OKRとは?KPIとの違いや注目されている理由、効果的に実施する方法を解説

2025.06.19ビジネス
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OKR

組織全体の方向性を統一させる目標管理手法としてOKRは注目されています。世界的企業に採用されており、近年は日本企業においても導入が進んでいます。しかし、OKRの概要や運用方法について詳しくは分からないという担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、OKRの基礎知識からKPIとの違い、導入メリット、効果的に実施する方法について詳しく解説します。

OKRとは

OKRとは、「Objectives and Key Results(目標と主な結果)」の略称です。達成目標(Objectives)と、達成度を測る指標(Key Results)を設定することにより、組織全体の方向性を統一する管理手法を指します。OKRでは、四半期ごとのように短期間で、達成率が60~70%の野心的な目標を設定するのが特徴です。組織全体の目標を共有することで、全員が達成に向けて協力し合い、大きな成果へとつなげることを目的としています。インテル社やGoogle社をはじめ、多くのグローバル企業が採用していることから世界中に広まりました。

KPIとの違い

KPIとは、「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略称で、企業や組織が目標達成に向けて各プロセスの進捗状況を定量的に評価する指標のことです。OKRは組織全体の目標達成に向けた包括的なフレームワークであるのに対し、KPIはプロジェクトごとの目標達成に向けた進捗を測るための指標という違いがあります。また、OKRでは60~70%の達成度を目指しますが、KPIでは100%の達成を目指す点も異なります。

MBOとの違い

MBOとは、「Management By Objectives(目標管理)」の略称で、個人の目標を明確に設定し、その達成度を通じて人事評価や人材育成を図るマネジメント手法です。MBOもOKRと似た目標管理手法ですが、MBOが個人の業績評価を目的としているのに対し、OKRは組織全体の方向性の統一を重視しているという違いがあります。また、OKRは従業員の評価に直接反映されないという点がMBOと大きく異なります。

OKRが注目されている理由

近年、日本企業においてもOKRの導入が進んでいる背景には、ビジネス環境や働き方の大きな変化があります。現代では、予測困難な中でも変化に素早く対応できる企業が競争優位性を高めると考えられています。また、多様な価値観を持つ従業員や個々の働き方を尊重する企業が増えていることから、トップダウンの一方的な目標設定ではなく、従業員が納得感を持てる目標評価制度を導入することが重要です。このような状況から、組織と従業員が同じ方向性でモチベーションを保ちながら成長するために有効な目標管理手法として、OKRが注目を集めるようになりました。
DXの推進においても、部署や部門を超えた連携が必要となる中で、OKRの仕組みと組織全体へもたらす効果が非常に期待されています。

OKRを導入するメリット

OKRを導入するメリット

OKRを導入することで、組織にはさまざまなメリットがもたらされます。主な効果について見ていきましょう。

目標が明確になる

OKRを導入する大きなメリットは、組織や個人の目標が明確になることです。組織と個人の目標を紐づけて設定することで、「何を目指しているのか」「業務の中でその達成に向けて何を優先すべきか」などの判断がしやすくなり、目標達成への意識や達成のための社員同士の連帯感も生まれるようになります。

コミュニケーションが円滑になる

OKRは組織全体に共有されるため、目標達成に向かって社内のコミュニケーションが活性化します。異なる部署・部門であっても、同じ目標を持つことで仲間意識が芽生え、部門間の壁を越え、情報共有や連携が円滑になります。日々の業務の中でコミュニケーションが活性化すれば、組織の一体感もより高まることが期待できます。

エンゲージメントやモチベーションが向上する

OKRを導入することで、組織の目標達成に向けて、従業員一人ひとりの役割や取り組むべき業務が明確になります。これにより、自身の成果が企業・組織への貢献につながっていることを実感しやすく、新たな挑戦へのやりがいや意欲も高まるでしょう。結果として、従業員のエンゲージメントやモチベーションの向上につながることが期待できます。

OKRの導入・運用方法

OKRを効果的に導入・運用するためには、以下のステップを踏むことが重要です。

企業のOKRを設定する

まずは、企業のOKRを設定します。ここでのOKRは企業全体の方向性を示すものであり、部署や個人のOKRの基盤にもなるため、具体的かつ適切な目標を掲げることが重要です。経営理念やビジョン、市場動向に基づき、今期に何を達成したいのかを明確にしましょう。

部署ごとのOKRを設定する

企業OKRが決まったら、部署やチームごとのOKRを設定します。部署OKRは、企業OKRと連動しつつも、部署の専門性を活かした内容であることが望ましいです。企業OKRを達成するために各部署がどのように貢献できるかを検討し、部署の特性や役割に応じた目標を設定するようにしましょう。

個人のOKRを設定する

部署OKRが決まったら、従業員個人のOKRを設定します。個人OKRは、企業・部署の目標達成に向けて各自がどのように貢献できるか、どの業務を優先すべきかを明確にするものです。個人OKRを設定する際は、チームリーダーや上司と話し合い、従業員自身も積極的に関与することが理想的です。

定期的に進捗確認する

OKRを設定したら、定期的に進捗確認を行うことも重要です。週次や月次のミーティングなどのタイミングで、目標に対しての進捗状況を共有・確認しましょう。数値の報告だけでなく、スムーズに進んでいる部分や課題となっている部分まで詳細な情報を共有し、必要に応じてOKRの見直しや改善案なども検討します。

期間終了後に振り返りを行う

OKRの設定期間が終了したら、振り返りを行います。設定した目標に対しての達成度、成功要因、課題などを分析し、来期の目標設定時に活かすことが大切です。このように効果測定をした上で目標を設定するという一連のサイクルを繰り返すことで、OKRの効果を最大化できます。

効果的にOKRを実施する方法

効果的にOKRを実施する方法

OKRを導入するだけでは、期待する効果は得られません。効果的に実施するためのポイントを解説します。

適切な目標を設定する

OKRの効果を最大化するためには、具体的かつ適切な目標設定が不可欠です。ここで言う適切な目標とは、「実現可能な範囲で高い目標」を指します。容易な目標では組織の成長にはつながらず、逆に達成不可能な目標だとモチベーションの低下を招きます。一般的にOKRでは、達成確率が60〜70%の目標が適切とされているため、適度な努力をすれば達成できるほどの高い目標を設定しましょう。

昇進・昇格への直接的な連動は避ける

OKRは、昇進・昇格といった人事評価とは切り離されているのが特徴です。人事評価と直結させると、確実に達成できるような低い目標を設定してしまう傾向があります。従業員の挑戦を促す環境を整えることが結果として組織の活性化につながるため、昇進・昇格への直接的な連動は避けましょう。

経営層や管理職も主体的に取り組む

OKRの成功には、現場だけでなく、経営層や管理職を含めて組織全体で取り組むことが不可欠です。経営層が目標の設定や進捗共有を行ったり、管理職は目標に向けた指導・教育を行ったりする役割を果たしましょう。組織全体で取り組むことにより、組織の一体感が生まれて目標達成に向けた連携がスムーズとなります。

まとめ

OKRは、変化が激しく多様な働き方や価値観が広がるビジネス環境において、組織と個人の方向性を統一して持続的な成長につなげるのに有効なフレームワークです。企業としては、OKRに関する理解を深めつつ自社に合った形を見つけて、継続的に運用していくことが重要となります。

アイ・ラーニングでは、組織全体でOKRへの理解を深めたいと考えている方に向けて、ビジネススキルの包括的な習得に役立つさまざまな研修をご用意しています。OKRを導入して組織と従業員の成長へつなげたいという場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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アイ・ラーニングコラム編集部

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