ハラスメントとは?ハラスメントの種類や対策方法について解説

2024.08.28ビジネス
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ハラスメント

ハラスメントとは、嫌がらせやいじめなど人の嫌がる行為を指す言葉です。ハラスメントが職場内で発生すると、雰囲気が悪くなり働きにくい環境を作ってしまいます。そのため、企業は職場でハラスメントが起きないために、対策を行うことが大切です。
本記事では、ハラスメントの概要や種類、職場での対策方法について解説します。

ハラスメントとは

ハラスメントとは、嫌がらせやいじめといった迷惑行為のことを指します。暴力などの身体的な行為だけが、ハラスメントではありません。暴言や無視といった精神的なダメージや、相手に不利益をもたらす行為もハラスメントに該当します。
たとえ、ハラスメントを行った側に悪意がなくても、相手に苦痛を与えたり不利益を与えたりした場合は、ハラスメントと判断されます。

ハラスメントの種類

さまざまな行為がハラスメントとして、認知されています。職場での代表的なハラスメントの種類は次のものが挙げられます。

  • パワーハラスメント
  • モラルハラスメント
  • セクシャルハラスメント
  • マタニティハラスメント・パタニティハラスメント
  • カスタマーハラスメント

ここでは、職場での代表的なハラスメントの種類とその詳細を解説します。

パワーハラスメント

パワーハラスメント(パワハラ)とは、職場内での優位な立場を利用して業務に必要な範囲を超えて労働環境を悪化させるハラスメントのことです。
具体的には、部下を理不尽な内容で叱責し続けることや、業務に必要な情報を意図的に共有しないといった不利益を与えること、上司という立場を利用して部下を殴る・蹴るなどの行為が該当します。

モラルハラスメント

モラルハラスメント(モラハラ)とは、言葉や態度により相手に継続して精神的な苦痛を与える行為を指します。具体的には、職場内の無視や陰口、人格否定、業務妨害などが該当します。
パワハラとの違いは、上司や先輩といった優位な立場を利用しているかどうかです。パワハラは、優位な立場を利用したハラスメントですが、モラハラは精神的な苦痛を与える言動や行動が主で、周囲に気付かれにくいケースが多いです。

セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメント(セクハラ)とは、性的な言動や行動により労働者に対して不利益を与えるハラスメントのことです。具体的には、社員が他の社員に性的な冗談をいうことや性的な言動で不快にさせること、必要なく身体を触るなどの行為が該当します。セクハラは男性から女性に対するものだけでなく、女性から女性、女性から男性、男性から男性に対しても行われることがあります。

マタニティハラスメント・パタニティハラスメント

マタニティハラスメント(マタハラ)とは、妊娠や出産、育児に関する言動により女性労働者の労働環境を悪化させるハラスメントのことです。
一方でパタニティハラスメント(パタハラ)は、育児に関する言動により男性労働者の労働環境を悪化させる行為を指します。
具体的には、産前産後休暇や育児休業などの制度を希望したことや制度利用したことなどを理由に、育児を行う社員に対し同僚や上司などが嫌がらせや嫌味を言う行為が該当します。他にも、妊娠した社員に対して「妊娠の時期について責める」「他の人を雇うので早めに辞めてもらうしかない」などの言動で労働者の就業環境を害することも該当します。

ただし、客観的にみて妊婦の体調が悪いときに安全配慮の観点から助言するような場合、業務上の必要性に基づく言動はハラスメントに該当しません。

カスタマーハラスメント

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客が企業に対して理不尽なクレームや言動をすることを指します。具体的には、事実無根の要求や法的に根拠のない要求、顧客が土下座を要求したり暴言を浴びせたりする行為が該当します。
企業として、正当性のあるクレームには誠実に向き合う一方で、カスハラには毅然とした対応をとらなければなりません。正当なクレームとの区別は、顧客の要求内容が妥当か、要求を実現するための手段が社会通念上適当であるかを確認しましょう。

他にも、飲酒に関する嫌がらせや迷惑行為である「アルコールハラスメント(アルハラ)」や自主退職するように仕向ける「リストラハラスメント(リスハラ)」などがあります。

ハラスメントが職場に及ぼす影響とは

悩む女性社員

ハラスメントが発生すると、職場にさまざまな影響を及ぼします。

職場環境が悪化し、生産性の低下を招く

ハラスメントを受けた側は、仕事に対するモチベーションが低下します。また、周囲に分かるように大声で叱責を行い、他の社員もハラスメントを目撃した場合、不快な思いをすることになります。職場内の風通しが悪くなることで、生産性の低下を招くことにつながります。

