2026.08.13

新卒採用には多くの時間やコストがかかる一方で、入社後すぐに退職してしまうケースは少なくありません。厚生労働省の調査では、2022年の大学卒業者で3年以内の離職率は3割を超えており、多くの企業が若手社員の定着に課題を抱えています。人事担当者や育成担当者は、新卒がすぐに辞める理由を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
この記事では、新卒がすぐ辞める主な理由や早期離職の兆候のほか、企業側が取り組むべき対策について詳しく解説します。
<この記事でわかること>
- 新卒の離職率と育成担当者が感じている課題
厚生労働省の調査によると2022年に卒業した就職者の3年以内の離職率は大学卒で33.8%です。また、アイ・ラーニングの調査では、育成担当者が感じている課題として早期離職が最も多くなっています。 - 新卒がすぐ辞める理由
新卒の早期離職の理由として、人間関係や仕事内容のミスマッチなどが上位に挙げられています。 - 新卒の早期離職を防ぐために企業ができること
早期離職を防ぐためには、「段階的な育成計画と指導者の育成」や「新入社員研修の充実」など、新卒が安心して業務理解ができる環境を企業側が整備することが大切です。
目次
入社3年以内の離職率は3割を超える
厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」によると、2022年に卒業した就職者の3年以内の離職率は中学卒が54.1%、高校卒が37.9%、短大等卒が44.5%、大学卒が33.8%となっています。
また、いずれの学歴でも、3年以内の離職者のうち最も多いのは入社1年目でした。
■新規学卒就職者の離職状況(2022年卒業者)

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」
このように、新卒社員の早期離職は多くの企業で共通する課題となっています。そのため、離職を防ぐには実態を把握した上で、入社前から入社後まで一貫した定着施策を講じることが大切です。
新入社員や若手の定着に課題を感じる育成担当者は8割超
デジタル人材育成の研修を行う「アイ・ラーニング」が、新入社員・若手社員の育成や受け入れに関わる担当者に調査※したところ「現在、新入社員・若手社員の定着に課題を感じていますか」という質問に、「強く感じている」が33.4%、「やや感じている」が47.8%となりました。
これらを合計した約8割の育成担当者が、新入社員や若手社員の定着を課題として認識していることがわかります。
■新入社員・若手社員の定着に課題を感じている育成担当者の割合

出典:アイ・ラーニング「【令和世代の新入社員育成・定着課題調査2026】企業が新人に求める力と、育成現場のギャップとは?」
さらに、同調査で新入社員・若手社員の定着に課題を「強く感じている」と回答した人に特に課題だと思うことを尋ねたところ、「早期離職」が最も多い結果となっています。
■育成担当者が考える新入社員・若手社員の育成における課題

