【メタエンジニアの戯言】健康管理アプリとKPI
2026.01.14松林弘治の連載コラム
昨年10月の健康診断で、メタボ判定に引っかかってしまいました(笑)。テニスをしているせいか筋肉スコアは98あるのに、腹囲が無情にもジャスト85cm…お酒の飲み過ぎでしょうか。面談での指導でもいろいろアドバイスをいただきました。
そこで始めたのが、食事の記録です。健康管理アプリとして「あすけん」「カロママプラス」「カロミル」などがあるので、いくつか比較試用したのち選定、特にカロリーと塩分量を「見える化」すべく、本格的に記録を開始しました。
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見える化により、最初にショックを受けたのは「塩分摂取量」でした。数値として客観的に見ると、いろんな料理や食材から、予想以上に、そして無自覚に、塩分を多く摂っていたのです。
容赦なき見える化によって、「自分の食生活は、自分が思っているほど把握できていなかったのか…」と、初めて思い知らされました。
次に苦労したのは、「カロリー」と「栄養バランス」です。カロリーを抑えること自体は、食べる量を減らす、食べるものを変える、間食を意識的にとらない、など、意外とやりやすい印象です。
一方で、脂質を抑える、さらに栄養バランスを整える、まで意識すると、難易度が上がります。「タンパク質を増やしたいが、脂質も増える」、「野菜を増やしたいが、ドレッシングに気をつけないと塩分過多になる」など、シーソーゲームが始まります。
体重を落とす「だけ」なら、食べる量とカロリーを減らせば数字は動くので、比較的簡単です。しかし、筋肉を落とさずに体重を落とす、となると、日々の運動量、
そして摂取栄養素にも気を配り続ける必要があります。
幸い、自分はほぼ毎食自宅で作っているので、この辺りのコントロールはできなくはありません。そして「食材や調理法をどう工夫したらいいか」というパズル的要素もあるため、楽しみながらできました。
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で、このような健康管理アプリを使い続けるうちに、「これって仕事のKPIと同じようなもんだなぁ」と思ったのです。
KPIは、KGI(最終目標)に近づくための、「途中経過を測る物差し」です。
健康管理でいうと、「摂取カロリー」や「体重」だけを指標にすると、栄養バランスが崩れたり、筋肉量が落ちたりするかもしれない。数字は達成しているのに、体は元気でない、みたいなことが起こりえます。
これは、仕事における「売上だけを追うと、粗利が落ちたり、解約が増えたりする」や「開発速度だけを追うと、品質が落ち、後で障害対応に時間が溶ける」といった事例に対応すると言えるでしょう。
つまり、単一KPIの数字だけを見るのではなく、バランスを保ち暴走を防ぐために、ガードレール指標も重要になってくる、ということです。仕事では、「対応件数」に対する「解決率」「顧客満足度」など、健康では、「体重」「カロリー」に対して「脂質」「塩分」「タンパク質」「栄養バランス」などでしょう。
また、健康管理アプリのデータから、「先行指標 / 遅行指標」の関係も仕事と一緒だな、と思わされました。結果が出るまで時間がかかる体重は遅行指標で、食事の内容や運動量、睡眠の質などが先行指標、といった具合です。
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ともあれ、健康管理アプリでの記録を開始して2ヶ月後の大晦日、4kg減、内臓脂肪レベルも十分に落ち、逆に筋肉量は増やすことができました。
楽しくなってきた食事の記録は、今でもストイックに続けています。家族からは「調理中や食事中にキッチンスケールやアプリとにらめっこしてるのはおかしい」と揶揄されています(笑)。でも、まずは自分の健康を題材に、KPIの設計・運用をいろいろ試してみるのも悪くないかも、と思い、もうしばらく続けてみようと思います。

松林 弘治 / リズマニング代表
大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期過程修了、博士後期課程中退。龍谷大学理工学部助手、レッドハット、ヴァインカーブを経て2014年12月より現職。コンサルティング、カスタムシステムの開発・構築、オープンソースに関する研究開発、書籍・原稿の執筆などを行う。Vine Linuxの開発団体Project Vine 副代表(2001年〜)。写真アプリ「インスタグラム」の日本語化に貢献。鮮文大学グローバルソフトウェア学科客員教授、株式会社アーテックの社外技術顧問を歴任。デジタルハリウッド大学院講義のゲスト講師も務める。著書に「子どもを億万長者にしたければプログラミングの基礎を教えなさい」(KADOKAWA)、「プログラミングは最強のビジネススキルである」(KADOKAWA)、「シン・デジタル教育」(かんき出版)など多数。

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