カスタマーサクセスとは?カスタマーサクセスの仕事内容やKPI
2024.08.06ビジネス
カスタマーサクセスとは、自社の商品やサービスを利用している顧客に成功体験を提供することです。顧客に自社の商品・サービスを選んでもらい、継続的に利用したいと感じてもらうには欠かせない取り組みであり、近年多くの企業がカスタマーサクセス部門を立ち上げています。
本記事では、カスタマーサクセスの仕事内容やメリット、カスタマーサクセスで重要なKPIについてご紹介します。
カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは「顧客の成功」という意味で、自社の商品やサービス通じて顧客に成功体験を提供する概念のことをいいます。顧客にとって良い商品やサービスを提供し、さらに顧客満足度向上や関係維持に向けた有益な情報提供や課題解決などの取り組みを行います。顧客が「利用して良かった」「これからも継続して利用したい」という成功体験を感じられるよう働きかけるのがカスタマーサクセスの役割です。
昨今、サブスクリプション型のサービスが増加している中で注目を集めている概念で、解約率低下や他社との差別化などさまざまなメリットを得ることができます。
カスタマーサポートやカスタマーエクスペリエンスとの違い
カスタマーサクセスと混同しやすい言葉に、カスタマーサポートやカスタマーエクスペリエンスがあります。それぞれの違いを解説します。
カスタマーサポートとの違い
カスタマーサポートとは、顧客からの問い合わせに対して問題や疑問を解消することを指し、メールや電話での問い合わせ窓口やサポートセンターなどが挙げられます。どちらも顧客をサポートするという点では同じ役割を担いますが、カスタマーサポートは顧客からアクションがきた場合に対応することで顧客満足度を向上させる「受動的な姿勢」であるのに対し、カスタマーサクセスは企業側から支援することで顧客の成功を実現させる「能動的な姿勢」といえます。
カスタマーエクスペリエンスとの違い
カスタマーエクスペリエンスとは顧客の体験という意味で、顧客と企業や商品、サービスとの接点において得られるすべての体験のことを指します。どちらも顧客を支援するという意味では同じですが、カスタマーエクスペリエンスは顧客の体験価値を向上させるための取り組みであるのに対して、カスタマーサクセスは顧客の成功を実現できるようサポートする取り組みであるという点が異なります。
カスタマーサクセスの仕事内容
それでは、カスタマーサクセスの具体的な仕事内容をご紹介します。
導入支援
導入支援(オンボーディング)は、顧客が自社の商品・サービスを導入してからスムーズに利用できるようになるまで支援することをいいます。具体的には、操作方法や仕様のレクチャー、トレーニング、メールや電話などでのサポートです。導入後に使いこなせないという理由で解約につながるケースは多いため、カスタマーサクセスによる導入当初の支援は非常に重要な意味を持ちます。
定着支援
定着支援は、顧客が商品やサービスの利用を開始してから定着に向けた支援のことをいいます。導入後、顧客が商品やサービスをただ使いこなせるだけでなく、満足感や価値を得て成功へ導くための支援を行います。解約率の低下や顧客体験の向上につながるため、カスタマーサクセスにおける欠かせない施策の一つです。
コミュニティ運営
コミュニティの場を作ることで、ユーザー同士が情報交換をしたり、課題解決法や成功事例を共有したりすることができるようになります。また、顧客からのリアルな意見や改善点を得られるため、商品・サービスの品質向上にも活用することが可能です。顧客をより成功体験へと導くためには、コミュニティ運営も重要といえるでしょう。
アップセルやクロスセル
アップセルとは、利用中の商品やサービスよりも高額で上位の商品・サービスを提案することを指します。また、クロスセルは、利用中の商品やサービスに加えて関連商品・サービスの合わせ買いを提案することです。ただ商品・サービスの利用拡大を勧めるのではなく、顧客側の視点で目標達成や成功体験を実現するための提案であることが重要です。
