アサーティブ・コミュニケーションとは?4つの柱やDESC法、職場での活用例を解説

2023.08.23ビジネス
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アサーティブ・コミュニケーションとは?4つの柱やDESC法、職場での活用例を解説

テレワークでコミュニケーション不足が課題となっている現在、アサーティブ・コミュニケーションが注目されています。職場で円滑にコミュニケーションが取れていないと業務の進捗に支障が出たり、人間関係に問題が生じたりすることがあります。
今回は業務上の報連相などのやり取りにも役立つ「アサーティブ・コミュニケーション」とは何か、それを理解し実践する上で重要となる4つの柱やDESC法について詳しく解説します。

アサーティブ・コミュニケーションとは

アサーティブ(assertive)は、「積極的な」「自己主張する」といった意味があります。ここでの自己主張とはただ一方的に意見を言うのではなく、相手の気持ちを配慮した上での自己表現・自己主張を指します。これを起源とした方法論をアサーティブネスといい、心理療法のひとつである認知行動療法のトレーニングにも取り入れられています。
つまりアサーティブ・コミュニケーションとは、相手を尊重しながら自分の意見や要望を伝えるコミュニケーションスキルの一つです。アサーションとも呼ばれ、対等に自己表現・自己主張できるWin-Winな関係を築く上で重要なスキルだとされています。

アサーティブ・コミュニケーションが注目を集めている理由

コロナ禍でテレワークが浸透し、職場の人とコミュニケーションを取りにくくなったと感じている方も多いのではないでしょうか。対面で話す機会が減ったことで思うように自己表現や意思疎通ができなくなると、非主張的なコミュニケーションを生みやすくなってしまいます。
一億総活躍社会の実現に向けた動きやビジネスのグローバル化によって多様なバックグラウンドを持つ人と働く機会が増えたことで、アサーティブなコミュニケーションを取ることがより重要となっているでしょう。

自己表現のタイプ分類

自己表現のタイプ分類

自己表現法にはアグレッシブ・ノンアサーティブ(パッシブ)・アサーティブの3つのタイプがあると言われています。ここでは、3つのコミュニケーションスタイルについて解説します。

アグレッシブ

アグレッシブとは、自分の気持ちや意見を一方的に主張する攻撃的な自己表現を行うタイプです。相手の気持ちを考えず、意見が食い違うと感情的になって自分の考えを押し通そうとする表現方法です。自分が優位に立つことにこだわり相手を委縮させてしまうため、良好な関係性を築きにくい傾向にあります。

ノンアサーティブ(パッシブ)

ノンアサーティブ(パッシブ)とは、相手の気持ちを考えることはできるが、自分の気持ちや意見を言わない非主張的な自己表現を行うタイプです。自分のことよりも相手の気持ちを優先するため、頼まれると断れないなどの特徴があります。自分の感情を飲み込んで受け身になってしまうことが多く、ストレスを溜めやすい傾向にあります。

アサーティブ

アグレッシブのように自分の主張を優先するのでもなく、ノンアサーティブのように相手の気持ちを優先するのでもなく、言うべきことは言い、聞くべきことは聞くアサーティブな自己表現を行う方法です。自分の主張も他人の主張も同等に尊重し、今起きている問題を解決することを最優先にします。

アサーティブ・コミュニケーションの4つの柱

コミュニケーションを取る中で対等に相手と向き合うには、「率直」「対等」「誠実」「自己責任」の4つの柱をしっかりと理解することです。それぞれの柱がしっかりしていると、自然とアサーティブなコミュニケーションを身につけることができます。

率直

自分の気持ちや意見を隠さずストレートに言うことが大切です。第三者の意見を加えたり遠回しな表現をしたりすると、相手に伝わりにくくなってしまいます。主語は基本的に「私」として相手に伝わりやすい言葉で、「私はこう思っています」と正直に主張しましょう。

対等

相手と対等な立場で意見を言い合うことは、良好な関係を築くためにも重要なことです。どちらか一方が優位に立ってしまうとアサーティブなコミュニケーションは実現しません。言葉を選んでいても心の中で相手を見下していると、それは相手にも伝わるものです。相手に対して攻撃的になったり消極的になったりするのではなく、態度でも心の中でも対等に向き合いましょう。

