The Model(ザ・モデル)とは?注目される理由と導入のメリット、注意点を解説
2024.10.08ビジネス
近年、IT普及の加速やコロナ禍によるオンライン化が進み、顧客のニーズや購買行動に大きな変化が見られています。この変化に対応するため、企業全体で効率的かつ生産性の高い活動を行うことが求められており、そこで注目されているのが「The Model(ザ・モデル)」というフレームワークです。では、The Modelとは具体的にどのような取り組みなのでしょうか。
この記事では、The Model(ザ・モデル)の定義や導入メリット、注意点を解説します。
「The Model(ザ・モデル)」とは
The Model(ザ・モデル)とは、セールスプロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4つの段階に分け、各部門の情報を可視化・数値化し、それぞれの部門の特性や専門性を最大化するためのセールスプロセスモデルです。これにより、組織全体の生産性を向上させ、営業組織の効率化と事業成長を目指すことを目的としています。
The Modelが注目される理由
The Modelは、福田康隆氏による著書「THE MODEL」(翔泳社)で紹介され、セールスフォース社で実践されてきたBtoB営業プロセスモデルとして広まりました。
従来の営業活動では、一人が担う業務範囲や業務量が多いことで進捗管理が困難になったり、新規顧客の獲得が難しかったりと、非効率な運用が問題視されていました。
しかし、The Modelは一連の営業プロセスを分業化し、各部門に明確な役割を持たせることで、生産性向上や効率的な運用を実現することが期待できるとして多くの企業で導入されています。
The Modelの定義と仕組み
The Modelは、営業プロセスを4つの段階に分け、営業組織の効率化と事業成長を目指すフレームワークです。それぞれの段階で特定の役割を担う部門を配置することで、各部門でより専門性が高まり、結果的に組織全体の営業効率や生産性が向上します。
また、部門間の情報を可視化・数値化し、連携を強化することで顧客一人ひとりのニーズに合わせたフレキシブルな組織体制を作り上げることが可能です。組織全体の結びつきを強めることは、組織としての目標達成、さらに事業の成長につながることでしょう。
The Model型組織の部門と役割

The Model型組織では、営業プロセスを分業化し、「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4つの部門で役割を明確に分けます。また、それぞれの部門が連携して進めることで顧客のニーズに合わせた営業活動を行うことが可能です。
それでは、各部門の役割を見ていきましょう。
部門 | 役割 | 目的 |
---|---|---|
マーケティング部門 | 集客・潜在顧客獲得 | 見込み顧客の獲得 |
インサイドセールス部門 | 見込み顧客へのアプローチ、育成 | 商談化 |
フィールドセールス部門 | 見込み顧客との商談 (製品やサービスの提案、課題解決案の提示) | 契約・受注 |
カスタマーサクセス部門 | 顧客への活用支援・改善 | 継続、アップセル・クロスセル |
このように、「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の順に各部門がそれぞれの役割を果たし、次の部門へ顧客をつなげていく仕組みとなっています。
The Model導入のメリット