カスタマーサクセスを取り入れるメリット
事業にカスタマーサクセスを取り入れることで、さまざまなメリットを得られます。
顧客体験(CX)の向上につながる
カスタマーサクセスは、顧客が商品・サービスを最大限活用して成功につながるよう定期的なコミュニケーションやサポートを行います。これにより、顧客は企業やブランド、商品もしくはサービスに対するポジティブな印象や満足度が高まり、顧客体験の向上につながります。
他社との差別化につながる
カスタマーサクセスは企業視点ではなく、顧客視点で成功に向けた支援を提供するものです。このように顧客のニーズに応じたアプローチは顧客体験をより向上させ、競合他社との差別化につながります。
解約率の低下
カスタマーサクセスは、顧客と長期的な関係の構築に焦点を当ててアプローチします。顧客のニーズや課題を理解して成功に向けた支援を提供することで、双方の間に信頼関係が生まれ、長期的な定着と解約率の低下につながります。
顧客生涯価値(LTV)の向上につながる
カスタマーサクセスは顧客が自社商品やサービスを最大限活用し、かつ満足度が高いと感じてもらえるよう支援します。定期的なコミュニケーションやサポートを継続して行うことで、顧客との長期的な関係が維持され、顧客生涯価値(LTV)の向上につながります。
カスタマーサクセスのKPI
ここでは、カスタマーサクセスにおける代表的なKPIをご紹介します。
解約率
解約率(チャーンレート)とは、顧客が契約・利用中の商品やサービスを解約する割合のことです。顧客が商品やサービスを使いこなして満足感や価値を感じてもらうには、カスタマーサクセスによるコミュニケーションや課題の早期発見が重要となります。契約を開始するだけでなく、その後のアフターフォローがなければ顧客は満足感を得られず、解約につながる可能性があります。新規顧客の獲得は大きなコストがかかるため、既存顧客の継続率を上げることはカスタマーサクセスにおける重要なKPIの一つといえるでしょう。
顧客生涯価値(LTV)
顧客生涯価値(LTV)とは、ある顧客が自社と長期間取引を行った場合に、取引を開始して終了するまでの期間の中で自社にもたらす収益の総額を指します。LTVは、平均購入額や購入頻度、取引期間から算出することが一般的です。LTVが高ければ高いほど顧客との長期的な関係が維持されていることを表し、解約率低下や企業価値の向上に直結します。
顧客ロイヤルティ・NPS
顧客ロイヤルティとは、顧客が企業やブランド、商品もしくはサービスに対して感じている「愛着」や「信頼」のことを指し、これを数値化したものをNPSといいます。NPSが高ければ高いほど、商品やサービスへの顧客満足度や推奨度が高いことを表します。また、一般的に顧客ロイヤルティが高い企業は、LTVが高く解約率が低い傾向にあります。
アップセル・クロスセル
アップセル・クロスセルは、利用中の商品やサービスよりも高額もしくは関連の商品・サービスを提案することを指します。アップセル・クロスセルによる利用拡大が成功するか否かは、カスタマーサクセス(顧客の成功体験)が実現できていることが重要です。
カスタマーサクセスを実現させる人材育成方法

顧客に成功体験を提供することは企業にさまざまな利益をもたらし、さらにビジネスの価値を高めていくことにつながります。カスタマーサクセスを立ち上げる際は、組織全体での情報共有と社員の意識改革が重要となり、コミュニケーションスキルや分析スキル、提案スキルの習得が求められます。カスタマーサクセスの実現に向けて、研修やセミナーへ参加し人材育成を行うと良いでしょう。
アイ・ラーニングでは、カスタマーサクセスの本質や人材育成方法について学べる研修を用意しています。カスタマーサクセスの実現に向けて人材育成を模索している、これからカスタマーサクセスにおける人材育成を行いたいと考えている担当者さまはぜひご相談ください。
カスタマーサクセスを実現させる人材育成研修はこちら
https://www.i-learning.jp/sales/customer-success.html
アイ・ラーニングコラム編集部