日常の小さなことから学びを始めてみる
皆様も時々ご経験されることと思いますが、日常の中で「ああ、そうか!気づかなかった。」と思うことがあります。
つい最近、そんな「小さなこと」で思わず「独り言」が出て、少しは学び始めようかなと思ったケースがあります。今回は介護に関しての話で、よくご存じの方も多くいらっしゃるかとは思いますが、私としては初めて気づいたことでした。
「確かに、片手では切り取りづらいな」
私の高齢の母が昨年体調を崩し、家事などで5分も立っていることができなくなりました。それでも理学療法士の適切な指導のもと、筋力も回復し、またもとのように長時間台所で立っていることもできるようになりました。その指導をしてくださった方々には感謝しています。また、高齢でも機能回復ができるものなのだという人間の身体に対する希望も持ちました。
しかし、油断は禁物でした。
母の体調がとても良い日々が続いていたある日のこと、洗濯中に自宅内で転んで腕を骨折してしまいました。
片腕だと食事にしろ着替えにしろ困るだろうなと、心配をしながら実家に行きましたが、開口一番『トイレットペーパーを、この長さに切って折りたたんで積み上げておいて欲しい。』と頼まれました。着替えでもなく、食事の件でもなく、トイレットペーパーだったのです。「不便さ」をどこで感じるかは、個人によって違うものですね。
「必要なのは○○だったのか」
母の骨折の話の続きです。屋内の手すりや掴まる場所の配置は過去に検討して設置していましたが、母は、転びそうになった時に『掴まる場所はあったのに、とっさに掴めなった』というのです。
『作業をするときには座ってからやればよかった』と母は反省し、移動式の椅子になる手押し車を家の中でどこにでも押して利用しています。「転びそうになった時のために」→「手すりやポールが必要」という理屈ではなく、年齢と個人の具合に合わせて考える必要はあるのですね。
「その人の身の安全を第一に」
最近のことですが、路上で倒れている男性の方と出くわしました。意識ははっきりしているのですが熱中症かもしれないので、すぐに119番通報をし、また、近くの自販機で水を買ってきました。
そこに、通りがかりの人が一人来てくれました。偶然ですが、その方は介護士をされている方でした。
その方は、動かしても大丈夫と判断すると、「もしも車が来ると危ないので、まずはその方の身の安全確保を第一に考えて、道端から少しだけ移動させましょう」と提案され、男性を移動させました。道全体が歩道のような道路でしたので、あまり車の心配はしていなかったのですが、車は通るときは通ります。これは思い付きませんでした。
また、「名前」、「どこから来たのか」といったことをその男性に聞いたうえで、到着した救急隊員には、「最初から意識があった」こと、「水を飲んだらさらに会話もできるようになった」こと、けれど「どこから来たかの回答は得られていない」など、救急隊員が質問したい事を的確に答えていました。(この確認で、救急隊員は、身元確認のため警察とすぐに連携すると言ってました。)
この介護士の判断とテキパキした行動に感心すると同時に、自分が一人で次回はできるかな?とやや心もとなく思った次第です。
おわりに
1). 1番目の例について
片手が使えない場合の対応策として、ネットでもかなり体系づけられた情報が得られるのを初めて知りました。いろいろな切り口で情報が見つけられることには感心します。
着替えから日常の生活までのいろいろな注意点から、さらに「身体の機能を落とさないため」にも『できない部分だけ』サポートをする(=やりすぎない)などの心得もあり、意識しておくのは、良いと思われます。
2). 2番目の例について
体力を落とさないための定期な運動も欠かさず、高齢者なのに筋力の向上も行ってきた母ですが、やはり少しずつ衰えるのは避けられません。私も高齢者の転倒に関して記事や医者からの助言は学ぶようにしようと思います。今は「フレイル」のキーワードで、それこそたくさんの情報が得られますね。「転倒防止策」と「転倒しない体づくり」の両方の対策があるようです。
3). 3番目の例について
介護士や救急隊員のとった処置は、きっと「体系的」な手順や知識や行動パターンがあるに違いなく、まずは学べるものだろうと思います。もちろん実践となるとまた別ですが、学べるところから学んでおいた方が良さそうです。
今回の例としては、よくご存じの方も多いと思いますが、熱中症が疑われる時の応急処置という切り口で見てみると、やはり「意識があるか」が最初のチェック項目に挙げられています。覚えておこうと思います。
それ自体は小さなきっかけですが、体験と結びつくと、とにかく少し始めてみようと思わされます。体験した小さな範囲から学び始め、さらにもっと「体系的に」と拡大して学んでいくのも、一つの学び方なのだろうなと思います。