インストラクターの独り言 : i-Learning アイ・ラーニング

i-Learning 株式会社アイ・ラーニング

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インストラクターの独り言

 2022年6月9日

売れる営業の暗黙知 ~形式知化できない営業スキル~

<営業研修の限界>

営業ライン時代から現在の営業研修に携わるまでの間に得た教訓は、売れる営業を育成することの難しさです。ある程度確率を上げることは可能かもしれませんが、こうやれば絶対に売れるという型がないからです。

その大きな理由は、人がモノやサービスを買うときの変数が多いことに尽きます。金額が張ればそこに保守的要素が加わり更に難易度が増します。商材の価値、営業の人柄やスキル、競合他社の状況、お客様が置かれている環境、意思決定者の嗜好・・・数え上げればキリがないほどです。

そういった中で、営業研修では、何を強化して勝率を上げようとしているかというと、顧客分析力、ヒアリング力、プレゼンテーション力、提案力、論理思考力、交渉力など、ある程度認知された型があるものです。座学・演習・ロールプレイを駆使して理解・定着・実践へ繋げ、勝率アップを狙っているわけです。

しかし、これで絶対売れる営業が育成できるかというと皆さんが頭を悩ませている通り、必ずしもそうではありません。人間がモノを購入決断する変数が他にも多くあるからです。

<営業育成とは人間力強化>

そもそも何で営業が必要なのでしょう?

黙っていても売れる商材であれば、営業は必要ありません。商材の存在を知らしめるCMとECサイトがあれば十分です。営業というロールが必要なのは、商材そのものの魅力や効果、必要性がすぐに分からない、他社の商材との差別化ができないといった状況があるからです。

その時営業に必要なスキルや能力は、前述したとおりですが、その根底には、この営業の人柄や魅力、お客様を想う気持ち、信頼感が必須要素で、購買決定の大前提になります。まさに人間力だと思います。

<人間力とは人間的魅力?>

人間力の一部かもしれませんが、人間力を人間的魅力と置き換えたとき、私が秒でその方に降参した経験をお話したいと思います。

初めて入ったとある小料理屋で、タバコが切れたので買い置きがあるか配膳係の女性に尋ねたところ、そのお店では買い置きしてないとのことで、外に買いに行こうとするとその女性が買いに行ってくれました。ここまではよくある話ですが、それから半年以上経って、再びその小料理屋を訪れた際、またタバコが途中で切れてしまったので、買いに行こうとすると、例の女性が私の銘柄のタバコを持ってきてくれました。

以前のことがあったので、いつ来るか分からない私のために買い置きしておいたとのことでした。それ以来、その店が店をたたむまで通い続けたとこは言うまでもありません。一瞬で心を鷲掴みにされた経験でした。

<形式知化できない営業スキル>

最後に、私が経験上自分の営業哲学にしていることを3つ列挙して終わりにしたいと思います。

中山 俊明 (株式会社アイ・ラーニング / サービス企画本部 営業研修Tower Leader)
大学卒業後、外資系IT企業に入社し、30年間、営業として、大手製造業のお客様を中心に担当する。現在は、アイ・ラーニングで営業研修に携わる。 趣味は、酒、カラオケ、ランニング、釣り、ドライブ等。(3年前から禁煙中)