カメラを覗いて見えるもの
2022/11/8 21:00過ぎ。
当社近くの霊岸橋の上で、女性がスマホを空に向けていました。 さっきまで同僚と一緒に、皆既月食の話をしていたのに、橋の上の光景を見るまで忘れていました。
「そうだ、今日は皆既月食だ!」
女性が見ている方向を見てみると、ビルの上に薄橙色の柔らかい光を放つ月がはっきりと見えました。スマホのカメラではこの美しさは記録しきれないだろうなと思いながら撮った写真がこちらです。
スマホのカメラでズームをして撮りましたが、月とは思えないほど小さいですね。まるで、空に浮かぶ“仁丹”です。なぜ今日この日、私はカメラを持ち歩いていなかったのかと、最近でいちばん後悔をしました。
スマホカメラを上手に使える人であれば、もっと上手に撮れたのかもしれません。
100%満足のいく写真は撮れないとはわかっていても、撮るときには少しばかりのこだわりを持って映しました。
写真の右側から柔らかい光線が、月の下に写っています。左側からも薄っすらと光が出ています。これらの光線のおかげで、真っ暗な夜空に浮かぶ月ではなく、少し宇宙に近づいた気持ちにならないでしょうか?
また、写真の右下にはビルの端っこを残しました。これによって、仕事終わりに月を見上げてホッとできたという感情も表現してみています。
さて次の写真は、同じ時に同じ場所から撮った写真です。これを撮った時は、スマホカメラを月に向けて、シャッターを切っただけです。何も考えずにシャッターを押しました。
どこでどの方向を向いて撮ったのか、わかる人にはバッチリわかる情報がたくさん写っています。ビルの光を撮りたかったのか、はたまた空を撮りたかったのか…何を撮りたかったのかがわかりづらいです。
前の写真の横に伸びる光には、宇宙的な雰囲気を醸し出す効果がありましたが、こちらの写真は、ビルの灯りだとわかるように写っているため、効果はほぼありません。
私は写真を撮るようになり、気付いたことがあります。撮影する際、何を写したいのか、どう映したいのかを決め、表現しなければいけないということです。
どのように表現をすればよいかに正解はありませんので、日々鍛錬です。
近くに寄ったり、離れたり、角度を変えたり、明るくしたり、暗くしたりとできることはなんでもやります。
実はこの鍛錬が、人財の育成ともつながっています。
ひとりの人を理解する時、“その人”のどこを見せたいのか、“その人”の強みはどこなのか、“その人”には、どんな効果があればより強みが輝くのかと考えます。
それぞれが必ず強みを持っています。“その人”に一歩二歩と近寄って、時には一歩二歩離れて見てみます。そうすることで、今まで気づかなかったものが見えてきます。
育成をする側もされる側も人間です。育成する側がこのような考えを持って接することで、きっと強い信頼関係を気付くことができるはずです。
紅葉が綺麗なよい季節になりました。
今日もまたカメラを持って、街に出かけたいと思います。