

MS&ADシステムズ株式会社様
https://www.ms-ad-systems.com/ja/index.html
古畑 浩司(右)
人財開発部 能力開発グループ デザイナー
社員のスキル診断と育成体系の構築・運用を担当。各本部責任者・部長との対話を通じて育成方針を策定し、全社的なスキル標準化を推進する。
河合 瑞穂(左)
人財開発部 能力開発グループ エンジニア
約100名規模の新入社員研修の事務局、OJT運営全般の設計・運営など、主に若手人財育成を担当するほか、生成AI・DX推進関連の新技術への施策も守備範囲に持つ。
――はじめに、貴社の事業内容について教えてください。
古畑氏:当社はMS&ADインシュアランスグループのIT戦略の中核を担う会社です。システムの企画、開発、運用、保守を一気通貫で担い、最適なIT基盤構築とサービスを提供することで、保険業グループ全体の持続的な発展・成長を下支えしています。
――お二方それぞれの業務上のミッションを教えてください。
古畑氏:これまでのミッションは、事業推進に必要な人財育成の体系の構築でした。会社全体がどういう能力構成になっているか、社員個人の現状と会社の理想とのギャップをどう埋めるかを考えます。社員一人ひとりのスキルを項目化・標準化し、キャリアパスの明確化まで踏み込んで取り組みます。各本部の責任者とのすり合わせを重ねて育成方針を決め、本部特性や社員のキャリア志向を踏まえた育成体系を構築・運用しています。ひざ詰めで話し合っている時間も長く、泥臭く人と向き合いながら進めていく仕事です。
河合氏:能力開発グループにて、今年度は主に若手人財の育成を担当しています。4月から7月まで続く新入社員研修の事務局と、OJT運営全般設計・運営を担っています。新入社員研修は当社新入社員と出向社員、技術教育を希望する中途入社者を含めると100名規模になっていて、今は慌ただしくしています。社会人としてのふるまい方の指導から、メンタルや体調面のケアまで気を配るなど、母親のような言動になってしまうこともあります。また、その他のミッションとして生成AI・DX推進関連の新技術への施策も守備範囲に入っています。
古畑氏:河合さんはかなり忙しそうですが、ガヤガヤ楽しそうでうらやましい感じもしていて、見ていると、仲間に入りたくなる時もありますね(笑)。
アイ・ラーニングの人材育成プログラムを選んだ経緯
――人財開発部を対象に人材育成プログラムを実施した経緯を教えてください。
河合氏:この取組は当時の担当役員の発案から始まりました。私たちが人財育成に携わっていながら、人財開発部自体への育成が図られていない点に問題意識があったようです。「きちんと研修を行って人財開発部の能力を高めたい」という狙いがありました。

古畑氏:外部の知見を取り入れて、人財開発部を強化すべきだということですね。当社では職種ごとに8つの人財像が設定されており、人財開発部は「アドミニストレーター(管理部門)」として位置づけられています。今回、私たちが受けたプログラムは個人の保有スキルを可視化し、アウトプットの効率を高めることを目的としています。まずは人財開発部へ導入し、将来的には全社へ展開していこうという目論見もあります。関係構築やファシリテーションなどのヒューマンスキルは職種を問わずどういう社員であっても必要不可欠だからです。
――アイ・ラーニングをパートナーとして選んだ理由を教えてください。
古畑氏:当時の担当役員からも聞いておりますが、今回お願いするに至った背景には、新入社員研修などでご支援いただいていることから、当社が必要としているスキルに対して適切な研修を迅速に提案していただいたり、当社の課題感や人財育成への考え方を汲み取ってくださっておりました。単なる研修コンテンツの提供ではなく人財育成のパートナーとして、さまざまなお悩みを相談させていただく中で、今回のプログラムをご提案いただき、導入に至りました。
研修内容と効果-業務の棚卸しから実践まで
――今回の人材育成プログラムの具体的な内容を教えてください。
古畑氏:全4回のセッション形式で構成されており、セッションの最後には、締めくくりの実践として、上司との1on1までセッティングされていました。
