AIエンジニアとは?仕事内容や求められるスキル、向いている人の特徴を解説
2025.07.17IT
近年、AI(人工知能)技術の急速な発展により、DX推進や業務効率化を目的として多くの業界でAIの活用が進んでいます。このような背景から、AIエンジニアの需要は年々高まっています。しかし、実際にAIエンジニアとはどのような職種なのか詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか。
今回の記事では、AIエンジニアの概要から具体的な仕事内容、求められるスキル、向いている人の特徴について詳しく解説します。
AIエンジニアとは
AIエンジニアとは、人工知能技術を活用したシステムやアプリケーションの開発、実装、運用を担当するエンジニアのことです。機械学習やディープラーニングなどの技術を駆使して、データから価値のある情報を抽出し、ビジネス課題を解決するソリューションを構築する役割を担っています。AIエンジニアは従来のソフトウェア開発とは異なり、大量のデータの収集・前処理から適切なアルゴリズムの選択、モデルの学習、そして実際のシステムへの実装まで、AI開発の一連の工程に関わることが特徴です。金融業界での不正検知、製造業での品質管理、物流業界での需要予測や在庫管理など、幅広い分野でAIエンジニアの技術が活用されています。
ITエンジニアとの違い
AIエンジニアとITエンジニアには、扱う技術領域や目的などに明確な違いがあります。従来のITエンジニアは、既存の仕様に基づいてシステムを構築することが主な目的です。一方、AIエンジニアは不確実性を伴うデータから学習し、予測や判断を行うシステムを構築します。また、AIエンジニアには数学的知識が求められ、開発段階においてもデータの前処理、学習、性能評価といった特有の工程を踏む必要があります。
AIエンジニアの仕事内容

AIエンジニアの仕事は多岐にわたりますが、主要な業務として以下の3つが挙げられます。各工程において専門的な知識と技術が必要となり、プロジェクトの成功に向けて重要な役割を担います。
AI開発
AI開発は、AIエンジニアの中核となる業務です。この工程では、AIシステムの設計から実装、テストまでの一連の開発作業を担当します。具体的には、業務要件を分析して最適なアルゴリズムを選定し、コーディングや各種フレームワークを活用して効率的な開発を進めます。完成後はテストを行って開発したモデルの精度や性能を評価し、実際の運用環境で期待される結果が得られるかを検証します。
学習
収集された大量のデータをAIモデルに読み込ませ、パターンの発見や予測能力の向上を図ります。まず、データの選定や正規化、クリーニングといったデータの前処理を行い、学習に適した形式に加工します。適切な学習アルゴリズムを適用し、パラメータの調整を行いながらモデルの性能を最適化します。学習の過程では、過学習や未学習といった問題への対策も重要です。AI開発における性能は学習データの質と量に大きく依存するため、学習は極めて重要な工程となります。
分析
AIが抽出したデータや予測結果を分析し、ビジネス上の意思決定を支援する情報を提供することもAIエンジニアの業務です。単にAIモデルを構築するだけでなく、AIモデルが出力した結果の妥当性や重要な特徴量を検証し、意思決定者が理解しやすい形で結果を可視化します。さらに、分析結果に基づいた改善提案や、継続的なモニタリングを通じて長期的な価値提供を図ります。
AIエンジニアの役割
AIエンジニアの仕事は、専門性によって以下の3つの役割に細分化することができます。ただし、それぞれ独立した職種であり、AIエンジニアの役割を分業、または一部兼任しているケースもあります。
機械学習エンジニア
機械学習エンジニアは、機械学習技術を用いてデータから有益な知識や予測を抽出することを専門とするエンジニアです。AIエンジニアの中でも機械学習モデルの設計、実装、運用に特化した役割を果たし、性能評価や改善、本番環境での運用などを行います。機械学習エンジニアは、アルゴリズムに関して深く理解し、実装レベルでの最適化を図ることが求められます。プログラミングスキルや数学的知識を兼ね備えた高い能力が必要とされる職種です。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、ビッグデータを分析し、ビジネス上有益となるインサイトを引き出す業務を担当します。機械学習エンジニアとは明確に区別される職種であり、技術実装よりも主にデータ分析やビジネス課題の解決に重点を置きます。具体的には、ビジネス課題の理解、データ収集、探索的分析、データの可視化と提案、データに基づく意思決定支援などを行います。データサイエンティストは、統計学の知識に加えて、ビジネス理解とコミュニケーション能力が重視される職種です。
データアナリスト
