ビッグデータとは?注目されている背景や種類、活用するメリットをわかりやすく解説

2025.09.09IT
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ビッグデータ

膨大なデータの中から価値のある情報を抽出し、ビジネスの意思決定に活用する手法としてビッグデータが注目を集めています。しかし、これまでにビッグデータを活用した経験がない場合、そもそもビッグデータが具体的に何を指すのか、本当にビジネスに役立つのか疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ビッグデータの基本的な概念から注目されている背景、活用するメリット、分析方法、活用時の注意点までをわかりやすく解説します。

ビッグデータとは

ビッグデータとは、従来のデータベースや管理システムでは処理が困難なほどの巨大なデータを指します。単純にデータ量が多いだけでなく、テキストや画像、動画、音声といった多様な形式のデータが高速で生成され、継続的に蓄積されるという特徴があります。ビッグデータと似た概念として「データマイニング」や「データウェアハウス」が挙げられますが、これらはビッグデータの分析や管理に用いられる手法です。一方、ビッグデータは分析対象となるデータ自体を指す言葉という明確な違いが存在します。

ビッグデータの5Vとは

ビッグデータの特徴は、Volume(量)、Velocity(速度)、Variety(多様性)、 Veracity(正確性)、Value(価値)の「5つのV(5V)」で表現されます。

  • Volume(量):大容量データが生成されること
  • Velocity(速度):データの生成、収集、処理、分析が高速で行われること
  • Variety(多様性):テキスト、画像、動画、音声などさまざまな形式のデータが含まれること
  • Veracity(正確性):データの品質や信頼性、一貫性のこと
  • Value(価値):データ自体の価値や活用によって生み出される価値のこと

上記のように各要素がビッグデータの本質的な特徴を示しており、従来のデータとの違いを明確にしています。

ビッグデータが注目されている背景

ビッグデータが注目されている背景には、現代社会におけるデータ量の増加と技術的な進歩が大きく関わっています。

データ量の増加

世界中で扱われるデータ量は、年々増加傾向にあります。データ量増加の背景には、スマートフォンの普及、IoTデバイスの拡大、デジタル化の進展により、あらゆる媒体・人物・モノが常にデータを発信する時代となったことが挙げられます。これらの膨大なデータの中には、従来の分析手法では発見できなかった有用な情報が埋もれており、新たなビジネス機会や企業競争の武器として注目されているのです。

テクノロジーの進歩

昨今、インターネットやクラウドサービスの普及に加え、AI技術が発展したことで、データの収集・分析を行う技術が飛躍的に進歩しています。これにより、従来は人間が手間をかけて行っていた膨大かつ複雑なデータ処理の自動化が可能となり、ビッグデータを適切に活用できるようになったのです。

ビッグデータを活用するメリット

ビッグデータを活用するメリット

ビッグデータの活用により、企業は従来では得られなかった詳細な洞察を獲得し、戦略的な意思決定を行うことができます。具体的な活用事例を交えながら、ビッグデータを活用する主なメリットについて解説します。

精度の高い分析が可能になる

ビッグデータに含まれる膨大な情報をもとにすることで、より精度の高い分析が可能となり、従来のデータでは発見できなかった傾向やパターンを特定できるようになります。小売業界では、顧客の購買履歴、季節や天候情報、地域特性などの多様なデータを統合的に分析することで、個人の行動パターンや商品需要の変動を正確に予測できます。結果として、個々に最適化されたマーケティング施策の実施へつなげることが可能になります。

リアルタイムでデータを可視化できる

ビッグデータの処理技術によって、大量のデータをリアルタイムで可視化できるようになります。これにより、企業や担当者は即座に状況判断を行い、迅速な対応を講じることが可能です。例えば、EC・物流業界では、アクセス数や購買動向、在庫状況などをリアルタイムで監視し、需要の変化に応じて価格設定や在庫管理を最適化できます。また、交通状況や気象データなどから最適な配送ルートを算出することも可能です。製造業では、工場内のセンサーデータをリアルタイムで分析することで、設備の故障を未然に防ぐ予防保全を実現しています。

ビッグデータの種類

総務省の「平成29年版 情報通信白書」では、ビッグデータを4つの種類に分類しています。各種類の特徴と活用方法を理解することで、適切なデータ活用戦略を選択できます。

オープンデータ

オープンデータとは、政府や地方自治体、研究機関などが公開しているデータのうち、インターネットなどを通じて誰でも自由に利用できるデータのことです。代表的なオープンデータには、国勢調査データ、統計データ、地理情報、気象データ、公共交通機関の運行情報などが含まれています。これらの公的データは継続的に更新されることが多いため、長期的な分析や予測に適用でき、企業にとって価値ある情報源として注目されています。