最初に「セルフジョブ定義」といって、自身の担当業務の棚卸しから始まり、その後、グローバルで使用されているスキル標準化のフレームワークを用いて、自身の保有スキルを可視化していきます。棚卸しした担当業務をスキルとして捉え直し、フレームワークに当てはめた「スキル定義シート」を作成します。
河合氏:セッションは私たち2人のグループワーク形式で進めました。話し合いながら、各自ありとあらゆるスキルを洗い出し、重要度と習熟度を評価していきます。その際、お互いの自己評価に対してフィードバックし合うので、指摘を受けて評価を見直す場面も多々ありました。スキルごとに習熟度を1〜4段階で評価するため、自分にはどのスキルがどれくらいあるかが一覧で可視化できます。どのスキルが足りないのか、どれを強みにするのかを、作成したシートをもとに上司との1on1で話し合う流れになっていました。
古畑氏:そうですね。ワークを通じて、河合さんは自己評価を低くつける傾向があることもわかりました。その後、理想の人財像から逆算して今後さらに伸ばすべきスキルを特定していく「バックキャスト」という作業を行います。手順としては「任務・職責の4本柱」という形で、自分たちがどのような仕事をしているかを書き出し、各々の業務・職責に切り分けていきました。
――講義型の研修と比較して、難しかったことや発見はありましたか。

河合氏:振り返ってみると、業務内容が重なっていないなかで、2人で共通の「任務・職責の4本柱」を作るのは難航しました。4つの柱のうち、私の担当業務を1本、残り3本は古畑さんの担当業務で作成したため、私がその残り3本の業務を整理するのが大変でした。しかし結果として、自身の業務を深く掘り下げることになり、普段の業務で重視していることや仕事への取り組み方が浮き彫りになりました。この研修がなければ見えてこなかった部分なので、グループワークの意義は大きかったと感じています。
古畑氏:非常に綿密な作業を積み重ねていくプログラムで、自分の仕事をあらためて深く掘り下げる機会になりました。プログラムを通して、河合さんは細かいディテールまで突き詰めるのが好き・得意であるという発見もありました。私は、どちらかというと細かく見ていくのは不得手なので、河合さんのアプローチは非常に参考になりました。業務が異なるからこその難しさはありましたが、別業務だからこそお互いの仕事観・価値観が見えたのは、大きな収穫だと思っています。
――研修の効果を実感する場面はありましたか。
古畑氏:セッションの締めくくりに行った、上司との1on1で効果を実感しました。事前に講師の助言をもらいながら、スキル定義シートをもとにして1on1の進め方を組み立てたのですが、スキルの外部標準という客観的な視点が加わることで、1on1の質そのものが向上しました。何か一つの成果を目指すよりは、仕事の進め方を変えるような、長期的な効果を期待できる取り組みだと思います。
普段から月1回程度の頻度で1on1を行っていたので、より効果を体感しやすかったのかもしれません。普段からコミュニケーションが取れている会社だと、より親和性が高いのではないでしょうか。
もう一つ、私自身の気づきとして、自己理解を深める機会にもなりました。
私は上司からは「自信満々」に見えているようなのですが、むしろ日頃から、自分の不得手な領域に注目して自己分析しています。今回の研修で、不得手な領域と得意でない理由が明確になり、自分自身を見つめ直す貴重な時間になりました。
河合氏:私は仕事をする上での「軸」を見つけることができました。最初のセッションで「ジョブタイトル」という、自分のキャッチコピーみたいなものを作るプロセスがあったのですが、そこで「人に寄り添いたい」「伴走していける人間でありたい」という、仕事の根底にある自分の価値観に気づきました。今後どんな部署に異動しても変わらない、仕事をする上での大切な軸にしていきたいです。
研修で生まれた新視点とアイ・ラーニングへの期待
――今後、めざしていきたい人財育成の展望を聞かせてください。

