1on1ミーティングを行う目的とは?実施・運用のポイントを解説

2023.08.23ビジネス
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1on1ミーティングを行う目的とは?実施・運用のポイントを解説

1対1での対話を通して信頼関係の構築や部下の育成などを行う1on1ミーティングは、従業員の自主性を育む一環として、採用する企業が増えています。ただし、1on1ミーティングは、漫然と実施しても効果を実感しづらいことに注意が必要です。

今回は、1on1ミーティングを効果的に実施するために押さえておくべき基礎知識・運用のステップ・効果を高めるポイントなどをご紹介します。

1on1ミーティングとは

1on1ミーティングとは、上司と部下などが1対1で定期的に実施するミーティングのことです。週に1回から月に1回程度と、比較的短いスパンで反復して行います。1回あたりのミーティング時間は、30分から60分程度が一般的です。

1on1ミーティングは、成果や進捗を報告するのではなく、コミュニケーションを密にして、悩みや疑問点・相談ごとなどについて対話を行うことが特徴です。どちらかが一方的に話すのではなく、双方向的に会話を進める必要があります。

当初、海外の大手企業を中心に行われていた1on1ミーティングは、その効果の高さから、近年では日本の企業にも浸透しつつあります。

1on1ミーティングと人事面談の違い

1対1で話す場と言うと、人事面談が思い浮かぶ方も多いでしょう。1on1ミーティングと人事面談は、以下のとおり目的や頻度などさまざまな点で違いがあります。

1on1ミーティングと人事面談の違い
1on1ミーティング人事面談
目的
  • 信頼関係の構築
  • 部下の育成 など
  • 人事評価
  • 目標設定
  • 成果や進捗の確認
  • 評価のフィードバック など
頻度
  • 週に1回から月に1回程度
  • 週に1回から月に1回程度
かける時間
  • 1回あたり30分から60分程度
  • 数分から数時間と、まちまち
話す内容
  • 悩みや疑問点・相談ごとなどが中心
  • 実績などについての報告が中心

上記のとおり、1on1ミーティングと人事面談は、性質などがまったく異なるものです。そのため、人事面談的なやり方で1on1ミーティングを実施しても効果を得にくくなってしまうでしょう。
まずは「人事面談と1on1ミーティングは別物」と認識した上で、1on1ミーティングに取り組むことが大切です。

1on1ミーティングを実施する目的

1on1ミーティングを実施する主な目的は、以下の2つです。

  • 信頼関係の構築・・・心理的安全性を高める
  • 部下の成長促進・・・意識向上やスキルアップ

上記の2つが相まって、組織力の強化や従業員の離職抑止などの効果が期待できるのが、1on1ミーティングです。ここでは、1on1ミーティングを実施する目的について、もう少し詳しく見ていきましょう。

信頼関係の構築…心理的安全性を高める

信頼関係の構築…心理的安全性を高める

1on1ミーティングを実施する目的の一つが、上司と部下の間に信頼関係を構築することです。週に1回から月に1回程度という比較的短いインターバルで定期的に対話をする機会をつくることで、相互理解を深め、お互いに話しやすい関係性を構築できます。

話しやすい人間関係を築くことができれば、些細な悩みごとや疑問点でもすぐに相談できるようになり、業務を円滑に進めるのに役立つでしょう。また、お互いに不満や不安を溜め込みにくくなれば、精神的にも健全な状態で仕事ができるようになります。

部下の成長促進…意識向上やスキルアップ

部下の成長を促進することも、1on1ミーティングを実施する重要な目的と言えます。定期的に、部下が抱える業務上の課題や問題点を聞き出し、主体的に解決方法を考えられるようにアドバイスを与えることで、意識向上やスキルアップが見込めるからです。

定期的な対話を通して信頼関係が構築できていれば、アドバイスなどをスムーズに受け入れてもらえるので、建設的な対話ができるようになるでしょう。1on1ミーティングを通して培われた課題解決能力は、さまざまな業務において、生産性を向上させるために役立ちます。