知のデジタル化

知のデジタル化とは、企業が持つ知識やノウハウといった「暗黙知」をデジタル化・構造化したデータのことです。知のデジタル化データを活用することで、膨大な文書データから有用な情報を抽出・分析し、ビジネス課題の解決や新たなアイデア創出につなげることができます。

M2M

M2M(Machine to Machine)とは、人の手を介さずに機械同士が直接通信を行い、自動的に機器の制御やデータ交換を行う技術のことです。IoT機器、センサー、自動車、産業機械などから継続的に収集される運用データが主な対象となります。M2Mデータの活用によってシステムや機器が互いに連携することで、効率的な運用管理を行えます。

パーソナルデータ

パーソナルデータとは、個人の属性や行動パターン、購買履歴、検索履歴など、個人に関連するさまざまな情報を含むデータのことを指します。また、個人情報に加えて、特定の個人を識別できないよう加工された情報も含まれます。パーソナルデータを活用することで、企業は顧客一人ひとりに最適化されたサービスを提供することが可能です。ただし、パーソナルデータの利用には、個人情報保護の観点から適切な管理が求められます。

ビッグデータの分析方法

ビッグデータの分析方法

ビッグデータから価値のある情報を抽出するためには、適切な分析手法を選択し、活用することが重要です。ここでは、代表的な分析方法を3つご紹介します。

ロジスティック回帰分析

ロジスティック回帰分析とは、ある事象が発生する確率(「Yes/No」「成功/失敗」などの二値の結果)を予測するための統計的手法です。例えば、顧客の属性や収入、趣味嗜好などから商品を購入するかどうかを予測する際に用いられます。ロジスティック回帰分析は、実装や分析結果の解釈が容易で、確率的な予測が必要な場面で定量的に把握できることが大きな利点です。

クロス集計

クロス集計とは、2つ以上の変数の掛け合わせによってデータを分類・集計する分析手法です。ビッグデータの分析では、大量のデータから基本的な関連性や傾向を把握し、市場分析や仮説の推測に役立てることができます。クロス集計の利点は、高度な技術知識がなくても、分析結果が視覚的・直感的に理解しやすいことです。

クラスター分析

クラスター分析とは、類似した特徴を持つデータをグループに分類する分析手法です。データの背後にある構造やパターンを発見し、似たもの同士をグループ化することで、各グループに適した効果的な戦略を策定できます。クラスター分析は、事前に分類基準を決める必要がなく、潜在的なパターンやカテゴリを可視化しやすいことが利点です。

近年では、機械学習やディープラーニングを用いた高度な解析手法も登場しており、画像認識や自然言語処理など、さまざまな分野で活用が進んでいます。
機械学習・ディープラーニングについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

ディープラーニングディープラーニング・機械学習とは?基礎的な仕組みや活用方法を解説2024.06.14ディープラーニングとは人工知能技術の中の機械学習技術の一つであり、さまざまな業界で活用されている手法です。現在、AIやIoTの進化は加速しており人間と同等、もし

ビッグデータを活用するときの注意点

ビッグデータの活用には多くのメリットがある一方で、適切に対処すべき課題や注意点についても理解しておく必要があります。

適切なセキュリティ対策を行う

ビッグデータには、個人情報や機密情報が多く含まれているため、適切なセキュリティ対策を実施することが不可欠です。データの収集、処理、保存、廃棄の各段階で適切な管理を徹底しましょう。具体的なセキュリティ対策としては、データの暗号化、アクセス制御、監査ログの管理、定期的な脆弱性診断などが挙げられます。データの漏洩や不正アクセスは、企業の信頼失墜や法的リスクを招くおそれがあるため、組織全体での意識向上が求められます。

専門知識のある人材が必要である

ビッグデータを効果的に活用するためには、統計学、データサイエンス、機械学習、プログラミング、データベースなどの専門知識を持つ人材が欠かせません。ビジネス理解とデータ分析スキルを兼ね備え、適切にビッグデータを扱える人材の確保が成功の鍵となります。人材不足への課題に対しては、社内での人材育成、外部研修の導入、専門機関との連携などの取り組みが必要です。

まとめ

ビッグデータは、従来の分析手法では得られない深い洞察と予測能力を提供する重要な経営資源です。ビッグデータを活用することで、企業は迅速かつ最適な意思決定を行えるでしょう。

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アイ・ラーニングコラム編集部

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