出典:アイ・ラーニング「令和世代の新入社員育成・定着課題調査2026」ダウンロード資料
この結果から、人材育成や受け入れに携わる担当者の多くが、新入社員や若手社員の早期離職について課題と認識していることがわかります。
新人・若手の育て方について、詳しくはこちらをご確認ください
講師インタビュー:イマドキの新人・若手をどう育てるか ― 早期離職・メンタル不調を防ぎ、若手の能力を引き出す令和時代の育て方とは?
新卒社員がすぐ辞める理由
新卒社員が早期離職する背景には、さまざまな理由があります。厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査の概況」では、初めて勤務した会社を1年未満でやめた理由として、下記のように人間関係や仕事内容とのミスマッチ、労働条件などが上位に挙げられています。
■初めて勤務した会社を1年未満でやめた主な理由(複数回答3つまで)
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 人間関係がよくなかった | 43.3% |
| 仕事が自分に合わない | 35.4% |
| 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった | 35.2% |
| 賃金の条件がよくなかった | 16.2% |
| 健康上の理由 | 14.3% |
| ノルマや責任が重すぎた | 12.8% |
出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」より3ヵ月未満、3ヵ月~6ヵ月未満、6ヵ月~1年未満の数値を合算。上位6位を抜粋して掲載
人間関係がよくなかった
厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」によると、初めて勤務した会社を1年未満でやめた理由として最も多いのが、人間関係に関する悩みです。上司や先輩とのコミュニケーション不足や価値観の違い、相談しにくい職場環境などがストレスとなり、早期離職につながるケースは少なくありません。
人間関係の悪化は業務への意欲を低下させるだけでなく、メンタルヘルス不調を招く可能性もあります。そのため、日頃から相談しやすい雰囲気をつくり、1on1ミーティングや声かけなどを通じて心理的安全性を高めることが重要です。
心理的安全性について、詳しくはこちらをご確認ください
心理的安全性とは?組織に必要な理由と高める方法、ぬるま湯組織との違いをご紹介
労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった
労働時間の長さや休日の少なさ、休暇を取得しにくい職場環境も、新卒社員が早期離職する要因です。特に、入社前に聞いていた労働条件と実際の働き方にギャップがある場合、不満は大きくなります。
採用時には残業時間や休日出勤の有無などを正確に伝え、入社後も説明内容と実態に乖離がないか定期的に確認しましょう。企業への信頼を維持するためにも、透明性のある情報提供が欠かせません。
仕事が自分に合わない
仕事内容が本人の適性・希望と合わないことも、新卒社員の早期離職につながる代表的な理由です。「自分の強みを生かせない業務」「希望していた職種・配属先とは異なる仕事」などを任されると、仕事へのモチベーションが低下することもあるでしょう。
こうしたミスマッチを防ぐには、採用段階で仕事内容を具体的に伝えるとともに、本人の適性や希望を踏まえた配属を行うことが重要です。
賃金の条件がよくなかった
給与や賞与への不満から、早期離職を選ぶ新卒社員もいます。新卒社員のうちは仕事の成果が評価に反映されにくいため、モチベーションが上がらず、将来のキャリアや待遇に不安を感じる要因にもなるでしょう。
そのため、企業側は給与水準や評価基準、昇給の仕組みをわかりやすく説明し、待遇への納得感を高めることが大切です。また、業績や成果を適切に評価し、成長に応じて処遇へ反映する仕組みを整えると、長期的な定着につながります。
健康上の理由
新卒社員は新しい環境への適応や業務のプレッシャー、人間関係の悩みなどが重なり、心身の不調から退職に至るケースもあります。特に入社後、間もない時期はストレスを抱えやすく、メンタルヘルスへの配慮が重要です。
企業側は定期的な面談や相談窓口の設置などを通じて、新卒社員の不調の兆候を早期に把握し、必要に応じて業務量の調整・専門機関への相談につなげられる体制を整えましょう。
ノルマや責任が重すぎた
新卒社員に過度なノルマや責任を課すことも、早期離職の原因になります。十分な知識や経験がない段階で高い成果を求められると、大きなプレッシャーを感じてしまいます。
企業側は業務量や目標を習熟度に合わせて段階的に設定し、目標に関する背景も丁寧に伝えることが大切です。上司やOJT担当者が適切にフォローすれば、不安を軽減しながら成長を支援できます。
新卒が退職を検討しているときに現れやすいサイン
新卒社員が退職を決断する前には、勤務態度やコミュニケーションなどに変化が現れることがあります。下記のようなサインがあった場合、早期に適切なフォローを行えば、離職を防げる可能性があります。
<新卒が退職を検討しているときに現れやすいサイン>
- ・勤務態度の変化
- ・コミュニケーションの減少
- ・身だしなみの変化
勤務態度の変化
入社当初は積極的だった新卒社員が、急に報連相をしなくなったり、遅刻や欠勤が増えたりした場合は注意が必要です。仕事内容への不安や人間関係の悩み、労働条件への不満などが隠れていることがあります。
新卒社員の勤務態度の変化に気づいたら、上司は早めに1on1ミーティングなどを実施し、本人の状況を丁寧にヒアリングしましょう。原因を把握した上で適切な支援を行うことが、早期離職の防止につながります。
コミュニケーションの減少
新卒社員が以前より口数が減ったり、周囲との会話を避けたりするようになった場合も、早期離職のサインの可能性があります。悩みを一人で抱え込み、相談できずに孤立しているケースも少なくありません。
上司や同僚、人事担当者は日頃から新卒社員に積極的に声をかけ、気軽に相談できる関係性を築くことが大切です。心理的安全性の高い職場づくりは、離職リスクの低減にもつながります。
テレワークのコミュニケーション不足の解消について、詳しくはこちらをご確認ください
【テレワークの課題】コミュニケーション不足などの課題を解決するには
身だしなみの変化
新卒社員の身だしなみの変化も、見逃せない早期離職のサインです。急に服装や髪型、化粧など身なりに気を使わなくなった場合は、心身の不調を抱えている可能性があります。
一方で、カジュアルな服装だった新卒社員がスーツを着用する機会が増えるなど、急に服装が変化した場合は、すでに転職活動を始めているケースも考えられます。
見た目の変化だけで判断することはできませんが、普段との違いに気づいた際は面談の機会を設け、仕事や職場環境について率直に話せる場をつくることが重要です。
企業ができる新卒の定着に向けた対策・改善ポイント
新卒社員の早期離職を防ぐには、企業側の受け入れ体制や育成環境を整えることが重要です。
アイ・ラーニングが実施した調査※では、新入社員や若手社員の定着に課題を感じている育成担当者は、「仕事内容と本人の期待のミスマッチ」「上司・先輩・同僚との人間関係」「職場の文化や価値観が合わない」といったことを主な要因として挙げています。
■育成担当者が考える早期離職や定着の課題につながる要因