1on1ミーティング実施・運用のステップ

1on1ミーティングを効果的に実施・運用するためには、以下のようなステップで進めるのがおすすめです。

① テーマ・質問の設定と共有
② ミーティング日時と場所の設定
③ 1on1ミーティングの実施と記録
④ 内容の振り返り・フィードバック

テーマ・質問の設定と共有

1on1ミーティングを有意義な時間にするためには、最初にミーティングで話すテーマ・質問の設定をして、事前に部下へ共有しておきましょう。

ミーティングの目的や質問事項を事前に設定・共有しておくことで、上司・部下ともに話す準備ができるからです。場当たり的に質問したのでは、聞かれた側も正確な回答をしづらく、部下の本音を引き出すことは難しくなってしまいます

業務課題・個人目標・スキル・キャリアなどのテーマを決め、どのような質問で答えを引き出すかを考えておくようにしましょう。

ミーティング日時と場所の設定

テーマ・質問の設定と共有ができたら、ミーティング日時と場所を決めます。日時は、上司側・部下側の双方が、次の予定に追われず、時間的にも精神的にも余裕のある状態で参加できるタイミングを選びましょう。

また、ミーティングは、状況に応じて会議室以外の場所を活用することで、話しやすくなります。座る位置にも配慮し、正対するのではなく、斜めの位置や横に並んで座るようにすると、リラックスして対話できるでしょう。

1on1ミーティングの実施と記録

当日進行しながら、もしくはミーティング直後に、話した内容や部下の様子などをメモしてまとめておきましょう。

記録を残しておくことで、今後のフィードバックやアドバイスなどに役立てられるほか、同じ質問を設定してしまうリスクを避けられるなど、今後の1on1ミーティングの実施・運用時に有効活用できるためです。
記録は必要に応じて部下と共有し、ミーティングの振り返りなどに役立てましょう。

内容の振り返り・フィードバック

内容の振り返り・フィードバック

次回の1on1ミーティングなどの機会に、話した内容の進捗確認やフィードバックなどを適宜行いましょう。1on1ミーティングを継続する中での成長や成果を実感してもらうことで、ミーティングの重要性を理解してもらうことができるからです。

1on1ミーティングが有意義なものであることが確信できれば、さらに前向きにミーティングに取り組め、効果を高めることができるでしょう。

1on1ミーティングの効果を高めるポイント

1on1ミーティングは度々行い時間もかかることから、漫然と実施するだけでは「意味がない」「苦痛な時間」と捉えられがちです。このような事態を避けるためには、以下のようなポイントを押さえる必要があります。

  • 部下のタイプに合わせて実施する
  • 面談スキルを高める

部下のタイプに合わせて実施する

部下の強み・弱みを把握し、どのような伝え方が響くのか、どのような方向へ導くべきかなどを、よく検討した上で実施するようにしましょう。

例えば、自己主張が弱いタイプなら、「あなた自身はどうしたいと考えていますか」「あなたはどう思いますか」といった意思を確認する質問を、適宜差し込むといったアプローチが考えられます。

面談スキルを高める

上司がアクティブリスニングなどのスキルを身につけていると、スムーズな進行が望めます。1on1ミーティングで役立つスキルの一例を見てみましょう。

面談スキルの例
アクティブリスニング
  • 人間関係を構築しコミュニケーションを円滑にするために行う積極的傾聴のこと
  • 共感する、相槌を打つ、相手の話の重要な部分を復唱するなどの対応をする
  • 無条件で相手を肯定し、姿勢や表情も含めて共感を示すことが大切
質問スキル
  • 掘り下げたいときはオープンクエスチョン、意思確認したいときはクローズドクエスチョンを使うといったように、質問を使い分ける
  • オープンクエスチョン:「そのとき、どう思いましたか」のような「はい・いいえ」で答えられない質問
  • クローズドクエスチョン:「〇〇と思ったのですよね」のような「はい・いいえ」で答えられる質問

まとめ

1on1ミーティングは、上司と部下が信頼関係を構築し、部下の成長を促進するのに効果的な取り組みです。実効性あるミーティングにするためには、事前にミーティングのテーマなどを設定・共有したり、フィードバックしたりすると良いでしょう。

今や、1on1ミーティングは企業の競争力を強化する上で欠かせない取り組みの一つと言えますが、実施方法によっては正しい効果が発揮されません。部下のタイプに合わせる、面談スキルを身につける、などのポイントを押さえてミーティングを実施しましょう。

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