オンボーディングとは?オンボーディングの意味や目的、メリットについて解説

2024.09.24ビジネス
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面談

入社後に企業文化や仕事に対してギャップを感じ、早期退職につながってしまうことがあります。そのため、新規採用者に合った教育を行わなければなりません。
そこで、注目されているのがオンボーディングです。これは「目的地までの船や飛行機などに乗っている」という意味のオンボード(on-board)」から派生した言葉ですが、オンボーディングとは、具体的にどのような取り組みなのでしょうか。
この記事では、意味や目的、メリットについて解説します。

オンボーディングとは

オンボーディングとは、採用した社員に行う教育プログラムを指します。新入社員がすぐに職場になじみ活躍できるように、人間関係の構築や企業文化・業務内容の理解を深めるのが目的です。
そのため、対象は、新卒入社や中途入社を含む新入社員になり、メンター制度や1on1の実施などが行われます。
オンボーディングは、目的地まで乗り物に乗るという意味の「on-board」が派生した言葉で、新入社員が組織に含まれた様子を表現しています。

OJTとの違い

似た意味を持つ言葉にOJTがあります。OJTは、実務を通して仕事を教える育成を指します。一方でオンボーディングは、企業文化や人間関係といった仕事環境に慣れてもらうための取り組みです。そのため、長期的な施策となります。
OJTは、業務に対しての即戦力化を目的としているため、短期的な施策であることがオンボーディングと異なる点です。

オンボーディングが注目されている理由

オンボーディングが注目される理由として、早期離職率の上昇と人材不足の深刻化が挙げられます。近年では、新入社員の3割が3年以内に離職するといわれています。離職の背景として、転職市場の活発化だけでなく、入社後のギャップや人間関係になじめなかったというネガティブな要因もあります。
また人材不足により、現代の採用環境では売り手市場が続き、新規人材を採用する費用が上昇しています。こうした状況を踏まえて、人材の離職を防ぐ重要性が高まり、1つの対策としてオンボーディングが注目されているのです。

また、2020年以降では新入社員が会社に出社せず、オンラインで研修を受け、業務を習得していくといったリモートワークへの対応も増えており、新入社員の課題として「人間関係の構築が難しい」「戦力となるまでに時間がかかる」などが挙げられます。こうしたリモート環境であっても新入社員が早期に戦力となるような施策が求められています。

オンボーディングを企業が取り入れる目的やメリット

喜ぶチームメンバー

オンボーディングの目的は、新入社員の早期離職を防止し、定着率をあげることです。そのほか、会社のルールやシステム、人間関係に早く適応させることで、新入社員の成長スピードを速めるという目的もあります。

ここからは、オンボーディングを企業が取り入れるメリットについて詳しく見ていきましょう。

採用や研修にかかるコストの削減

まず、メリットとして採用や研修にかかるコストの削減が挙げられます。退職者が出た場合、人材を補填するために採用を行うことでしょう。早期退職が多い場合、短期間で多くの採用募集をかけなければなりません。こうした採用を行うには、コストがかかります。
オンボーディングでは、1on1などを実施し、新入社員一人ひとりの不安を解消します。また、入社後すぐになじめるよう、さまざまな支援やサポートを行います。そのため、早期離職を防ぐことに繋がるのです。
新入社員の定着率がアップすることで、採用や研修も抑えることができ、結果的にかかるコストが削減できます。

新入社員の即戦力化

入社したての新入社員は、企業文化や社内でのルール、使用しているシステムなど把握すべきことが多くあります。また、人間関係の構築や社風・環境に適応しなければなりません。
オンボーディングでは、企業文化や社内でのルール、業務に関する知識を伝えていきます。新入社員が新しい環境でもすぐに能力が発揮できるようにサポートします。新卒の社員であれば、ビジネスマナーなどの基礎を学べる機会も与えます。
また、メンター制度や1on1の実施、先輩社員のサポートを受けることで人間関係を早期に構築することができます。新入社員の即戦力化を実現することで、既存社員が安心でき、新入社員の自信につながるでしょう。