The Model導入の目的は、各部門の営業効率の向上と事業成長を目指すことです。ここからは、The Modelを導入することで得られるメリットについて詳しく見ていきましょう。
顧客に合わせた最適なアクションが可能になる
顧客へアプローチする際、顧客のニーズに合わせた情報提供や行動が求められます。The Modelを導入することで、各部門で情報を可視化・数値化し、連携を強化することで顧客一人ひとりに合わせた提案を作成して最適なアクションを打てるようになります。
営業プロセスの標準化が実現する
The Modelを導入すると、各部門の営業プロセスが統一され、共通認識を持たせることができます。部門全体で標準化された体制が整い、結果として業務の属人化を防止することにつながります。
可視化によりリカバリーが容易になる
組織内のタスクを管理し、効率化を実現するためには、現状のプロセスを可視化することが重要です。The Modelを導入することで営業プロセスが4つの部門に分けられ、より全体像を把握しやすくなります。
このように可視化されることで改善点や修正点が明確となり、迅速なリカバリーが可能になります。
営業効率が向上する
The Modelは、営業プロセスを分けることで各部門がそれぞれの役割に集中できるようになります。専門性を高めつつ、部門間で連携を取ることで効率的に業務を進められるようになり、結果的に全体の営業効率が向上します。
営業組織全体の成長につながる
組織内の営業プロセスを4つの部門に分けることで、各部門に専門性の高いスキルやノウハウが蓄積されていきます。ある部門で問題が生じた場合でも、部門間で情報共有・連携が取れるため支援することが可能です。結果的に組織全体の営業パフォーマンスが向上し、事業成長につながるでしょう。
The Model導入のデメリット
次に、The Modelを導入するデメリットとしてはどのような点が挙げられるかをご紹介します。
部門ごとの意思疎通が不足すると連携が難しくなる
The Modelは、各部門で役割を分業化することで営業組織の構造を最適化することが目的です。しかし、部門ごとの役割が確立することで部門間によるコミュニケーションが減少し、連携が難しくなるケースもあります。このような事態を防ぐには部門間でしっかりと連携をとり、現状の問題や顧客情報を共有し合うことが欠かせません。
The Modelを効果的に導入するためには、部門間でコミュニケーションを取りやすい環境を整備するなど、組織全体に浸透させる取り組みが必要です。
非構造化されたデータでは効果を発揮できない
The Modelを導入して成果を最大化させるためには、各部門におけるKPIを可視化・数値化して共有し、日々データを分析しつつPDCAを回す必要があります。しかし、データが非構造化された状態では集計や分析ができず、効果を発揮することができません。
The Modelを導入して営業効率の向上につなげるためには、データを構造化し、各部門で改善点を共有できる状態にすることが重要です。
The Modelを導入する際の注意点

ここからは、The Modelを導入する際の注意点をご紹介します。
導入の目的を明確にする
The Modelを導入する際は、導入の目的を明確にすることが重要です。The Modelは導入するだけで成果が得られるものではなく、目的が不明確のままだと上手く機能せずトラブルにつながる可能性があります。そのため、現状改善しなければならない問題を明らかにし、導入の目的と照らし合わせながら運用していく必要があります。
各部門の責任範囲を数値で設定する
The Modelは、各部門の成果が次の部門に影響していくため、各部門の責任範囲を数値で設定しましょう。責任範囲が不明確だと責任が曖昧になってしまい、部門間で対立が生じてしまうこともあります。
The Modelの成果を最大化させるためには、各部門で分業化されるとはいえ、一つの組織として同じ目標に向かっていることを認識してもらうことが重要です。部門間でしっかりと連携を取り合えるようにしましょう。
各段階のKPIを設定する
各段階でKPIを設定する際、現実的に達成することが難しいKPIを設定してしまうと、全体のモチベーション低下につながりかねません。The Modelの成果を最大化させるためには、部門ごとで確実に達成できる目標数値を設定することがポイントです。
ルールを明確にしておく
The Modelを導入する際は、部門間による認識のずれを生じさせないためにも各部門で設定する目標数値やルールを明確にしておく必要があります。スムーズに営業活動を進められるよう具体的に言語化し、全体で共有するようにしましょう。
SFAやMA、CRMを活用する
SFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)、CRM(顧客関係管理)などのシステムツールを活用するのもポイントです。顧客情報や分析の数値が可視化されて各部門に自動的に情報共有されれば、事務作業のコスト削減や部門間の連携強化が可能となり、より効率的に成果を上げることができるでしょう。
The Modelで業務の効率化を実現する
The Modelの導入は、組織内の業務の効率化や事業成長を実現するために必要な取り組みです。The Modelの目的を実現するためには、各部門におけるそれぞれの役割を果たす人材の育成・確保が重要となるため、外部の研修機関に依頼するのも有効な手段です。
アイ・ラーニングでは、セールスプロセスモデルにおける各部門の役割を担う人材を育成する研修を実施しています。「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」のそれぞれの部門・段階に必要なスキルを身につけることができるため、ぜひご活用ください。
セールスプロセスにおける役割別研修はこちら
https://www.i-learning.jp/sales/sales-training.html
アイ・ラーニングコラム編集部