階層別研修事例:アイアンドエルソフトウェア株式会社

2025.06.02育成事例
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全技術職向け研修で開発手法の属人化を解消 ビジネス基礎から最新技法まで幅広く活用

階層別研修事例:アイアンドエルソフトウェア株式会社

鈴木 修(右)、髙橋 直弘(左)
人材育成部 エデュケーションスペシャリスト
お二人とも、技術職を経て人材育成部へ。新人研修、階層別研修の運営・管理を通して、アイアンドエルソフトウェア全社員の育成に携わる。

――はじめに、アイアンドエルソフトウェア社の事業内容や会社の概要について教えてください。

鈴木氏:弊社はソフトウェアの受託開発を事業とし、お客様のご要望に応じたシステム開発やITサービスを提供しています。ITの力を活用してお客様の競争力向上への貢献に加えて、お客様の“イコールパートナー”として信頼される会社を目指しています。

1989年10月に創業し、当初は資本金200万円、社員数4名、お客様先のデスクを間借りしてのスタートでした。売上・社員数を拡大する中で、社員のスキルアップやマネジメント力向上に注力した結果、お客様からの信頼を得てエンドユーザー様との直接取引の案件をいただけるようになりました。33期目には現オフィスに移転・増床して体制を拡充したという形です。

――髙橋様、鈴木様のお二方が所属する人材育成部では、どのような業務を行っているのでしょうか。

髙橋氏:私たち人材育成部のミッションは「ITプロフェッショナル」の育成です。弊社が掲げる「お客様の最上級の満足」を実現するためには社員一人ひとりの高い能力が必要であり、人材育成は弊社の価値提供の根幹を担う役割と考えています。

具体的な担当業務としては、新人・若手社員向けの社内研修、全社員を対象とする階層別研修の申し込み対応や人材育成制度の運用など、人材育成の管理・運用全般です。

鈴木氏:会社説明会での応募者向けの説明から始まり、入社後に3ヵ月間の新入社員研修、その後も1年後、2年後、3年後のタイミングで社内研修を実施します。新人・若手社員以外には外部研修の申し込みや受講後の効果測定を行うほか、社内研修の企画や外部研修の選定、人材育成に関わる各種制度などを検討する役割も担っています。

――お二方はずっと人事畑でいらしたのですか?

鈴木氏:髙橋も私も技術職出身で、元々は開発部に所属していました。途中から人材育成部に異動しましたが、育成対象である162名のうち150名ほどが弊社事業を支える技術系社員ですので、自身の経験を活かせていると感じています。

アイ・ラーニングを選んだ経緯と背景

――アイ・ラーニングとのお付き合いが始まったきっかけや時期、アイ・ラーニングを選ばれた理由について教えてください。

アイ・ラーニングを選んだ経緯と背景

鈴木氏:アイ・ラーニングとのお付き合いが始まったのは、2004年の「テスト技法研修」からです。現在は「適用業務プログラムのテスト」という研修名に変わっていますが、その前身のコース内容を講師派遣型で依頼したのが最初でした。

当時はテストの方法などで属人的な傾向が強いという課題があり、基本的なやり方やスキルを統一する必要があると考えていました。そこでまずは、部長から新入社員まで技術系社員全員が「テスト技法研修」を受講しました。その後この研修は階層別研修に組みこまれ、現在は入社1・2年目に受講する研修として定着しています。

ほかにもテスト技法の研修を行っている会社はありましたが、その中からアイ・ラーニングを選んだ理由としては、当時はIBMの関連会社だったこともあり、弊社が求める内容の研修を安定的・継続的に提供していただけそうだと考えたからですね。また、IBMの実績を通して創り上げたメソッドの合理性やクオリティ、蓄積されたナレッジを吸収できるという期待もありました。

研修の実施内容

――アイ・ラーニングの研修をどのように活用し、その効果を測定していますか?

研修の実施内容

髙橋氏:階層別研修として、アイ・ラーニングのビジネススキル研修、メソドロジー研修、プロジェクトマネジメント研修など、およそ15種類のオープンコースを継続的に利用しています。ビジネスパーソンとしての基礎的なスキル習得を目的とするビジネススキル研修は全社員共通ですが、メソドロジー研修、プロジェクトマネジメント研修は技術系社員を対象としています。

階層別研修のプログラムは新人若手社員層、サブリーダー層、リーダー層といった階層に紐づけられており、それぞれに求められるスキルや能力にマッチするコースを割り当てています。弊社では規定の研修を修了しないと昇級できない仕組みになっていて、期首にたてる個人目標で、各自がその年に受講する研修を計画します。この受講予定をもとに、人材育成部が研修日程などの情報提供やリマインドを行います。

受講者数としては年間で延べ60名、一人当たりの受講回数としては平均2回程度ですが、多い人で年4、5回受講しています。理想としては毎年1.5回程度で継続してもらうのが望ましいのですが、業務状況などもありますので本人の裁量に任せています。また、スキルアップのために必要と判断されれば、プログラムに含まれていない研修を受講することも可能です。

