アンガーマネジメントとは?注目される背景や実践方法を解説

2025.01.22ビジネス
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アンガーマネジメント

アンガーマネジメントとは、怒りの感情をコントロールして、より良い人間関係を築くためのスキルです。社会全体でアンガーマネジメントの重要性が高まっており、研修プログラムに取り入れたいと考えている企業は多いかと思います。
今回の記事では、アンガーマネジメントが注目される背景や効果、実践方法についてご紹介します。

アンガーマネジメントとは

アンガーマネジメントとは、怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らなくて済むように自分の中の怒りの感情をコントロールすることをいいます。日常の中で怒りは誰もが自然に抱く感情ですが、過剰に発生すると本人の健康問題や人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。怒ることがいけないというわけではなく、感情を理解して冷静に対応できるようにする手法です。
アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで生まれたといわれています。当時は犯罪者の矯正プログラムとして用いられていましたが、現在では研修カリキュラムに導入する企業も増えてきています。

アンガーマネジメントが注目される背景

アンガーマネジメントが注目される背景としては、現代社会において働き方改革によるハラスメント防止や、多様な価値観への適応が求められていることが挙げられます。昨今、職場での人間関係やパワハラなどからストレスが引き起こされ、従業員の健康リスクへ繋がることが問題視されています。アンガーマネジメントは、従業員一人ひとりが自分の感情をしっかりと管理し、職場のコミュニケーションを円滑にする方法として注目されているのです。従業員の健康状態を保ち、職場環境がより良くなることでチーム全体の生産性向上にも繋がることが期待されます。

人が怒る仕組み

人がある感情を抱くときは「第一次感情」から「第二次感情」へと段階を踏みます。ここでは、以下の感情についてそれぞれの概念や仕組みを解説します。

第一次感情

第一次感情とは、日常の中で最初に感じる基本的な感情のことです。具体的には、喜び、悲しみ、驚き、恐怖などが挙げられます。第一次感情は、出来事や状況に対して誰もが自然かつ無意識的に抱く感情です。

第二次感情

第二次感情とは、第一次感情を感じた後に発生する感情のことです。具体的には、感動や怒り、嫉妬、嫌悪などが挙げられます。第二次感情は、複数の第一次感情が複雑に重なって発生するものであり、突然発生するものではありません。例えば「怒り」は、ある出来事に対して第一次感情を抱いた後に「なぜそうしなければならないのか?」「本来ならこうするべきだ」といった様々な思考や価値観が加わることで怒りが発生するという仕組みになっています。

アンガーマネジメントの効果やメリット

コミュニケーションをとる社員

アンガーマネジメントを実践することで、さまざまな効果やメリットを得ることができます。

コミュニケーションが円滑になる

アンガーマネジメントは、コミュニケーションを円滑にするのに非常に有効です。怒りの感情をコントロールすることで攻撃的な会話や誤解が生じることを防ぎ、冷静な意見交換ができるようになります。部下やチームメンバーとのコミュニケーションが円滑になると、職場環境の改善やパフォーマンスの向上といった効果も期待できます。

視野が広がる

人は、怒りやイライラなどの感情が芽生えると怒りの対象に集中してしまい、視野が狭くなりがちです。アンガーマネジメントを実践できると、怒りの感情に繋がるような状況においても広い視野を持つことができ、冷静な判断ができるようになります。

ストレスが緩和する

人は怒りやイライラを過剰に感じたり頻繁に引き起こされたりすると、ストレスが蓄積されて健康に悪影響を及ぼす可能性があります。アンガーマネジメントを実践することで感情を管理できれば怒りを上手くコントロールすることができ、ストレスの緩和に繋がります。

マネジメント能力が上がる

アンガーマネジメントは、マネジメント能力の向上にも効果的です。怒りの感情をコントロールすることで、リーダーシップスキルやコミュニケーションスキル、判断力などを向上させて部下を適切に注意できるようになります。また、感情的にならずに冷静な判断ができるリーダーは、チーム全体の良好な関係構築にも繋がるでしょう。

あなたはどのタイプ?アンガーマネジメント診断

日本アンガーマネジメント協会が公表している「アンガーマネジメント診断」では、質問に答えるだけで6つの怒りのタイプから、自分がどのタイプなのかを診断できます。ここでは、アンガーマネジメント診断で分類される各タイプの特徴について見ていきましょう。

公明正大タイプ(熱血柴犬)

