーダーはレジリエンスが高い存在である必要がありますが、必ずしも自身が正しい方法で指導しているとは限りません。
なかには自分のやり方よりも効率や習得スピードが早いものが含まれているため、第三者の意見に耳を傾けることが重要です。
ひとりで悩むよりも複数名で話し合ったほうが解決しやすいため、ほかのリーダーや上長、部下、チームメンバーと積極的に意見交換を行いましょう。

▼現代社会においてレジリエンスは必須項目といえます

本記事では、ビジネスにおけるレジリエンスについてご紹介しました。レジリエンスは現代社会で働くために必要なスキルです。特にマネジメントなどを担うリーダーには必須といえるでしょう。

【他社事例から学ぶ】自社のDX推進を成功に導くために

DX時代をけん引する人材を育てるための戦略

  • このエントリーをはてなブックマークに追加