アジャイルコラム:「時間のオールを握る」アジャイル流タイムボックス活用術

2025.01.23アジャイル , お役立ち情報
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「タイムボックス」とは?

時間の箱?そうです、そんなイメージです。アジャイルで使われる手法であり、便利で有効な考え方です。

周りに時間の使い方がすごく上手い人、いませんか?使えるのはみな平等に“24時間”なのに、「なぜあんなにパフォーマンスをだせるんだろう?」とか、「え、この短時間でこの完成度!?」とか、驚いた経験はないでしょうか。

私も、これまで凄いと感じる方に何度も出会ってきました。そして、ビジネスでも人生でも、パフォーマンスを左右する鍵は「時間の使い方」だと強く感じています。もちろん、他の要素もあると思いますが、「時間をいかにコントロールできるか」は、個人だけでなく、チームや組織全体のパフォーマンスにも大きく影響するのではないでしょうか。

アジャイル開発における「タイムボックス」

アジャイルでは「タイムボックス」を手法として活用します。

例えば、こんな悩みを抱えたことはありませんか?

  • 「時間がかかってしまい、なかなか作業が終わらない」
  • 「割り込みが多く、今日のスケジュールが狂う」
  • 「疲れてきたけど、どうしてもやらなければいけない 作業がある・・・」

こうした問題は、自分だけでなくチーム全体、あるいは長期的なスパンでも起こり得ます。

ウォーターフォール型のタイムマネジメントとは少々異なり、アジャイルの「タイムボックス」は実用的で応用が効く手法です。私自身、アジャイル開発で出会ったときに、その効果に驚きました。

アジャイルの「タイムボックス」のポイント

  1. 短く区切る(時間)
  2. 小さなゴールを設定する(達成可能な)
  3. とにかく集中する
  4. 割り込みを入れない(防止、ブロック)
  5. 時間が経過したらいったん終了する
  6. 振り返って、次のサイクルで改善する

なんとなくイメージ掴めましたでしょうか?簡単で当たり前のようですよね、でも実際はなかなか難しいと思います。

1.短く区切る(時間)

作業に応じて時間の長さを 設定します。研修の個人演習なら15〜20分、グループ演習なら、1〜1.5時間で区切ることもあります。また、日報や週報などは30分~1時間、アジャイルのスプリントなら、1週間から2週間程度が目安です。あるいは、「xxxの集計」やら「テストケース:A001~A030の作成」やら「xxxタスクの合意形成」など、様々なタイプがありますので、それに応じた時間を最短に区切る、というのが要です。

私は今、このブログを書いていますが、一応タイムボックスを設定しています(笑)

2.小さなゴールを設定する(達成可能な)

区切った時間で、何をゴールにするか、つまり達成基準を設定します。例えば「日報を自分で納得できる品質で完成させて送付する」とか、「テストケースAxxx:を完成させてTeamsで共有する」、あるいは「xxxを期待値以上にサポートして『ありがとう』と言ってもらえること」など、具体的で達成可能なゴールを設定するようにします。ただし、甘い目標設定ではなく、自分のパーフォーマンスを最大化するゴールを心がけます。

3.とにかく集中する

パフォーマンスの鍵は集中力です。人に話しかけられても気づかないほど、脳内でシナプスが活発に反応している状態をイメージし、「脳みそに汗をかく」ような感覚で取り組むことが重要です。「要は集中力だから」などと、さらっと言っていた優秀なエンジニアもいました。ただし、集中力には限界があり、だれでも長時間続ける のは難しいものです。だからこそ、集中力が落ちないレベルで、時間をできる限り短く区切るのがポイントです。

さらに、アジャイルではチームが一丸となって1つのタスクに集中して終わらせ、次のタスクに進みます。チームでも基本的に1タスクに集中することが大切です。

4.割り込みを入れない(防止、ブロック)

集中するためには、割り込まれたくないですよね。外部割込みは避けられないケースもありますが、基本的には割り込み禁止とするのがポイントです。特に、自分の作業管理では、「あれこれ手を出さない」「拡げすぎない」「“ながら作業“をしない」ことが大切です。疲れた状態でだらだら頑張るのでは、自分も辛いしパフォーマンスも向上しません。短く区切ることで、疲弊した状態に陥らないよう、明確にコントロールすることが重要です。

5.時間が経過したらいったん終了する

「タイムボックス」では、時間がきたら「はい、終了!」で、いったん終わらせます。論文発表などの「チーン」というベルをイメージすると分かりやすいと思います。強制終了をさせ、そこで気持ちも疲れもリセットします。

6.振り返って、次のサイクルで改善する

終了した作業は、まず振り返りを行い、次のタイムボックスを改善・設定します。振り返りには、アジャイルの手法がいくつかありますが、そこまで型通りにやらなくても、重要なのはしっかり改善ループを回すことです。これを習慣化することで、作業の効率も品質も自ずと上がっていき、パフォーマンスも強化されていきます。

また、アジャイルのスプリントで回すことを「フィードバック・ループ」と呼びます。フィードバック・ループを活用することで、変化に適応しやすくなり 、短い単位で軌道修正しやすくなります。これにより、個人からチームまで、大小様々なレベルで活用できます。地道な活動ですが、こうした積み重ねが揺ぎない力となり、アジャイルが生み出す価値の1つにもなります。

時間のコントロールを自分の手に

デール・カーネギーの本『道は開ける』の中にも、セルフマネジメントのために時間を区切って(リセットしながら)考える、というくだりがあります。タイムボックスとは少し異なるものの、脈々と流れていく時間をいかに味方につけてコントロールするか、また、いかに時間や雑念に振り回されないようにするかが鍵だと思います。

「♪お前のオールを任せるな~♪」ちょっと前の歌の歌詞にありますね。

まさに「時間のオールは自分で握る!」これがアジャイル、そして『タイムボックス』の考え方です。

ぜひ、この『タイムボックス』を活用し、時間のオールを自分が握って、自らをコントロールしてみませんか?

 



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