データアナリストは、現存するデータを可視化・分析し、企業の業務改善や意思決定を支援する役割を担います。データアナリストは統計学を用いた既存データの分析と改善提案に特化しています。具体的には、ツール等を活用したデータ集計、トレンド調査、レポート作成などを中心に行い、意思決定者が分かりやすい形で情報を提供します。データアナリストは、専門的なビジネス理解と分析スキルが求められる職種です。
AIエンジニアに求められるスキル

AIエンジニアとして活躍するためには、技術的なスキルから数学的知識まで幅広い能力が求められます。以下に主要なスキルについて解説します。
プログラミングスキル
AIエンジニアにとって、プログラミングスキルは必須の能力です。特にPythonは機械学習開発において最も広く利用されており、豊富なライブラリとフレームワークが提供されています。代表的なフレームワークとして、「PyTorch」と「TensorFlow」が挙げられます。PyTorchは研究開発に適した柔軟性を持ち、TensorFlowは汎用性が高く本番環境での運用に優れた安定性を提供します。また、PythonやJavaなどの言語は、AI開発において広く利用されており、これらの言語に習熟することで、幅広いAI開発プロジェクトに対応できるようになります。
数学的知識
機械学習アルゴリズムの多くは数学的理論に基づいていることから、AIエンジニアには数学的知識が不可欠です。例えば、確率論は予測の信頼度やモデルの不確実性評価に、統計学はモデルの妥当性評価に、線形代数はニューラルネットワークや主成分分析の理解に、微分積分学は最適化アルゴリズムの理解に役立ちます。これらの知識なしには適切なモデル選択や検証、パラメータ調整、データの前処理などを行うことができません。
機械学習・アルゴリズム知識
機械学習やアルゴリズムの知識を身につけることで、幅広いAI開発案件に対応することが可能です。「教師あり学習/教師なし学習/強化学習」などそれぞれの学習手法の特徴を理解し、問題に応じて適切な手法を選択する能力が求められます。また、決定木、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、ニューラルネットワークなど、各アルゴリズムの特性と適用場面を理解することが重要です。
データベース運用知識
AIプロジェクトでは大量のデータを扱うため、データベースに関する知識は不可欠です。SQLなどのデータベース言語を活用したデータの抽出、加工、集計スキルに加え、NoSQLデータベースやビッグデータ処理技術についても理解することが重要です。また、データウェアハウスやデータレイクの概念を理解し、分析基盤の設計と運用についても知識を持つことで、より効果的なデータ活用を行うことができます。
AIエンジニアに向いている人の特徴
AIエンジニアとして成功するためには、技術的なスキルに加えて特定の資質や思考パターンが重要です。以下に主要な特徴をご紹介します。
論理的思考力がある
AIエンジニアには、データに基づいて状況を分析・判断できる論理的思考力が求められます。データに基づいた意思決定を行う際、感覚的な判断ではなく、統計的根拠や数学的な裏付けをもとに結論を出すことが重要です。また、モデルの予測結果を解釈し、その妥当性を検証する際にも論理的なアプローチが活かされます。問題解決においても、複雑な課題を構造化し、段階的に改善策を検討するために欠かせない能力です。
学習意欲がある
AIの分野は技術革新のスピードが極めて速く、新しいアルゴリズムやフレームワークが次々と登場します。そのため、新しい知識や技術に対する学習意欲が高い人はAIエンジニアに適しているといえます。最新の研究動向やオンライン講座を通じて、技術トレンドや応用可能なツールを積極的に吸収する姿勢が大切です。
まとめ
AIエンジニアは、現代のデジタル社会において極めて重要な役割を担う職種です。AI技術の社会実装が加速する中、AIエンジニアの需要は今後さらに高まることが予想されます。特に、技術革新に対応できる柔軟性と論理的思考を持ち合わせ、新しい技術への学習意欲を持つ方にとって、AIエンジニアは魅力的なキャリア選択といえるでしょう。
アイ・ラーニングでは、AIエンジニアに必要なスキルを体系的に学べるITスキル研修を提供しております。基礎から応用まで、実践的なカリキュラムを通じてAIエンジニアとしてのキャリア形成をサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
アイ・ラーニングのITスキル研修についてはこちらから
👉https://www.i-learning.jp/service/it.html
👉https://www.i-learning.jp/service/it/analytics.html
アイ・ラーニングコラム編集部