離職者が増え、人材不足につながる

ハラスメントの被害を受けた社員は、職場に居づらくなり、メンタル不全や精神疾患を引き起こす可能性があります。その影響から、離職を考える方が多くなるでしょう。
また、被害を受けていなくてもハラスメント行為を目撃した社員にも、心身の負担を与える可能性があり、離職を考えてしまうきっかけになります。ハラスメントが発生することで、人材が流出してしまい人材不足に陥る可能性があります。

企業のイメージダウンにつながる

ハラスメントが発生したことがメディアやSNSなどに取り上げられると、企業のイメージダウンにつながります。イメージダウンしてしまうと、社会的信用の低下も考えられ、売上や顧客、取引先への影響も考えられるでしょう。
また、企業のイメージが低下することで、優秀な人材を確保するのも難しくなります。採用活動が厳しくなる可能性もあることから、ハラスメント対策が必要となります。

ハラスメントにおける企業の法的リスク

ハラスメントの発生は職場にさまざま影響を及ぼすだけでなく、企業が法的責任を問われる可能性もあります。職場でハラスメントが発生した場合、企業の負う法的リスクは次のものが該当します。

契約上の責任

企業(使用者)は、労働者(被用者)に対して、雇用契約で定められた仕事をさせるだけでなく、労働者が快適に働けるように職場環境を整える義務があります(職場環境配慮義務)。また、労働者が安全に働けるように配慮する義務もあり(安全配慮義務)、その生命や健康を守るために必要な措置を取る責任があります。そのため、企業はパワハラの発生を防ぐ責任を持っており、パワハラが起こった場合には、すぐに対応して問題を解決する必要があります。
もし企業がこれらの義務を果たさない場合、労働者から契約違反(債務不履行)として責任を問われる可能性があります。

不法行為責任

企業は、使用する労働者が職務遂行中に第三者にパワハラなどのハラスメントによる損害を与えた場合、使用者責任として損害賠償責任を負うことがあります。(民法715条)
また、零細企業などで代表者本人やそれと同視できる者によってハラスメントが行われた場合は、会社そのものに不法行為責任(民法719条)が認められることもあります。

ハラスメントが起こる要因

ハラスメントはいくつかの要因で発生すると考えられます。ここでは、ハラスメントが起こる要因について見ていきましょう。

ハラスメントに対する知識が不足している

具体的にどのような行動や言動が、ハラスメントにあてはまるのかを把握していないこともあるでしょう。ハラスメントに対する知識が不足していると、自分は大丈夫だと思っていても無意識に相手を傷つけることがあります。

誤ったコミュニケーションを取っている

相手との適切なコミュニケーションの取り方が分からない、といったコミュニケーションスキルの不足などによりハラスメントが起こることがあります。相手のことを考えず、自分本位にコミュニケーションを取ることで相手を無意識に傷つけてしまう恐れがあるのです。

無意識な思い込みや偏見

無意識な思い込みや偏見(アンコンシャス・バイアス)があり、自分の経験や価値観、見聞きした情報から偏った見方で考えることによりハラスメントを起こすことがあります。さまざまな価値観があることを理解する必要があります。

職場のハラスメント対策方法

職場内でのハラスメントを防止するために、いくつか対策を取り入れるようにしましょう。

ハラスメントに関する社員研修を行う

社員研修

まず、ハラスメント対策の効果を高めるために、ハラスメントに関する社内研修を行うと良いでしょう。ハラスメント研修では、ハラスメントが起こる原因や予防方法、事例などを取り上げ、職場におけるハラスメントの正しい知識を学ぶことができます。
また、部下やチームメンバーとスムーズで快適なコミュニケーションが取れるようコミュニケーションに関する研修の実施もおすすめです。

ハラスメントに関する社内規定を決める

職場におけるハラスメントの内容や、ハラスメントが許されないことを社内規定に明確にしておきましょう。決定した内容は社員全員に知ってもらうことで、ハラスメント防止の対策にもなります。社内規定を決めたら、管理者を含む社員全体に周知・啓発しておきましょう。

相談窓口を設置する

研修や社内規定の決定に加えて、相談窓口の設置も行いましょう。ハラスメント被害や疑いがある場合に、相談しやすい環境を作ることで、早期に対応することが可能になります。相談窓口を設置し、内容や状況に応じて対応できるよう環境を整えておきます。

ハラスメントを防止するために必要なスキルを習得するには

ハラスメントが起こることで、被害を受けた方はもちろん、周りにいる方にも精神的な苦痛を与えることがあります。職場内の風通しが悪くなり、社員のモチベーションが下がります。企業のイメージが低下する恐れもあるため、ハラスメント対策を行うことが有効です。

アイ・ラーニングでは、ハラスメントや部下との適切なコミュニケーションの取り方について学べる研修を用意しています。部下や後輩との適切な関係性を構築するためにも重要となります。ハラスメント対策としてぜひお役立てください。

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アイ・ラーニングコラム編集部

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