要件定義とは?進め方や成功のコツなど初心者必見のポイントを解説

2023.08.23IT
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要件定義とは?進め方や成功のコツなど初心者必見のポイントを解説

要件定義は、ニーズを満たすITシステムを開発するために必須となる作業工程です。しかし、要件定義を進めるのは簡単ではなく、進行が滞ったり炎上したりすることも珍しくありません。

今回は、要件定義の基礎知識・進め方・必要スキルなどをご紹介します。開発を成功に導く要件定義を行うためにも、基本となるポイントを押さえておきましょう。

要件定義とは

要件定義とは、ITシステムを開発する際に、実装の内容や範囲などの仕様を決める工程です。システムの土台・方向性を決める作業である要件定義の良し悪しが、開発の完成度を左右すると言っても過言ではありません。

ここでは、要件定義の目的や、具体的な検討内容を解説します。

要件定義の目的

要件定義を行う主な目的は、以下の3つです。

  • 関係者全員で、構築すべきITシステムの内容について共通認識を持つ
  • ニーズに合った機能を備えるITシステムを完成させる
  • 予定どおりのスケジュールや予算で進める

要件定義という形で開発したいシステムの詳細を可視化することで、関係者全員が共通認識を持つことができます。そうすることで開発過程での行き違いや方向性のずれをなくし、希望どおりの成果物を手戻りなく期限までに完成させるという目標への精度が上がります。

要件定義で決めるべきこと

それでは、要件定義で決定すべき項目の代表例を見てみましょう。

要件定義で決定すべき項目の代表例
システムの概要開発目的、導入後の運用方法、使用する言語など
機能実装が必須の機能(UI、システム構造、外部連携など)
非機能機能以外の要件(運用・保守関係、セキュリティ、性能など)

上記以外にも、開発内容に応じてできるだけ詳細に要件を言語化しておくことが、システム開発をスムーズに進めるコツです。

要件定義と要求定義・基本設計・詳細設計との関係性

要件定義と類似した言葉に、要求定義・基本設計・詳細設計があり、大まかな流れとしては、「要求定義→要件定義→基本設計→詳細設計」の順番で行います。

ここでは、要求定義などの概要や、要件定義との関係性を確認しておきましょう。

要求定義とは

要求定義とは、要件定義作成の基礎となるもので、システムへの要望事項を整理する工程です。実際にシステムを使うユーザー側が、システム化に求める内容や優先順位を検討します。

要件定義の精度を上げるには、要求定義の段階で、潜在的なニーズまで掘り起こしておくことが重要です。

基本設計とは

基本設計は、要件定義の内容を詳細設計に落とし込めるよう整理する工程です。要件であがっている項目をシステム上でどのように実現するのか、ユーザー側にも伝わる表現で設計します。

例えば、要件定義で「リマインドが必要」とある場合、基本設計では「締切日時の1日前にメールを送信する」などと設計されます。

詳細設計とは

詳細設計は、基本設計を踏まえ、要件定義をプログラミングできる形に整える工程です。プログラマー向けの技術的な内容で、システム内での処理やフローを詳細化します。

例えば、基本設計の「締切日時の1日前にメールを送信する」は、詳細設計では「〇〇の条件を満たした際に□□でメール送信処理をする」などと整理します。

要件定義の基本的な進め方

要件定義の基本的な進め方

要件定義は、以下の5ステップを踏まえることでスムーズに進められます。

要件定義の基本的な進め方
ステップ1課題を分析し、開発の目的を明確にする
ステップ2システム化の範囲や内容を検討する
ステップ3必要な機能を整理する
ステップ4機能以外の要件を整理する
ステップ5要件定義書を作成する

各ステップについて、順番に内容を確認していきましょう。

課題を分析し、開発の目的を明確にする

まず、現状の課題を整理し、システム化して何を実現したいのか、開発目的を明確にします。最初からシステムに求める機能を列挙すると、目的からずれた構成になったり、優先順位がわからなくなったりするためです。

本当に使い勝手の良いシステムを開発するには、最初に方向性を具体的に決めましょう。

システム化の範囲や内容を検討する

次に、開発の目的を踏まえて、システム化する範囲や内容を検討します。範囲に応じて予算や開発期間が変わるので、広げ過ぎないよう注意しましょう。

ただし、必要な構成はここで出し切っておかないと、後からの追加には余計にコストがかかります。検討段階で、課題の解決に必要なラインを見極めることが大切です。

必要な機能を整理する

構成の全体像が決まったら、機能要件を整理します。

現行の業務フローにシステムをどのように組み込むかを念頭に置いた上で、UIやシステムのフロー、外部連携といった機能面に求めるものと、その優先順位を検討しましょう。

機能以外の要件を整理する

機能要件を決定できたら、性能・保守・セキュリティなどの非機能要件を整理します。特に性能は、システムを安定運用するために重要な要件です。CPU・メモリ・電源容量など、実際の利用シーンを想定し十分なスペックを定義しましょう。

非機能要件に加え、スケジュールや開発メンバーとの連携体制なども、この段階で決めておきます。

要件定義書を作成する

最後に、整理した内容をすべて要件定義書にまとめます。要件定義書は、開発に携わる全員に内容が正確に伝わるよう作成することが非常に大切です。

要件定義書の書き方が不十分・不正確だと、要件どおりのシステム開発が難しくなるためです。要件定義書の質によってシステムの質も左右されることを、肝に銘じておきましょう。

要件定義をスムーズに進めるポイント

要件定義をスムーズに進めるポイント

開発プロジェクトの成功につながる要件定義をするには、押さえるべきポイントが3つあります。

  • 必要なスキルを身につける
  • 誰にでも伝わる表現で作成する
  • チェックをしっかり行う

必要なスキルを身につける

質の高い要件定義をするには、複数分野のスキルを身につける必要があります。

要件定義に必要なスキル例
ITスキル機能要件や非機能要件を正確に整理する上で必要
文章化スキル第三者にも正確に伝わる要件定義書を作成する際に必要
プロジェクトマネジメント関係者と連携しスケジュールどおり開発を進める上で必要

上記のようなスキルを過不足なく実用レベルで習得するには、外部研修を利用することが効果的です。

誰にでも伝わる表現で作成する

システム開発は、多くの人が工程に関わります。そのため、認識に齟齬が生じないよう、第三者にも正確に伝わる要件定義書にすることが大切です。作成したら関係者以外に確認してもらうなどして、分かりやすさを追求しましょう。

チェックをしっかり行う

要件定義は、作成して終わりではありません。要件定義の内容が正しくシステムに反映されているか、開発の各段階でこまめにチェックすることも大切です。開発目的に沿う形で要件がシステムに組み込まれているか、確認を怠らないことが、開発を成功に導きます。

まとめ

質の高い要件定義をすることで、開発を成功させやすくなります。そして、精度の高い要件定義を行うためには、スキルを習得するなど、ポイントを押さえた対策が必要です。基礎をしっかり身につけ、思いどおりのシステムを開発しましょう。

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