公明正大タイプ(熱血柴犬)は、一言で表すと「正義感のあるタイプ」です。自分が正しいと思っていることは信念を押し通し、強い正義感や道徳心から必要以上に怒ったり注意したりする特徴があります。しかし度が過ぎると、その正義感がかえってストレスを抱える要因にもなります。他人との違いを理解し、自分の価値観を押し付けないように気を付けることが大切です。

博学多才タイプ(白黒パンダ)

博学多才タイプ(白黒パンダ)は、一言で表すと「白黒つけたいタイプ」です。好き嫌い、敵味方、良し悪しなど何事にも白黒つける傾向にあり、完璧主義者でもあるのが特徴です。他人と接する中ではっきりしないことにイライラしやすいため、視野を広げて受け入れる心を持つことが大切です。

威風堂々タイプ(俺様ライオン)

威風堂々タイプ(俺様ライオン)は、一言で表すと「自分に自信があるタイプ」です。自然とリーダー的存在になることが多く、プライドが高いという特徴があります。自分への評価が低かったり思い通りにならなかったりするとイライラしやすいです。他人からの評価に左右されず、自分のことを客観的に分析することが大切です。

天真爛漫タイプ(自由ネコ)

天真爛漫タイプ(自由ネコ)は、一言で表すと「自己主張できるタイプ」です。自分の意見や考えなど言いたいことをはっきりと言うことができ、感情を素直に表現できるのが特徴です。自由な発言や行動を制限されるとイライラしやすく、孤立するタイプでもあります。そのため、周囲の意見にも耳を傾けて自分から歩み寄る姿勢を持つことが大切です。

外柔内剛タイプ(頑固ヒツジ)

外柔内剛タイプ(頑固ヒツジ)は、一言で表すと「自分のルールがあるタイプ」です。一見、穏やかで温和な雰囲気がありますが、内には強い意志やブレない軸を持っているのが特徴です。一度決めたことは最後までやり抜く気持ちがある反面、自分のルールを乱されるとストレスを感じやすいため、冷静に物事を見極めて周囲とのコミュニケーションを心がけることが大切です。

用心堅固タイプ(慎重ウサギ)

用心堅固タイプ(慎重ウサギ)は、一言で表すと「パーソナルスペースを大事にするタイプ」です。謙虚な姿勢で人や物事に対して慎重なところがあり、人一倍警戒心が強いという特徴があります。パーソナルスペースに入られることを避ける傾向にあるため、人間関係で大きなストレスを感じやすいです。積極的に自己開示をしたり他人への思い込みを捨てたりして、相手との信頼関係を築くことが大切です。

アンガーマネジメントの実践方法

ポンと手を打つ

ここからは、アンガーマネジメントに取り組むための実践方法をご紹介します。

頭の中で6秒数える

一般的に人の怒りのピークはおおむね6秒と言われているため、6秒待つことで感情をコントロールできるようになります。怒りの感情が芽生えたら、冷静になれるまで頭の中で6秒数えてみましょう。その他、深呼吸をする、その場から一度離れる、飲み物を飲むなどして、別のことに意識を持っていくのも有効です。

自分の怒りを分析する

自分がどのような出来事、どのような状況で怒りの感情が湧いてくるのかを理解することは、アンガーマネジメントの重要なポイントです。怒っているときの感情に対して点数を付けたり、自分の反応パターンを意識したりして、怒りの根本的な原因を分析しましょう。自分への理解を深めることで、感情をしっかりと管理して適切に扱えるようになります。

固定観念を手放す

人はそれぞれ、「こうあるべき」「このようにしなければならない」という考えを持っており、他人にも自分と同じ答えを求めてしまうものです。そのため、自分の価値観に反する行動をされたときに、怒りの感情を抱きやすくなります。怒りの感情をコントロールするためには、人それぞれ異なる価値観を持っていることを理解することが大切です。「~すべき」という固定観念を手放すことで許容範囲が広くなり、自分と違う考え方も尊重できるようになるでしょう。

まとめ

今回は、アンガーマネジメントが注目される背景や効果、実践方法についてご紹介しました。効率的な職場環境を作るためには、従業員が怒りの感情をコントロールできるようになることが求められ、企業としてはアンガーマネジメントの実践をサポートすることが必要です。

アイ・ラーニングでは、ビジネススキルをはじめ自己管理に関する研修を行っています。アンガーマネジメントに取り組むために必要な知識・スキルを身につけることが可能です。アンガーマネジメントによって組織の生産性向上や成長に繋げたい場合は、ぜひお役立てください。

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アイ・ラーニングコラム編集部

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