数値的な効果測定は行っていませんが、受講後のレポートで研修の効果や感想を収集し、研修の評価には受講者の実感を重視しています。ネガティブな評価が多い場合は、階層別研修のプログラムを見直す際の検討対象です。

――全社員の育成目標と研修をすべてお二人で管理・運用されているのですね。特に苦労されていることやお悩みがあれば聞かせてください。

鈴木氏:やはり、スケジュール調整ですね。業務の合間を縫って受講するため、開催頻度が低い研修はスケジュールを調整するのに苦労します。研修の修了が昇級の条件になっていますので、受講できなければ社員にとっては機会損失になります。できるだけ社員が希望するタイミングで受講できるよう早めに調整しており、特に毎年10月頃は社員へのリマインドなどの対応でかなり忙しいですね。

髙橋氏:会社の成長に合わせて研修内容も変わるので、その対応に追われることもありますね。例えば、階層別研修のプログラムは3年に一度見直し、受講者のレポートを参考に研修の入れ替えを行うこともあります。研修が増えすぎると社員の負担が増してしまうので、負担が大きくならないように注意しながらも、ビジネスや技術のトレンドをふまえて必要な分野は積極的に取り入れています。

ただ、研修の選定にあたっては、研修内容の質と鮮度のバランスが課題です。時流に合わせたアップデートは必要ですが、トレンドを追いすぎた内容も安定した育成という観点では利用しづらくなりますので。

研修の実施内容②

研修の効果・感想

――実際に受講した方からはどのような感想が寄せられていますか?また、研修の効果を実感したことはありますか。

鈴木氏:受講した社員からは「新たな知識が得られた」「なんとなくわかったつもりでいた部分の解像度が上がった」という感想が多いですね。ワークが多いことで、より理解度が深まると感じているようです。

また、オープンコースで他社の方とのコミュニケーションを取れる点が魅力だという声もよく聞きます。外部との交流で、自分の知らなかった領域や発想、見解に触れることが学びになる点もオープンコースの魅力ですね。

――研修の効果を実務レベルで実感したことはありますか。

髙橋氏:社員の様子を見ていると、研修で学んだことは実務でも活かせていると感じます。特に、ワークを通じて体験的に学んだことは「明日から使ってみよう」というように、実践に結びつきやすいですね。

ワークではチャレンジやコミュニケーションがあるために記憶に残りやすいうえ、失敗からは「ここがダメだったのか、次は気をつけよう」という教訓を得られます。実際の業務にどう活かせるか、自分はどう振る舞うべきかを考えるきっかけになり、意識的な行動につながっているように思います。

座学のみではただ「知っているだけ」の状態のままですが、ワークを通して「できること」へと昇華させられる点がアイ・ラーニングの研修の良さです。研修で身につけた知識がすぐに業務に役立てば、受講して良かったと感じるでしょうし、「忙しくても今後も研修を受講したい」という学びのモチベーションにつながります。

今後の展望

――今後の人材育成への展望について教えてください。

鈴木氏:弊社が「イコールパートナー」として、お客様と同じ目線、同じ言葉を使って、ビジネス課題に向き合う中で、お客様のビジネスを取り巻く環境変化は加速し、さまざまなITサービスが登場しています。弊社もスピード感を持って、新しい技術やサービスを自分たちのものにしていくことが必要であり、それが他社との差別化につながっていくと考えています。そのためにはエンドユーザーのビジネスの知識に加え、(超)上流工程、アジャイル開発、DevOps、ローコード開発など、ITのトレンドを積極的に取り入れながら、先端技術にも対応し得るスキルの習得に注力していきたいと考えています。

私が人材育成に関わり始めた頃と比較すると、人材育成制度の取り組み完了率は30%から50%にアップしました。今後もこの流れを強化し、人材育成の仕組みを活用して自ら成長しようという文化を根付かせたいですね。

また、弊社の中途採用者の約8割は、キャリアチェンジで初めてITに挑戦する方々ですが、未経験者も技術職経験者も同じ研修プログラムで基礎からしっかりと学んでもらいます。未経験からスタートした方も数多く活躍しています。今後も35年かけて蓄積してきたノウハウを活かして、しっかり育成していきたいと考えています。

今後の展望

「なんとなくやれている」を「確かな実践力」に

――最後に、同じように人材育成に取り組まれている企業に向けて、メッセージをお願いします。

鈴木氏:研修には「なんとなくやれている」を「確かな実践力」に変える効果があると考えています。業務の属人性が高いといった課題の解決にも役立つでしょう。アイ・ラーニングにはさまざまラインナップがありますので、スキルレベルや立場に応じた研修を選ぶことで、階層別の人材育成にも効果があると思います。

髙橋氏:もう一点、新しい開発手法を取り入れる際にも有効だと思います。弊社では「今後を見据えてアジャイル開発を習得させたい」という方針にもとづいて「スクラム超入門~グループワークで学ぶアジャイル的仕事の流儀」の研修を取り入れました。新しい領域への挑戦を考える際に良いと思います。変化の激しい時代において社員の学びや成長を大切にしたい企業、「学びを現場で活かしてほしい」という企業にはマッチするのではないでしょうか。

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アイ・ラーニングコラム編集部

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