クリティカル・シンキングとは?ビジネスにおける必要性と鍛え方

2023.08.25ビジネス
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クリティカル・シンキングとは?ビジネスにおける必要性と鍛え方

ビジネスにおける思考パターンとして「クリティカル・シンキング」という考え方があることをご存じの方は多いと思います。しかし具体的な言葉の意味合いや、よく似た言い回しである「ロジカル・シンキング」との違いを詳しくご存じない方もいるでしょう。
この記事では、クリティカル・シンキングの意味や概要をご説明するとともに、その必要性やロジカル・シンキングとの違い、クリティカル・シンキングを鍛える方法などをご紹介します。

クリティカル・シンキングとは

クリティカル・シンキングという言葉の意味をそのまま直訳すると、「批判的思考」となります。ただしクリティカル・シンキングにおいて、何かへのネガティブな批判が必ずともなうといったような特徴はありません。

批判という言葉の本来の意味は、欠点や誤りを糾弾するのではなく、それらを見つけて慎重に検討の上、正当な判断を下すことです。このような健全な批判的精神に則り正しく疑って、その場の感情や思い込みなどに流されず客観的に、誰もが納得のいく判断に努めるという考え方が、クリティカル・シンキングであると考えると良いでしょう。

ロジカル・シンキングとの違い

クリティカル・シンキングと似たものとして、ロジカル・シンキングが挙げられます。ロジカル・シンキングを直訳すると「論理的思考」となり、多面的な方向からさまざまな推論を打ち出し、それらを積み重ねて道筋の通った結論を導き出すという考え方を指します。

ロジカル・シンキングにおいては、最終的に下すべき判断において「道理に適っていること」、「理論上正当であること」が重んじられます。その一方、クリティカル・シンキングでは論理的な正当性にとどまらず、状況や周囲の意見等を鑑み妥当であるか否かも含めた判断が行われます。
「理論上正しい判断」がロジカル・シンキングの特徴であるなら、クリティカル・シンキングでは「現状で適切かつ最大公約数が納得できる判断」が行われると言えます。

クリティカル・シンキングの必要性・メリット

クリティカル・シンキングの必要性・メリット

現代のビジネスにおいて、なぜクリティカル・シンキングが重要視されているのでしょうか。ここではクリティカル・シンキングの必要性や、クリティカル・シンキングを取り入れることのメリットをご紹介します。

なぜクリティカル・シンキングが必要なのか

ビジネスにおいてクリティカル・シンキングが求められる背景には、ビジネスの手法や環境が劇的に変化し続ける現代の状況があります。
「以前はこの手法で成果が得られたから、今後も同じやり方で続けるのが最善」と、人はつい思ってしまいます。しかし現代は「VUCA時代」とも言われるように、ビジネスを取り巻く状況が変化し続けている以上、従来と変わらないやり方でそのまま通用するとは限りません。

VUCAについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
VUCAとは何か。VUCA時代を生き抜く企業に必要なこと : i-Learning 株式会社アイ・ラーニング

従来繰り返してきた手法や考え方であっても、あえて大きく変えて異なる手法やアイデアを取り入れなければならないこともありえます。その際には、従来と変えるべきものは何であるか、新たに導入すべきものは何であるかを考えなければなりません。それらを見極めるためには、さまざまな方面から多面的な検討を行うことが必要です。
新たなアイデアを実際に試してみる段階では、数多くの意見が寄せられるでしょう。それらの主張に対し客観的な検証を行い、意見者を含む多くの人が納得する結論を出さねばなりません。
現代においてクリティカル・シンキングの必要性が高まっていることには、このような背景が密接にかかわっていると考えられます。

例えば営業担当者の場合、お客様の本質的な課題や潜在ニーズを見出し提案につなげる必要があります。またコンサルタント業務の担当者であれば、より質の高い戦略を構築して提供するため、物事の本質を読み解き正確に伝えることが必要です。このような取り組みで適切な判断を下すために、クリティカル・シンキングが有用となるでしょう。

クリティカル・シンキングを取り入れるメリット

クリティカル・シンキングで得られる大きなメリットの1つに、コミュニケーションが円滑になることが挙げられます。双方に認識の齟齬がある限り、コミュニケーションはうまくいきません。そのようなときも、クリティカル・シンキングに基づいて説得力ある意見を提示できれば、相手の納得を引き出せます。また相手側の意見に対しても、その意図が理解しやすくなるため、コミュニケーションがスムーズになるでしょう。
またクリティカル・シンキングは管理職の方の業績管理にも有用です。担当する部署の売上や利益などを管理する際、クリティカル・シンキングに基づいてデータを客観的に判断できれば、マーケティング戦略への応用も適切に行えるでしょう。

クリティカル・シンキングの鍛え方

クリティカル・シンキングの鍛え方

「わが社でもクリティカル・シンキングを実践しよう」と思い立ったとしても、具体的に何を実践すれば鍛えられるのか、分からない方もいらっしゃると思います。ここでは、クリティカル・シンキングを身につけ、磨いていくためには、どのような手順で取り組んでいけば良いのかを解説します。

知識の習得

まずは、クリティカル・シンキングに関するさまざまな知識を取り入れましょう。
クリティカル・シンキングのために必要となる各要素は何であるか、またクリティカル・シンキングを阻害する思考はあるのかなどを知ると良いでしょう。クリティカル・シンキングを阻む考え方をどう克服するかなども重要です。
スムーズな実践のためにも、事前にクリティカル・シンキングに関する基本的な知識を身につけておくことをおすすめします。

実践(疑似体験)

座学などを通じてクリティカル・シンキングに関することを頭で理解しただけでは、実際にビジネスへ活用することは難しいでしょう。ビジネスの現場で適切な思考法を身につけるためには、実践も必須です。

クリティカル・シンキングに基づくビジネスの疑似体験ができる研修を取り入れるなど、具体的な手法を試す機会を得ることも1つの手でしょう。現在はクリティカル・シンキングを学んだりスキルを身につけたりしたいというニーズも増加しているため、企業向けのセミナーも盛んに開催されています。

フィードバックと改善

クリティカル・シンキングは、習得さえできればそれで完成ではありません。ビジネスのなかで実践を繰り返していくことで、成功の機会もあればうまくいかないケースもあるはずです。他者からさまざまな評価を受けることもチャンスととらえ、課題が浮き彫りになれば改善に努めることで、クリティカル・シンキングのスキルもさらに磨かれていくでしょう。

まとめ

クリティカル・シンキングとはどのような思考であり、ビジネスにおいてどのように有用であるかがお分かりいただけたと思います。
基本的な知識を身につけた上で、実践とフィードバック・改善を繰り返して思考をブラッシュアップしていくことにより、クリティカル・シンキングは鍛えられていきます。客観的に合理的な判断を下すのに役立つクリティカル・シンキングを、ビジネスに取り入れていきましょう。

i-Learningのクリティカル・シンキングに関する研修・関連講座一覧はこちら
👉https://www.i-learning.jp/service/human/topics/CriticalThinking.html

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