チームの生産性の向上

生産性の向上には単純なコミュニケーションではなく、期待されている役割や仕事の目的の共有が重要です。新入社員は入社後上司との面談でそれらを共有してもらうことで、自身やチームとしてどう行動すれば良いかの指針を知ることができ、明確な行動に移しやすくなります。
また、新入社員が即戦力として活躍することでチームの生産性向上が期待できます。新入社員にとっては企業に貢献していることを実感し、職場に定着しやすくなるでしょう。
また、オンボーディングでは、人間関係の構築にも取り組みます。新入社員と既存の社員が連携しやすくなることから、チームの生産性の向上につながると考えられます。

離職防止につなげる

オンボーディングでは、企業文化や社会ルールなどを事前に教示することから、企業への理解が深まります。入社後のギャップも減らすことが可能です。
また、人間関係の構築もできることから、悩みや不安を周囲に打ち明けやすくなります。新入社員が困難に直面した際に相談できる環境であれば、解決に導くことができます。一人で悩み、退職を決意するといったことを減らすことにつながります。
また、オンボーディングの実施は新入社員だけでなく、既存社員にも良い影響を与えます。情報を共有し、教わったことを次の新しい社員に伝えるなど、相互に支援する流れが生まれ、支援の文化が会社や組織に根付いていきます。新入社員だけでなく既存社員にとっても働きやすい環境となることで、既存社員の離職防止にもつながるでしょう。

教育体制を整える

配属先の部署や教える人によって教育や研修の仕方、仕事のやり方が異なることもあるでしょう。部署が各自で研修を行うと、教え方に違いが出てしまうこともあり、人事が統一した研修を組み立てるなど、教育体制を整えることが大切です。
ビジネスマナーやコンプライアンス研修といった全社員向けの教育については、外部の機関に任せることで教育格差を防ぐことができます。

オンボーディングを実施する際のポイント

メモをとる新入社員

ここでは、オンボーディングを実施する際のポイントをご紹介します。

事前にコミュニケーションを取る

オンボーディングは、入社前から実施します。特に新卒社員は内定から入社まで時間があることから、この間の施策が重要になります。
まずは、信頼関係を作るために、内定者の疑問や不安を払拭し、入社前からコミュニケーションをとることが大切です。新卒社員の入社前のコミュケーションは、人事が行い、信頼関係の土台を作りましょう。

サポート体制の整備

オンボーディングは、会社に早期になじんでもらうことが目的の1つとなっています。そのため、サポート体制を整えておくことも大切です。
例えば、上司や先輩、同年代同士などさまざまな方向からコミュニケーションを深められるサポート体制を整えましょう。同じ部署内だけではなく、職場全体で新入社員をサポートすることが必要です。業務上は関わることが少ない社員であっても積極的に声掛けを行うようにしましょう。

また、入社研修の内容を自社向けにブラッシュアップしたり、オンライン等による外部研修を活用したり、オンボーディングができる環境を整えることも必要です。テレワークを取り入れている企業は、オンラインでの交流会や相談会の時間を設けるのも良いでしょう。
名前と顔が確認できる人事情報システムや、些細なやり取りを可能としてくれるチャットシステムなどの導入もおすすめです。

目標を細分化して設定する

オンボーディングは、研修やOJTよりも長期で行われます。そのため、大きな目標や達成までに時間がかかる目標を立てるかもしれません。しかし、目標が達成できないものだと挫折してしまうことも。目標は細分化して、小さな成功体験が増えていくよう、達成しやすい目標を設定しましょう。

例えば、次のような目標です。

  • 半年後に担当業務の会議に自分の企画やアイデアを持ち込めるようになる
  • 営業として3ヵ月後に自分の力で新規受注を一件獲得できる
  • 自分の組織の業務を一通り理解し、チーム会議で質問できる

小さな成功体験が増えていくことで、社員の成長や自信につながります。具体的には、3カ月~半年程度で達成できる目標を新入社員とともに立てることをおすすめします。

オンボーディングを実現するための研修

オンボーディングは、新入社員の定着率を上げるために必要な取り組みです。
アイ・ラーニングでは、オンボーディングの実施に向けて役立つビジネススキル研修を実施しています。コミュニケーションスキルに関する研修や、対人関係力、提案力の強化といった研修を行っています。さまざまなスキルを身につけることができるため、オンボーディングの取り組みにお役立てください。

ビジネススキルに関する研修はこちら
https://www.i-learning.jp/service/human.html

アイ・ラーニングコラム編集部

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