ディープラーニング・機械学習とは?基礎的な仕組みや活用方法を解説

2024.06.14IT
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ディープラーニング

ディープラーニングとは人工知能技術の中の機械学習技術の一つであり、さまざまな業界で活用されている手法です。現在、AIやIoTの進化は加速しており人間と同等、もしくはそれ以上の情報処理・判断を実現しています。
本記事では、ディープラーニングの仕組みや基礎知識、機械学習との違い、活用事例をご紹介します。

ディープラーニングとは

人工知能

ディープラーニングとは深層学習とも呼ばれ、人間が行っている行動をコンピュータに学習させるための手法です。AIの機械学習の手法の一つですが、機械学習はデータの識別や判断を人間が指定しなければならないのに対して、ディープラーニングの場合は自ら学習する能力があるため、人の手を介さずに複雑な情報の処理や判断を行えます。
ディープラーニングは適切な特徴量(人工知能に学習させようとするデータセットの特徴を定量的に表現したもの)を自動で抽出でき、画像認識や音声認識、自然言語処理、異常検知などさまざまな分野・業界へと応用されています。

ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングは、人間の脳内にある神経網(ニューロン)を模した学習モデルである「ニューラルネットワーク」によって機能します。そのため、ディープラーニングを活用する上で、このニューラルネットワークを理解することが不可欠です。
ニューラルネットワークは、入力層・隠れ層(中間層)・出力層から構成されており、この3つの階層を通じて情報処理や判断を行います。

まず、入力層で外部からデータを受け取り、隠れ層(中間層)で受け取ったデータを自動で処理し、必要な特徴量を抽出して出力層へと受け渡します。ここで出力された結果が出力層で出力される仕組みです。
通常、ニューラルネットワークの隠れ層(中間層)は3層程度ですが、より多層構造に階層化したディープニューラルネットワーク(DNN)では、数百以上もの隠れ層(中間層)を持つ場合もあります。層が深くなることで、より複雑な情報処理や判断を行うことが可能となり、抽象的な問題にも適応することができるようになります。

ディープラーニングが重要視される背景

ディープラーニングが重要視されている背景として、一番に挙げられるのがAIの進展です。従来の技術では、コンピュータによる情報処理やデータ分析に膨大な時間がかかっていましたが、IT技術が発展したことでビジネスに活用できるところまで進歩し、一気にAIの実用化が進みました。その中でもディープラーニングは、それほど人間の手をかけずとも自ら特徴量を抽出して正確な情報を処理・判断できる手法です。
これまでの機械学習にはなかった情報処理能力や精度の高さで注目を集め、多くの企業や業界でディープラーニングの必要性が高まったのです。

ディープラーニングの学習方法

ディープラーニングの主な学習方法として、「転移学習」「特徴抽出」「ゼロから学習させる」の3つの方法があります。

転移学習

転移学習とは、あるタスクで学習したモデルを別のタスクにも適用させる学習方法のことを指します。通常、ゼロから学習させるとなると多くのデータを収集・選別する必要がありますが、転移学習の場合はすでに学習済みのモデルを活用するため、少ないデータ量で高い精度を実現できます。新たなタスクに合わせて微調整を加えるだけなので、学習時間の短縮やリソース削減につなげられるのも大きな特徴です。転移学習は応用できる範囲が広い一方で、関連性の低いデータ間や未知の領域には有用ではないというデメリットもあります。

特徴抽出

特徴抽出とは、データから必要な情報を抽出する手法です。複雑なデータの中からどのような特徴量に基づいて学習モデルに使用するかをコンピュータが認識できるよう、正しい情報を効率的に取り出します。特徴量とは対象となるデータの特徴を定量的に表したものを指し、ディープラーニングにおける特徴量の数を「次元」といいます。

ゼロから学習させる

ゼロから学習させる方法では、何も学習されていない状態からタスクに合わせてモデルに学習させます。特定のタスクや分野に特化したモデルの作成や、既知のモデルが適用しない場合に有効な手法です。ゼロから学習させることになるため、大量のデータやモデル設計が必要となります。

組織におけるディープラーニングの活用事例

次に、ディープラーニングの活用事例について、導入後のメリットとあわせてご紹介します。

自動運転

自動運転

ドライバーの運転操作を不要とする自動運転は、近年注目されている技術の一つとして、多くの自動車会社で開発や実証試験が進められています。自動車の運転には、目的地までのルート設定の他、信号機、道路標識、対向車、歩行者といった多くの情報の認識・検知が求められます。そこで、ディープラーニングの活用による実現が期待されているのです。画像認識技術や音声認識技術によって安全な運転操作に必要な情報を学習させることで周囲の環境を正確に判断し、自動運転の性能を向上させてくれるでしょう。自動運転技術は今後ますます普及していくため、ディープラーニングの需要もさらに高まると考えられます。

AI・IoT活用による作業効率化

ディープラーニングのようなAI・IoT技術を活用することで、画像認識や自然言語処理、異常検知といったさまざまな業務が自動化されます。これらの業務を人間の手で行おうとすると膨大な時間や手間がかかるだけでなく、ヒューマンエラーによるミスも起こりうるでしょう。それをAI・IoTを導入することで、ミスを削減しつつ作業効率化を図ることが可能です。

サイバーセキュリティ

ディープラーニングは企業のセキュリティ対策のために導入されるケースもあります。ディープラーニングの学習手法を活かし、過去のデータから精度の高い予測モデルを作成することで、既知・未知を問わず疑わしいサイバー攻撃を検知・防御することが可能です。通常のセキュリティ対策では見抜けないサイバー攻撃も認識できるため、セキュリティ強化を行いたい場合に非常に効果的といえます。
その他、ディープラーニングの画像認識技術による顔認証システムなどにも活用することができます。

AI実装に向けたスキルを習得するには

自社にAIを実装するとなると、大量のデータでのトレーニングを行い、専門知識やスキルを習得した人材を育成することが必要です。なぜなら、社内データを活用したAIプロジェクトにおいて、外部のベンダーや人材に依頼するとビジネス上の障壁が生じるリスクもあるからです。

アイ・ラーニングでは、企業における持続的なビジネス課題の改善に向けて、データ×AIの社内人材リスキリングの必要性を重視しています。データ分析に関する基礎理解から、機械学習やディープラーニングなどの活用に必要な分析手法を習得できる研修を用意し、AIプロジェクトに向けた社内人材の育成をサポートします。

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アイ・ラーニングコラム編集部

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