出典:アイ・ラーニング「【令和世代の新入社員育成・定着課題調査2026】企業が新人に求める力と、育成現場のギャップとは?」
こうした結果からも、早期離職を防ぐには、採用から育成、現場でのフォローまで一貫した取り組みが欠かせないことがわかります。
ここからは、企業が新卒社員に向けて実践したい対策や改善ポイントを紹介します。
<企業ができる新卒の定着に向けた対策・改善ポイント>
- ・リアルな職場状況の発信
- ・選考段階での見極め
- ・段階的な育成計画と指導者の育成
- ・新入社員研修の充実
- ・フォロー体制の強化
リアルな職場状況の発信
新卒社員の早期離職を防ぐためには、企業側が採用段階で実際の仕事内容や働き方を正確に伝えることが重要です。新卒採用の説明会や面接の際に業務内容や労働条件、キャリアパスを丁寧に説明すれば、入社後の「思っていた仕事と違う」といったリアリティギャップを軽減できます。
また、内定者フォローやオンボーディングでも配属先の業務や組織文化を丁寧に説明し、入社前後の期待値をすり合わせましょう。
オンボーディングについて、詳しくはこちらをご確認ください
オンボーディングとは?オンボーディングの意味や目的、メリットについて解説
選考段階での見極め
企業は新卒採用の選考時に、応募者が希望する仕事内容や働き方、キャリアプランを確認することも大切です。双方の認識に大きなギャップがあるまま採用すると、入社後のミスマッチにつながる可能性があります。
また、採用人数を優先するあまり採用基準を緩めるのではなく、自社の文化や価値観との適合性も踏まえて採用することが、新卒社員の定着につながります。
段階的な育成計画と指導者の育成
新卒社員の早期離職を防ぐには、段階的に業務範囲や目標を広げられる育成計画を設計することが大切です。
アイ・ラーニングの調査※では、新入社員や若手社員に身につけてほしいスキルが十分に明確化されていないと回答した育成担当者は半数近くに上っており、育成方針を整理することの重要性がうかがえます。
■新入社員や若手社員に入社後、身につけてほしいスキルが明確化されている割合

出典:アイ・ラーニング「令和世代の新入社員育成・定着課題調査2026」ダウンロード資料
企業側は入社後に身につけてほしいスキルを明確にした上で、「入社1ヵ月で基礎業務を習得する」「1年後には担当業務を一人で進められるようにする」など、月単位と年単位で具体的な育成計画を設けるといいでしょう。
■新入社員研修の一般的な年間スケジュール

