ウェルビーイングとは?ウェルビーイングの意味や実現するための取り組み
2024.08.06ビジネスウェルビーイングとは、「肉体的・精神的・社会的にすべてが満たされた状態」を指す概念のことです。どのような場面・環境で「幸せ」「満たされている」と感じるかは人それぞれですが、企業がウェルビーイングを実現することでさまざまなメリットを得ることができます。
本記事では、ウェルビーイングの意味やメリット、実現に向けた取り組みについてご紹介します。
ウェルビーイングとは
ウェルビーイングとは、「Well(良い)」と「Being(状態)」から成る言葉で、心身ともに良好な状態である概念です。
世界保健機関(WHO)憲章の前文によると、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義されています。混同しやすい意味を持つ言葉で「Happiness(幸福)」がありますが、「Happiness」は瞬間的に満足と感じていることを表す一方で、「Well-Being」は持続的に満たされていることを表します。「生活や仕事が充実している、満足している」といった意味合いで用いられることが多いです。
ウェルビーイングの5つの要素
ウェルビーイングは、以下の5つの要素で構成されています。
- Positive emotion(ポジティブ感情):嬉しい、楽しい、おもしろいなどポジティブな感情を持っている状態
- Engagement(エンゲージメント):仕事や趣味などに没頭している状態
- Relationship(ポジティブな関係):他者との良好な関係を構築している状態
- Meaning(意味や意義):自身の生きる意味や意義を自覚している状態
- Achievement(達成):目標に向かって努力し、達成・完遂したことで満足度や幸福度が向上した状態
この5つの構成要素は、ポジティブ心理学の創始者であるマーティン・セリグマン博士が提唱しており、頭文字をとって「PERMA理論」と呼ばれています。
ウェルビーイングが注目されている理由
なぜ現在、ウェルビーイングが注目されているのでしょうか。ここではウェルビーイングが注目されている理由や背景についてご紹介します。
働き方改革の促進
昨今、人手不足などの課題に直面している中で、さまざまな事情を持つ方々が多様で柔軟な働き方を選択できる「働き方改革の実現」に向けてウェルビーイングに取り組む企業が増加しています。ウェルビーイングの概念である「肉体的・精神的・社会的にすべてが満たされた状態」を目指すことは、従業員にとって働きやすい環境を整備することにつながるため、働き方改革の実現にも大きく関わる取り組みであるといえます。
人材不足や人材の流動性の改善
少子高齢化や労働人口の減少に伴い、人材不足が深刻化している業界は多くあります。また、終身雇用が一般的な考えでなくなった昨今において、人材の確保・定着は大きな課題となっているでしょう。労働環境の整備や労働時間の管理によってウェルビーイングを実現することは、人材不足や人材の流動性の改善につながります。
価値観の多様化
人手不足が深刻化している昨今、企業には性別や年齢、国籍、文化、価値観などが異なる人材を受け入れるだけでなく、一人ひとりが十分に能力を発揮できるよう環境を整備することが求められています。価値観が多様化している現代において、ウェルビーイングは非常に重要な考え方といえるでしょう。
SDGsへの取り組み
SDGs(持続可能な開発目標)とは2015年の国連サミットで採択された、「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標」のことです。SDGsの一部にはウェルビーイングに関連するテーマもあり、日本国内だけでなく国際目標であるSDGsの取り組みにおいてもウェルビーイングが注目されていることが分かります。
ウェルビーイングを導入するメリット
企業がウェルビーイングを導入することでさまざまなメリットを得られます。
社員の健康維持
ウェルビーイングの導入によって、従業員は肉体的・精神的・社会的に満たされて心身ともに健康な状態を保つことができます。また、ウェルビーイングを実現できると仕事によるストレスをポジティブに受け止めることができるようになるため、健康維持・増進につながるでしょう。
離職率の低下・人材確保
ウェルビーイングを導入することで従業員の心身は安定し、幸福度を高めることができます。従業員にとって働きやすい環境であることは、定着率だけでなく採用率の向上にもつながります。従業員の離職に伴う採用コストを抑えられるのは、企業にとってメリットとなるでしょう。
パフォーマンスの向上
ウェルビーイングの実現によって従業員の幸福度は上がり、仕事に対して意欲やモチベーションを持って取り組むようになります。その結果、従業員一人ひとりのパフォーマンスが向上し、企業全体の生産性や業績にも良い影響を期待できるでしょう。
組織の維持力が向上
従業員にとって持続的な幸福を感じられる職場は、長く働き続けたいと感じる職場でもあります。ウェルビーイングを導入することで従業員一人ひとりの定着率が向上し、組織の維持力向上にもつながるといえるでしょう。
ウェルビーイングを実現するための取り組み
ここからは、企業や組織においてウェルビーイングを実現させるために必要な取り組みについて解説します。
コミュニケーションの活性化
ウェルビーイングを構成する5つの要素の中には、「他者とのつながりや関係」が含まれています。職場の人間関係が悪化している状態はメンタルヘルス不調となりやすいため、従業員同士のコミュニケーションを活性化させることが重要です。例えば、リフレッシュスペースを設置したりコミュニケーションツールを活用したりと、従業員が気軽につながりやすいオフィス空間を作ることが必要です。
福利厚生の充実
福利厚生制度は、仕事だけでなくプライベートの面でも充実してもらえる内容にすることで、より従業員の満足度や幸福度を高めることができます。従業員がどのような福利厚生を望んでいるかを調査し見直すことで、ウェルビーイングの実現につながるでしょう。
健康増進活動の推進
健康増進活動は、従業員の健康状態を守るためにも欠かせない取り組みです。健康診断や予防接種、ストレスチェック、個別面談などを実施することで、従業員の身体面・精神面の健康を管理・改善に取り組みましょう。
ビジョンやパーパスの共有
ウェルビーイングの実現において、企業が掲げているビジョンやパーパスが従業員に共有されているかは重要なことです。従業員がビジョンやパーパスを理解し共感できていれば、企業にいる意味を見出せ、やりがいを持って仕事に取り組むことができます。
ウェルビーイングに必要なスキルを習得するには
ウェルビーイングを実現することは、離職率低下や生産性向上など企業にさまざまなメリットをもたらします。従業員一人ひとりの幸福度や充実度を向上させるためには、ウェルビーイングの5つの構成要素を向上させることが重要です。ウェルビーイングの実現に取り組む際は、研修やセミナーへ参加し必要なスキルを習得すると良いでしょう。
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アイ・ラーニングコラム編集部