
IT人材育成の基本的な考え方
IT人材の育成は、単なる「技術スキルの習得」にとどまらず、業務理解・マネジメント力・対人スキル・変化対応力など、幅広い能力の総合的な成長を支援する取り組みです。技術革新が急速に進む現代においては、「今のスキル」ではなく、「将来に対応できる力」の育成が求められます。
IPA(情報処理推進機構)の「各種スキル標準」などを参考に、役割ごとのキャリアパスと必要なスキルを明確化し、段階的に育成していくことが効果的です。
ITスキル標準に対応した研修について
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速や生成AI・クラウド技術の進展により、企業がITを活用して変革を起こすことが、経営戦略の中核として強く求められる時代となりました。こうした中、情報システム部門やITベンダーに求められる人材像も大きく変化しており、従来の「開発中心のSE」から、ビジネスと技術の橋渡しができる高度専門職へと進化が求められています。
このような社会的背景を踏まえ、経済産業省およびIPA(情報処理推進機構)は、既に策定されていた「ITスキル標準(ITSS)」を補完・拡張する枠組みとして「ITスキル標準プラス(ITSS+)」を公表しました。これらは現在、企業の人材開発や教育プログラムの指針として広く活用されています。
アイ・ラーニングでは、こうした変化を捉え、新たなIT人材像に対応するスキルと能力を可視化し、組織の価値を高める人材育成プログラムをご提案しています。専門性の深化だけでなく、変化への適応力・ビジネス理解力を兼ね備えた“真のITプロフェッショナル”の育成を、体系的かつ実践的に支援します。

IT人材育成のポイントとアプローチ方法
1. 職種・役割ごとのスキル要件の明確化
IT人材の役割分担を明確にすることで、適切なスキル育成計画やプロジェクト体制の設計、リソース配分の最適化などに役立てることができます。
- ITアーキテクト、プロジェクトマネージャー、ITスペシャリストなど、それぞれの職種に必要なスキルを定義
- ITSSのスキルマップやキャリアパス図を活用し、育成目標を可視化

上図は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)による『ITスキル標準(ITSS)』の一部を抜粋したもので、IT投資のプロセス全体をフェーズごとに整理し、各職種がどの段階でどのように関与するかを体系的に示しています。
2. 段階的で実践的なキャリアパスの設計
IT人材の成長段階と多様なキャリアパスの存在を示すことで、社員個人の将来設計や企業の人材育成方針に役立てることが可能です。
- ITエンジニアからインフラ系スペシャリストやアプリケーションスペシャリストへのキャリアアップ
- そこからさらに、ITアーキテクトやプロジェクトマネジメント、ITサービスマネジメントといった上位職種へのステップアップ
- 複数の職種間での横断的なキャリアチェンジ

IT人材育成におけるV字モデル活用
V字モデルを人材育成に活用することで、職種ごとに必要なスキルや知識がどの工程に対応しているかを理解しやすくなり、体系的な育成計画の策定が可能となります。

主要な5モデルにおける、アイ・ラーニングの育成ロードマップ
主要な5つのモデルについてアイ・ラーニングにて育成ロードマップを定義しましたのでご活用ください。それぞれのスキル要件、業務・責任の役割、対象コースがご確認いただけます。
アイ・ラーニングの育成ロードマップ構成要素
| スキルレベル | 判定の目安 | |
|---|---|---|
| プロフェッショナル | Level 6 | 社内でトップレベルで、また指導的立場にある。「価値創造への貢献」の結果責任を持つ。 担当する技術/業務領域のスキルの専門分野が確立し、社内においてテクノロジやメソドロジ、ビジネスを創造し、リードするレベル。社内において、認定プロフェッショナルとして自他共に経験と実績を有しており、企業内のハイエンドプレーヤとして認められる。 |
| アドバンスト リーダー |
Level 5 | 要求作業についてサブリーダーを指導できる。「要求作業の達成」の結果責任を持つ。 担当する技術/業務領域のスペシャリストとしてスキルの専門分野が確立し、自らのスキルを活用することによって、独力で業務上の課題の発見と解決をリードするレベル。社内において、認定スペシャリストとして求められる経験の知識化とその応用(後進育成)に貢献しており、ハイレベルのプレーヤとして認められる。スキル開発においても自らのスキルの研鑽を継続することが求められる。 |
| ベーシック サブリーダー |
Level 4 | 要求作業を独自で遂行できる 。要求作業についてメンバーを指導できる。 要求作業を全て独力で遂行する。スキルの専門分野確立を目指し、担当スコープについての必要な応用的知識·技能を有する。スキル開発においても自らのスキルの研鑽を継続することが求められる。 |
| エントリー メンバー |
Level 3 | 要求作業をサブリーダーの指導があれば遂行できる。 上位者の指導の下に、要求された作業を担当するために必要な基本的知識·技能を有する。スキル開発においては、自らのキャリアパス実現に向けて積極的なスキルの研鑽が求められる。 |
| Level 2 | 要求作業の知識を持っている。 要求された作業を担当するために最低限必要な基礎知識を有する。スキル開発においては、自らのキャリアパス実現に向けて積極的なスキルの研鑽が求められる。 |
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| Level 1 | 要求作業の知識も経験もない。 | |
| 適用外 | 業務自体がないか、自分の業務には該当しない。 | |