また、新卒社員の成長を支えるには、教育担当者や管理職の育成も欠かせません。指導力が不足していると、新卒社員の不安やストレスにつながる可能性があるためです。
マネジメントやフィードバックに関する研修を行うなど、組織全体で新卒社員の教育体制を整え、安心して働ける環境をつくることが大切です。
マネジメントの聴く力について、詳しくはこちらをご確認ください
OJTについて、詳しくはこちらをご確認ください
アイ・ラーニングのOJT指導者のための研修について、詳しくはこちらをご確認ください
新入社員研修の充実
新入社員研修を充実させることも、早期離職を防ぐために企業が取り組みたい施策の1つです。ビジネスマナーや報連相といった社会人基礎力に加え、業務に必要な知識やスキルを体系的に学べる教育プログラムを整えれば、新入社員が安心して業務に取り組める環境を構築できます。
なお、エンジニア職や営業職、マーケティング職などの専門職は、職種ごとに求められる知識やスキルが異なるため、職種に応じた専門的な研修を用意することも重要です。社内で十分な教育体制を整えることが難しい場合は、外部研修の活用も検討するといいでしょう。
新入社員研修の内容について、詳しくはこちらをご確認ください
社会人基礎力について、詳しくはこちらをご確認ください
アイ・ラーニングの新人研修について、詳しくはこちらをご確認ください
フォロー体制の強化
新卒社員の早期離職を防ぐには、悩みや不安を気軽に相談できるフォロー体制を整えることも重要です。入社直後からメンターを配置したり、定期的な1on1ミーティングを実施したりすると、新卒社員が一人で悩みを抱え込むことを防げます。
必要に応じてフォローアップ研修を追加するのもおすすめです。
また、上司とは別に、人事担当者が入社1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年といった節目に定期面談やアンケートを実施すると、離職リスクの高い社員を早期に把握できます。
新卒社員の定着率や離職率を継続的に確認し、実施した施策の効果を検証・改善していくことが重要です。
メンターについて、詳しくはこちらをご確認ください
メンターとは?メンティーとの違いやビジネスにおいてのメンターの役割について解説
離職防止について、詳しくはこちらをご確認ください
アイ・ラーニングのフォローアップ研修について、詳しくはこちらをご確認ください
新入社員研修の充実を図るなら外部研修もおすすめ
新卒の早期離職を防ぐには、入社後のフォローに加え、新入社員が安心して業務をスタートできる教育体制を整えることが重要です。しかし、自社だけで研修を実施すると、担当者によって指導内容や教育の質にばらつきが生じたり、専門知識を教えられる人材が不足したりすることがあります。
外部研修を活用すれば、ビジネスマナーやコミュニケーションといった社会人基礎力に加え、ITスキルなどの専門知識も体系的に学べるため、新入社員の基礎力を効率良く育成できます。
特にエンジニア職のように専門性や最新技術の理解が求められる職種では、トレンドを踏まえた実践的な研修を受けられるのもメリットです。
また、合同研修に参加できるサービスであれば、他社の新入社員との交流を通じて視野を広げられるほか、刺激を受けながら学習意欲を高められる効果も期待できます。
エンジニア職の新入社員研修ならアイ・ラーニング
新卒社員の早期離職を防ぐには、安心して成長できる教育環境を整えることが欠かせません。特にエンジニア職では、社会人としての基礎力に加え、ITスキルを体系的に習得できる研修が重要です。
デジタル人材育成の研修を行う「アイ・ラーニング」では、ビジネスマナーからITスキルまで幅広い新入社員研修を提供しています。
また、新入社員に必要な基礎力、主体性、協働力、行動力の育成を重視している点も特徴です。アクティブラーニングやグループ演習など実践型の学習を通じて、みずから考え行動できる人材の育成を支援しています。
■基礎力、主体性、協働力、行動力の関係

さらに、1名から参加できる合同研修も用意しており、他社の新入社員と切磋琢磨しながら主体性や協働力を養うことができます。社外同期との交流は視野の拡大やモチベーション向上につながるほか、入社後の不安軽減や早期離職防止にも役立つでしょう。
新入社員研修は、座学だけでは育たない基礎力、主体性、協働力、行動力の育成を重視するアイ・ラーニングをぜひご検討ください。
アイ・ラーニングの新入社員研修について、詳しくはこちらをご確認ください。
※アイ・ラーニング「【令和世代の新入社員育成・定着課題調査2026】企業が新人に求める力と、育成現場のギャップとは?」のアンケート調査概要
調査対象:企業に勤務する10~70代の男女500名
調査対象エリア:全国
調査期間:2026年4月14日~4月17日
調査方法:インターネットアンケート
調査条件:勤務先の従業員規模が50名以上、かつ新入社員・若手社員の育成・受け入れに「一部関わっている」または「主担当として関わっている」人を対象に実施
よくある質問
新卒社員が早期離職しやすい主な原因は何ですか?
厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査の概況」では、初めて勤務した会社を1年未満でやめた理由として、「人間関係がよくなかった」が43.3%、「仕事が自分に合わない」が35.4%、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が35.2%となっています。企業側はフォロー体制の強化や選考段階での見極め、リアルな職場状況の発信などを行う必要があります。
新卒社員の定着率を高める研修にはどのようなものがありますか?
新卒社員の定着率を高めるための研修として、ビジネスマナーや一般的なITスキル知識のほか、職種に応じた専門的な研修を用意することも重要です。特にエンジニア職などの専門職は、社内で十分な教育体制を整えることが難しい場合が多いため、外部研修の活用も検討するといいでしょう。
新卒が一番辞めやすい時期はいつですか?
新卒が一番辞めやすいのは、入社1年目です。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」によると、2022年に大学を卒業した就職者のうち最も離職が多いのが入社1年目となっています。新しい環境への適応や仕事内容とのミスマッチ、人間関係などに悩みを抱えやすい時期であるため、企業では入社初期のフォロー体制を整えることが重要といえるでしょう。