誠実

自分に対しても相手に対しても、嘘偽りなく素直な気持ちを伝える誠実さを持つことがアサーティブ・コミュニケーションの実現に近付きます。相手と意見が異なった場合に反論したり我慢したりするのではなく、相手の意見を受け止めつつ自分の考えをしっかりと伝えましょう。誠意ある態度でコミュニケーションを取ることを心掛けます。

自己責任

アサーティブ・コミュニケーションにおいては自分の言動に責任を持つことが大切です。結果に対する全責任を相手へ押し付けるのは対等ではありません。結果に対して不満があったとしても自分にも発言したことへの責任や、逆に発言しなかったことへの責任があるという自覚を持つことが重要です。

アサーティブ・コミュニケーションの実践に役立つDESC法

DESC法とは、Describe(描写)・Explain(表現)・Specify(提案)・Choose(選択)の頭文字からなる言葉で、4つの段階に分けて自分の気持ちを伝えるコミュニケーションスキルです。
それでは、アサーティブ・コミュニケーションの実践に役立つDESC法について詳しく解説します。

Describe(描写)

相手の行動や状況を客観的に描写し、事実のみを伝えます。ここでは事実のみを伝えることが重要なので、勝手な推測や自分の感情を入れないのがポイントです。

Explain(表現)

事実に対する主観的な気持ちや感じたことを表現します。ここで第三者の意見を入れてしまうと論点がずれてしまうので、自分の意見として「私はこう思っている」ということを伝えましょう。感情的になって相手を責めるのではなく、相手の気持ちを考え、理性を持って伝えることが重要です。

Specify(提案)

具体的かつ現実的に実行可能な解決策や、相手に求めていることを伝えます。あくまでも「提案」として、自分の意見を押し付けたり強制させたりするような命令口調にならない伝え方を意識しましょう。

Choose(選択)

提案に対する相手の反応次第で、次の行動を選択します。もし提案が受け入れられなかった場合は別の代替案を提示します。相手の反応によって柔軟に対応できるよう、複数の選択肢を用意しておきましょう。

職場でのアサーティブ・コミュニケーション活用例

職場でのアサーティブ・コミュニケーション活用例

アサーティブ・コミュニケーションを職場で活用することで、業務を円滑に進めることに役立ちます。例えば以下のようなシーンにおいて、アサーティブでない場合と実践した場合の効果をご紹介します。

【活用例1】上司から部下へのフィードバック

部下に対して業務のミスを指摘する場合、「いつもミスしているよね」など攻撃的な言い方や「ミスをしないように気をつけて」といった一方的な押し付けをしてしまうと、部下の仕事に対するモチベーションが下がってしまうかもしれません。上司への不信感を募らせることもあるでしょう。 部下へフィードバックをする際は、まず事実を伝えた上で、自分が感じていることや改善策を順に伝えましょう。

NG例

この間提出してくれた資料だけど、またミスがあったよ。いつも同じようなミスをしているからもっと気をつけてね。

OK例

○○さん、期限内に資料提出してくれて助かったよ。ただ一部、数値の誤りがあったよ。私の説明が足りていなかったのは申し訳なかったが、些細なミスをするのはもったいないから、もし分からないことがあればその都度相談してもらえるかな。

【活用例2】部下から上司への報告

業務において正しく情報を共有することは重要です。報告漏れがあれば、業務の効率が悪くなったり人間関係に亀裂が入ってしまったりすることもあります。例えば業務が期限に間に合わない場合、誤魔化さず現状を報告して、その後どう対応するのが最善かを考えましょう。

NG例

こちらの業務の提出期限を延ばしていただけませんか?

OK例

申し訳ございませんが、こちらの業務が期限までに間に合わないかもしれません。期限を明日に延ばしていただくことは可能でしょうか?もしくは、他の方にサポートいただけたら間に合うのですが、手が空いている方はいらっしゃいますか?

おわりに

アサーティブ・コミュニケーションを実現させるには、ノウハウを学んで繰り返し実践することが大切です。日常生活や職場において意見の伝え方を意識することでストレートに自己表現・自己主張できるようになり、円満な問題解決に近づきます。アサーティブなコミュニケーションスキルを身につけて、職場の良好な人間関係の構築に活用していきましょう。

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