古畑氏:今回のプログラムの効果を実感できたので、他部署にも広げていけたらと思っています。当社は「技術力認定制度」という評価軸を取り入れていて、個人的にこの制度と組み合わせてみたら面白そうだと思っています。たとえば、若手が「今後どの方向に進むべきか」を考えるときのキャリアの指標に活用できるのではと考えています。
河合氏:今回セッションを通じて、役職や業務が近い人同士でやるのがいいのかなと思いましたし、もし異なる業務のメンバーであれば、事前に整理してからグループワークに臨むなど、より効果的な実施方法のノウハウも得られました。そういった意味でも人財開発部で行った意味があると思います。
古畑氏:生成AIやクラウドなどの新技術を取り入れ、柔軟に適応し成果につなげられる人財育成も急務ですね。新技術への取り組みは経営課題であり、明確な方針が打ち出されていますので、それに基づいて学ぶ環境を整えたり、学習機会を提供したりしています。一方で、知識や技術だけではうまくいかないとも考えています。さまざまな課題を乗り越えて成果を出すためには、積極的に活用していこうとするマインドやヒューマンスキルが不可欠です。
河合氏:この先、生成AIに代表される新技術によって、技術者の仕事内容が変化していく可能性もあります。生成AI活用は重要なテーマですが、経験の浅い若手のうちに依存してしまうのは危険です。開発プロセスに生成AIを導入したら、開発者は生成AIのミスを発見し、正していく役割が求められます。そのためにも、基礎的な技術をしっかりと習得した上で、生成AIを正しく活用するスキルを身につけないといけないですね。
――今後のアイ・ラーニングへの期待・要望を聞かせてください。
古畑氏:他社がこの研修をどのように活用しているのか、成功事例だけでなく、うまくいかなかった事例も含めて共有していただけたら、より具体的な検討や展開につながるのではと期待しています。異業種など会社特性が違う事例も、当社にはない着眼点を得るヒントになるかもしれません。
河合氏:これまでと変わらず「こんなことをやりたい」と投げかけた際に、専門的な視点から提案を返していただけるパートナーとして、引き続き一緒に考えていけたらと思います。
人財育成に課題をお持ちの企業へのメッセージ
――最後に、人財育成・人財開発に取り組む企業のご担当者へメッセージをお願いします。
古畑氏:今回のプログラムは、社員一人ひとりの業務を洗い出して、客観的に捉え直すことで、スキルやキャリアの可能性を広げていくきっかけになりました。特にスキルの標準化を進めたい、自己啓発を促進したい、全社的な育成方針を浸透させたい、あるいは管理部門の役割を強化したいといった課題意識をお持ちの企業とは相性がいいプログラムだと思います。
河合氏:実際に体験してよかったと感じる点は、スキルを可視化できたというだけでなく、自分の根底にある「大事にしていること」を認識できたことが大きいと思います。若手社員が壁にぶつかったときにも、何を主軸にしたいかに立ち返ることで前に進むヒントになるのではと感じました。モチベーションの維持・向上という点でも効果が見込めますので、同じような課題感をお持ちの企業には、まずは小さなチームで試してみることをおすすめします。
インタビューを終えて
人財獲得が難しくなるなか、既存社員の育成・定着の重要性はますます高まっています。一方で、人財育成を担う人財開発部門への研修が後回しになっている企業も多いのではないでしょうか。今回のインタビューを通じて、育成担当者自身が得た気づきや学びによるポジティブな影響、加えて、スキルの可視化が人財育成にとどまらず、業務の質の向上やモチベーション維持への効果も期待できることがわかりました。
スキルの定義はゴールではなく、その後の具体的なスキル強化の研修へとつなげるための重要な第一歩です。今回の気づきは人財開発部にとどまらず全社的な育成につながっていくと感じており、今後の社内展開によって、同社の強みがさらに引き出されていくことが楽しみです。
アイ・ラーニングコラム編集部
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