ロールモデルとは?企業がロールモデルを設定するときの流れやポイントを解説
2025.05.15ビジネス
ロールモデルとは、職場やチーム、個人の成長において道標となる重要な役割を果たしています。多様な働き方や価値観が求められている現代において、ロールモデルは個人の成長や組織の活性化、ダイバーシティ推進の観点からも注目されています。 今回の記事では、企業がロールモデルを設定するメリットや流れ、ポイントについて解説します。
ロールモデルとは
ロールモデルとは、考え方や行動、価値観などが模範となる対象のことを指します。例えば、「こういう生き方がしたい」「この人を目標やお手本にしたい」と思える存在のことです。ロールモデルを設定することで、自分の理想の人物像がイメージしやすくなり、そのためには何をすべきかが明確に分かるようになります。最近では、人材育成や組織の活性化を目的として、企業がロールモデルを設定するケースも増えています。働き方の多様化やキャリアの選択肢が広がっている中で、社員の指針となるロールモデルがいれば、「自分もこうなりたい」という行動を促すことにつながるでしょう。
ロールモデルを設定するメリット

ロールモデルを設定することで、さまざまなメリットを得ることができます。
キャリアがイメージしやすくなる
ロールモデルを設定することで、社員は具体的なキャリアプランを描きやすくなります。例えば、産休・育休制度を取得後のキャリアが不安な場合、同じ経験を経て活躍中の社員をロールモデルにすると今後のキャリアをイメージしやすくなるでしょう。それまで抽象的だった「こうなりたい」という考えが、ロールモデルの道筋を見ることで「何を学ぶべきか」「どんな準備が必要か」など具体的な行動が明確になります。
組織が活性化する
ロールモデルを設定することで、社員一人ひとりの成長を促すことが期待できます。社内にお手本としたい存在がいれば、その人物に少しでも追いつきたいと積極的にコミュニケーションを取るようになるでしょう。また、自分も誰かのロールモデルになるために主体的に行動することが多くなります。一方でロールモデルである社員は、自分がお手本であることを意識して行動するようになるため、周囲に良い影響を与えつつ自己成長にもつながります。このように相乗効果が生まれることで、社員の組織全体が活性化するようになるでしょう。
ダイバーシティの推進につながる
多様な働き方、価値観、経験を持つ人材をロールモデルとして設定することで、社員一人ひとりのキャリアの選択肢が広がります。「こうなりたい」「これがやりたい」というキャリアイメージがある社員にとって、社内に前例があって目指すべき方向性を示してくれる存在がいるというのは、ダイバーシティの推進にもつながります。
ロールモデルに設定すべき人
ロールモデルに設定すべき人は、身近にいる人でも有名人でも構いません。自分よりも年齢や経験を重ねている人、理想とするスキルや価値観を持った人、将来的に目指す姿に近しい人などをロールモデルに設定するのが効果的です。
先輩や上司
ロールモデルとして非常に効果的なのが、職場の先輩や上司です。同じ職場で働く人をロールモデルとして設定することで、将来のキャリアプランをイメージしやすくなるでしょう。また、日頃から実際に働いている姿や行動を観察できるという環境は大きな強みです。身近な存在であるほど仕事の進め方やノウハウを吸収しやすく、直接相談したりアドバイスを受けたりできるのもメリットといえます。
社外の人
社内にロールモデルとなる人がいない場合は、社外の人をロールモデルとして設定するのもおすすめです。特に同業他社の人をロールモデルにすると、業界知識や将来的なキャリア形成について参考になる部分は多いでしょう。取引先など接点を持っている人であれば、直接話を聞いたりアドバイスを受けたりすることも可能です。他の企業で働いている人の意見を聞くことで、新たな発見や異なる視点を得ることができます。
歴史上の人物や有名人
歴史上の人物や有名人をロールモデルとして設定するという方法もあります。ただし、「参考にする」よりも「憧れ」という存在にならないよう注意が必要です。身近な存在ではない人だと見えない部分も多いため、目標が抽象的になったり現実的な行動へ繋げられなかったりする可能性もあります。歴史上の人物や有名人をロールモデルにする場合は、その人物の生き方や目標へ達するまでの過程などを参考にして、今後のキャリアプランに活かすと良いでしょう。
企業がロールモデルを設定する流れ

ここからは、企業がロールモデルを設定する流れについて解説します。
ロールモデルを定義する
まずは、どのような人材をロールモデルとして設定するかを定義します。「企業としてどういう人材が必要か」「どんな人物像を育成したいか」など目的を明確にすることで、適切なロールモデルを設定しやすくなります。それぞれの社員がスキルや価値観に合った目標を目指せるよう、いくつかパターンを用意しておくと良いでしょう。
ロールモデルとなる社員を育成する
ロールモデルを定義したら、社員からの推薦や評価によりロールモデルとして設定したい社員を選定し、育成します。セミナーや勉強会、外部研修などを実施して、ロールモデルとしての能力を高めるトレーニングを提供しましょう。若手社員のOJTやプロジェクトリーダーとして、現場での実践経験を積ませるという方法もあります。
ロールモデルとなる社員を分析する
ロールモデルとなる社員が、日頃どのような行動をしているか、その背景にはどんな考え方があるのかを分析することも必要です。仕事に対する価値観、取得している資格・スキル、目標達成に向けて普段から意識していることなどを分析することで、他の社員が参考しやすくなります。より詳細な情報を聞き出すために、本人に直接ヒアリングすると良いでしょう。
行動や考え方を周知する
ロールモデルとなる社員を育成、分析したら、社内報や社内SNSなどを活用して他の社員へ周知しましょう。表彰制度で模範となる社員を選出・表彰することでロールモデルと位置付けることもできると思います。社内報や社内SNSの中で、表彰されたロールモデルとなる社員の日頃の行動や考え方、経験談も交えてシェアすると社員からの共感を得やすく、より現実的なキャリアプランを描けるようになります。また、分析内容をマニュアル化しておくと、人材育成や研修の際に参考にすることが可能です。
ロールモデルを設定するときのポイント
実際に企業がロールモデルを設定するときは、以下の2つのポイントを踏まえて検討しましょう。
適切な人材を設定する
ロールモデルを設定するときは、企業や社員にとって適切な人材を設定することが重要です。仕事の成果が良ければ誰でもいいというわけではなく、「企業と価値観や方向性が合っている」「その人物の行動を吸収してほしい」などの要素を含めて設定しましょう。
複数のロールモデルを設定する
ロールモデルは、すべての能力を備えた完璧な人を設定する必要はありません。目指したい目標や価値観によってロールモデルを変えることも可能なため、複数人をロールモデルとして設定するようにしましょう。例えば、業務遂行力はAさん、アイデア力ならBさん、マネジメント力ではCさんというように複数人設定することで、社員一人ひとりが多様な目標や価値観に合った学びを得ることができます。ただし、「この人のようにならなければならない」といった一方的な押しつけにならないよう注意が必要です。ロールモデルはあくまで参考となる存在であり、自分自身の成長や価値観に照らして柔軟に捉えることが重要です。
まとめ
適切な人材をロールモデルとして設定することで、社員一人ひとりの目指す方向性が明確になり、具体的な行動へと移しやすくなります。ロールモデルを通じて組織文化が浸透すれば、さらに次のロールモデルとなる社員が育ち、企業成長にも大きく貢献することが期待できるでしょう。
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アイ・ラーニングコラム編集部